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俺が俺に惚れてる  作者: たなかそう


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第一話 プロローグ

俺、赤坂(あかさか)(みのる)には、前世(ぜんせ)の記憶がある。

よくある話だ。

でも、俺が生まれ変わったのは剣と魔法の世界じゃない。

前世と同じ、普通の日本だ。


「おはよ、稔」


小学生の頃から仲のいい親友、友井(ともい)和樹(かずき)

中学、高校と、地元の同じ学校に進学した。

部活も同じバスケ部で、クラスもほとんど一緒。

典型的な幼馴染(おさななじみ)というやつだ。


同じゲームをして、同じマンガを読んで、同じアニメの話で盛り上がってきた。

これだけ一緒なら、気が合わないはずがない。

俺とこいつは、あらゆる面で気が合っている。……と思う。


「はよ」


でも、俺がこいつに、どうしても心を開ききれない理由(わけ)がある。


「そう言えば、今日の体育ってドッジだよな。やだな~。今時、人にボール当てて喜ぶとか、流行らないと思わん?」

「それな。当てられたら痛いし、当てたら申し訳ないし。だからと言って当てないと『サボってる』って怒られるし。何もいいことねぇよな」

「ほんと、マジでそう。こないだ、ちょっと手加減して投げたら『ちゃんと投げろ』って堤谷(つつたに)に怒鳴られたんだけど。あいつ、勝負ごとに熱くなっててこえぇよな~」

「たまにいるよな。試合になると勝つことが全て、ってやつ」

「悪いわけじゃないけど、そうじゃない奴がいることも考えて欲しいよな~」

「多様性とか言いながら、みんな、口だけだもんな」

「わかる。マジ生きにくい世の中だよ」


くだらない話は尽きない。

およその価値観が似通っている俺たちは、どんな話をしても共感できる――気がしている。


でも、俺は知っている。

こいつが、実は結構、勝負事に熱くなるタイプだということを。


そして、それを隠しているのが、俺に合わせるためだということを。


なぜなら、俺は、

俺の前世は――。


目の前で笑っている、こいつなのだから。

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