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昼になってもシロは出て来なかった。
もうワルモノが来ると言っていた時間になる。
「仕方ない、こっちで準備を始めるか」。
シロが部屋に入った後すぐに出てきたバンパイアとゴブリン達を連れて、客間に向かう。
準備といっても特に何かするわけでなく来た時に何かされないか監視するのと、ゴブリンをしっかり受け渡す事くらいだ。
客間に入って再びゴブリン達に気合を入れる。
「午前中も言ったが諸君らにはこれから別のダンジョンに行って貰う、向こうではどんな待遇かわからないけれど諸君らの後輩は毎日これから送られる、その者たちが少しでも良い待遇を受けれるように、そして自分自身が生き残るために活躍して、いつの日かこのダンジョンに戻って活躍してくれる事を願っている」。
「「「「ギギ」」」」。
「「「「ギギ」」」」。
「「「「ギギ」」」」。
ゴブリン達は拳を掲げて真の言葉に答えるように声を上げる。
そこにワルモノともう一人が転移してきた。
「これは、これは元気なゴブリンですね」。
俺は座りながら身振りでワルモノにも座るように促す。
座ったのはワルモノだけで連れてきた新顔は座らずワルモノの後ろに立った。
お互いに座った所でワルモノが口を開く。
「こちらが昨日話したゴブリン達の転移を担当するものです、今日は紹介のために一緒に来ましたが明日からは一人で来ることになります」。
ワルモノの言葉に合わせてお辞儀したのでこちらもお辞儀する。
「これはどうも、これからよろしくお願いします、もしよかったら名前とか教えてもらえます?」。
「ハハハ、ハハハ、ハハハ」
「……………………………」
ワルモノは大爆笑して、もう一人は思いっきり顔を引きつらせた。
「ハハハ、失礼これは神宮寺殿はギャグのセンスがお有りとは、この者は有望株ですがまだ若く名前もありません、種族は私と同じデーモンで強さはそうね、そこのバンパイアと同じくらいですかね」。
「ちょっとまって下さいワルモノ様、私がこの100年も生きて無さそうなガキと同じなどありえません、どうか挽回の……」
「誰が喋べっていいと言いましたか?しかもどちらが強いなどと言うくだらない事で、だからあなたはまだ若い時は言われるのです」。
ワルモノは言葉と共に部下を威圧する。
その威圧に反応してバンパイアは俺の襟を掴んですぐ椅子の後に引っ張り込む、椅子の後に押し倒された真の上にすぐゴブリン達が覆いかぶさりバンパイアは戦闘態勢にはいる。
普段のワルモノの威圧も凄かったが先程のは次元が違った。
みんなの行動に感謝だな。
「訂正ですね、あちらの行動を見てください、主を守るためにすばらしい、それに比べてアナタは固まってしまうばかり、彼らより未熟です。
神宮寺殿、失礼いたしました」。
そう言って頭を下げた。
まさかワルモノが頭を下げるなんて。
「明日からは危険もありますので同席しないほうがいいでしょう」。
真は身振りでゴブリン達にどいてもらってバンパイアの手を借りて立ち上がって答える。
「そのようですね、私も明日から忙しくなります、基本的にはバンパイアに任せることにしましょう」。
「ではこの流れであまり長居してもご迷惑でしょう、私達はここら辺で」。
昨日もそうだがワルモノは無意味な滞在はしないタイプのようだ。
「わかりました最後にゴブリン達に挨拶しても?」。
「勿論ですとも」。
「ありがとう」。
「お前は一番先に俺に飛びついて守ってくれたな」。
「お前はワルモノ達が来てから一瞬も気を抜かなかったな」
「お前は完全にビビってたけどしっかり俺を守ろうとしてくれた、カッコよかったぞ」。
そう言って全員に声をかけて頭を撫でると何かがゴブリン達に流れ込んでいく。
何かが出ていった筈なのに何故か胸に温かいものを感じそれを大切にしたいと思う。
「おお!これは祝福ですか!初めて観ました」。
あのワルモノが初めてと言って素直に驚いてるようだ。
「すみません、ワルモノ殿祝福とはなんですか?」。
「あぁ神宮寺殿は昨日ダンジョンマスターになったんでしたね、祝福とは信頼しあった上位者が下位の者に与えるものです、出てくる効果は様々で効果が出ないこともあります、しかし祝福されただけで基礎能力も上がりますし、何より信頼した相手から自分も信頼されてる証拠です、それだけで嬉しいものですよ、祝福されたモンスターは珍しく名前持ちのモンスターより少ないですよ、ましてや祝福する瞬間を見るのは私も初めてです、いい経験をさせてもらいました。
それでは準備をも済んだようですので皆さん行きますよ」
そう言って振り返り部屋の隅に向かっていく。
「お前は帰ったら鍛えなおす必要がありますね。
それに祝福されたゴブリンがどんなものか皆さんも一緒に鍛えてあげましょう」。
最後にそんな言葉が聞こえてワルモノ達は転移していった
長くなったので分割です




