第六話
そんなこんなで、イチャイチャしながら日々を過ごす俺たちだが、問題はゴールデンウィーク前の部活後に起きた。
なんと、俺に呼び出しがかかったのだ。
「告白」って、どういうタイミングでされるんだろうな~、なんて他人事に思っていた俺だが。
部活が終わった時に、マネージャーに『ちょっといい?』と声をかけられた。
言われるがままついていったら、そこに見知らぬ女の子が立っていたのだ。
「あの、赤坂君。私、女バスで。いつも、赤坂君カッコいいなって見てて。良ければ、お付き合いして頂けませんか?」
女バスということは、隣のコートでいつも練習していたということだろう。
誰?とか聞いたら駄目なんだろうな~。
「えっと……」
こういうときって、どういう風に何を言ったらいいんだろう。
直接話したこともない子に告白されるなんて、考えもしなかった。
断ったら泣いちゃったりすんのかな?
でも、別に俺はこの子のこと好きでもないし、知りもしないし。
「あの、その……」
あ~、マジでどうしよう。
傷付けないように断るって、何て言ったらいいんだ。
迷いに迷って、ここまで俺を連れてきたマネージャーに助けを求めようと振り返ったら、いつの間にか姿を消していた。
なるほど、告白の場というのは、こういう風に二人きりにされるものらしい。
「ごめんなさい。いきなり、ビックリしたよね。あ、あの。もし、良ければ、連絡先とか教えてもらっても良いかな?まだ、話したこともないし、友達から、なら、いい、かな?」
なんて良い子なんだ。
俺がキョロキョロまごまごしているのを見て、代替案を提示してくれるなんて。なんて良い子なんだ。
「う、うん。ごめん、俺、よく知らなくて。友達から、その、よろしく。あ、でも、スマホ、更衣室だ。取ってくるわ。ごめん、ちょっと待ってて」
全力でその提案に乗らせてもらったけれど、俺のスマホはまだ体育館の更衣室だ。
俺は慌てて体育館へと引き返した。
更衣室の扉を開けると、他の部員はすでに全員帰っており、中には俺を待ってくれていた和樹一人だけが残っていた。
「稔?まだ着替えないのか?」
そう言えば、早く着替えて下校しないといけないんだった。
でも、彼女も待たせているから、とりあえずスマホだけ持って戻らないと。
「悪い!もうちょっとだけ待ってて。とりあえずスマホだけ取りに来た。すぐ戻る!」
スマホだけを引っ掴み、俺は元の場所まで全力で走った。
無事に連絡先を交換し、『じゃあ、また連絡する』と伝えた。下校時間が迫っていたせいで、ちゃんと会話が成立したか分からないくらいのドタバタ具合だったと思う。
再び更衣室に戻った俺は、大急ぎで着替えながら校門に向かった。
和樹は鍵を閉めて職員室に返しに行ってくれていたので、和樹も俺も校門を出たのがギリギリだった。
「あと一分遅かったらアウトだからな。気を付けろよ」
校門に立っていた先生に、軽く注意を受けた。
この学校では、利用ルールを破ると体育館の使用権が剝奪されるらしい。
部員が一人でも時間を超えたら注意が入って、注意が三つで一週間の使用停止。
注意が五個で一か月。十個溜まったら、もう二度と使用許可が下りなくなるのだとか。
何とか間に合って良かったと二人で胸を撫でおろしながら、俺たちはようやく帰路についた。




