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悪役令嬢が死んだはずなのに、今日も隣の席に座っている  作者: 延々Redo


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10/10

エピローグ:では、誰が

ネタ晴らし回です

 アメリが倒れてから数日後。

 学園は、奇妙な静けさを取り戻していた。

 アルフレッド王子は既に王都を離れ、アメリもまた実家へ戻されたらしい。

 もう学園へは戻れないだろう、と誰かが囁いていた。


 あれほど騒がしかった噂話も、今ではほとんど聞こえない。

 皆、まるで最初から何もなかったみたいな顔をしている。


 けれど夜になると、この学園は時々ひどく静かになる。

 誰もいない回廊、消えかけた蝋燭、遠くで鳴る雨音。

 そんな時だけ、今でも思い出すのだ。

 フェリシア・ヴァンホルトという少女のことを。


 その夜、ヴィオレット達は女子寮の小さなサロンへ集まっていた。

 暖炉には小さな火が残っている、けれど部屋は広く感じた。

 あの夜と同じように。

 一つだけ空席があるからかもしれない。


「……ずいぶん大事になってしまいましたわね」


 マリエルが小さく呟く。

 クロードは静かに紅茶へ口をつけた。


「仕方ありませんわ。アメリ様も、最初は本当に可愛らしい方でしたもの」

「ええ」


 ヴィオレットはゆっくり頷く。


「フェリシア様も、あの方を嫌ってはいらっしゃらなかった」


 暖炉が、ぱちりと音を立てる。

 しばらく沈黙が続いた。


 誰も、フェリシアの名前を軽々しく口にできなかった。

 マリエルが小さく息を吐く。


「でも……少しやりすぎてしまったのかもしれませんね」


 その言葉に、クロードが視線を伏せる。


「アメリ様、最後の方は本当に怯えておられましたもの」

「仕方ありませんわ」


 ヴィオレットは静かな声で言った。


「フェリシア様は、本当に最後まであの方達の幸せを願っておられた。でも、わたくし達は違いました」


 その声に怒りはなかった。

 ただ、冷たい静けさだけがあった。


「……許せなかったのです」


 クロードがぽつりと呟く。


「フェリシア様が、あんな風に消えていったことが」


 また沈黙が落ちる。

 雨音だけが聞こえていた。


 やがてマリエルが、少し困ったように笑った。


「でも、あの夜の演出はさすがにやりすぎでしたわ」

「あら、どれのことでしょう」

「暖炉の火ですわよ。あんな風に一気に揺らしたでしょう?」


 クロードが眉を寄せる。


「……わたくしではありませんわ」

「え?」

「わたくし、あの時は何もしておりませんもの」


 部屋が静かになる。

 マリエルがヴィオレットを見た。


「ヴィオレット様ではないのですか?」

「いいえ」


 ヴィオレットはゆっくり首を横へ振った。


「わたくしも、あそこまでのことはしておりません」


 暖炉が、ぱちりと小さく爆ぜた。

 誰も喋らない。

 クロードが、かすかに顔を青ざめさせる。


「……では」


 マリエルが乾いた声で呟いた。


「あの窓へ映っていた方は…どなたが…?」


お付き合いいただきありがとうございました

どうかブクマと☆をお願いします…!!!

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