第十七話
来てしまった当日。
一応、予定は俺抜きで決まっていたけど、昨日の内にグループには参加した。
昨日の夜、和樹から公園専用アプリをダウンロードするように言われたけど、最近はこういうデジタルと組み合わせた娯楽が多くて凄いよな。
なんか、公園内で色んなものを見つけてみたり、ナゾトキに参加したりすることが出来るらしい。
入り口からじゃないと参加できないから、事前に入れておくようにということだ。
マジで、乗り気にも程があるだろ。
とはいえ、きっと、GWで混雑していて動作が遅かったりするんだろうと思っている。
そういうのでイライラするって言うのも、ある意味思い出だよな。
交通系ICカードもタッチ決済も、俺はスマホ一つでまとめているから大丈夫。
チャージも出来ているから問題ない。
モバイルバッテリーもちゃんと正規品だし落としたことも無いから大丈夫。
これも、ちゃんとチャージも出来ている。
ハンカチにタオルにティッシュにゴミ袋にトランプ。いざという時の一万円札。
寒くなった時用の薄い上着と帽子もリュックに入れた。完璧だ。
折り畳み傘は……一応、入れておくか。今日は雨降らない予報だけど。
よし、そろそろ出る気になるか。
と思った時、スマホにメッセージが届いていることに気付いた。グループだ。
誰かが行けなくなったとかかな?と思いながら開くと、和樹から一言。
【学生証忘れるなよ】
……すっかり忘れていたぜ。
危うく、俺だけ入園料を払わなければならない所だった。
学生証もちゃんと鞄の取りやすい所に入れて。今度こそ、完璧だ。
玄関の姿見で、一旦、全身をチェックする。
服は、ダサくは無いはず。多分。
リュックも、腰より下には下がって無いから腰痛にもならない。
去年の誕生日に和樹に貰った腕時計も嵌めた。
ちょっと薄汚れてはいるけどいつものスニーカーもダサくは無いはず。
なんて、一人で入念にチェックしていたら、母さんがニヤニヤしながらこっちを見ていた。
「あらまぁまぁまぁ。そうねぇ、そういうお年頃よねぇ。うんうん」
直接的な事を言わないのがまた、イラッとするな。
母さんは昔から、人を煽るのが上手い。
そんな手には乗らねぇからな!
「七時頃には帰るから!飯は食べるから俺のは残しといてくれよ!」
言い訳したり、反発したりしていたらキリがないし、母さんを喜ばせるだけだ。
俺はちょっと乱暴に言い放って、ちょっと大きめの音を立てて玄関を閉めた。
出かけることはもう昨日までに伝えてあるので、今更どこ行くとか言わなくていいだろう。
俺はその勢いのまま、小走りでまずは和樹の家に向かった。
和樹の家は、俺の家から五分ほどの所にあるマンションだ。
ここら辺では一番高い建物で、住んでいるのもここら辺じゃ一番の金持ち。
しかも、そのマンションの上層階ってんだから、和樹はここら辺では上流階級ってイメージを持たれている。
まぁ、間違いではないんだろうな。
何故俺が和樹を迎えに行くかと言うと、このマンションにはロビーがあるからだ。
和樹が俺を迎えに来た場合、俺の家の前でボーっと待たなきゃいけなかったりするけど、俺が和樹を迎えに来たら、ロビーで座って待てる。
ロビーに常駐しているコンシェルジュのオジサンも俺に親切なので、退屈する時間がないのも理由の一つ。
でも、今日はロビーで和樹がコンシェルジュのオジサンと話していた。
俺が来るのを待っていてくれたらしい。
俺の姿を見つけるなり、和樹はオジサンに『いってきます』と挨拶して出てきた。
俺もペコッとお辞儀したら、優しく手を振ってくれた。今日も良い朝だ。




