第12話 恋心?
「フォームを意識しただけで大したもんだよ凌平。」
木村先輩が褒めてくれる。
30分ほど2人でシューティングしていたのだけどフォームを意識して打つとだいたい半分は決められるようになってきた…と言ってもフォームが乱れると一気に入らなくなってしまうし、意識して打つと動きが途端にゆっくりになってしまっていた。
「でも…これじゃ試合なんかじゃ使えないですよね?」
「そうだな…でもそれだけ時間かけて打てるシチュエーションを作れればってとこかな。」
「シチュエーション?作る?」
「ああ、お前はスタミナもスピードもあるから走り回って何枚かスクリーンを使ってフリーでボールがもらえれば打てるかもしれんし、それにシズとのハンドリング練習で上達したら相手をアンクルブレイクしてとかできるかも…プッ!」
「なんで笑うんすか?」
「すまんすまん。お前がアンクルブレイクとか…想像したら無いわぁ…と思ってな。」
「俺自身も想像できないすからいいですよ!」
「でも、せっかくU17の日本代表様とマンツーマンで練習してるんだから…まあ、シズの方は自分の練習に都合のいい後輩と思ってるだけかもしれんけど、それでもお前にとってはいい練習になるだろ。」
木村先輩はそう言ってくれるけど…
「やっぱり俺って都合のいい練習相手としか思われて無いんすかね?」
ふと何も考えずに口に出してしまった言葉に木村先輩何ニヤニヤし始める…しまった!無意識に余計なことを言ってしまった。
「なんだ凌平、お前ってシズ狙いか?なかなかに無謀だなぁ。」
「は!?ち、違いますよ!そんな俺が静香先輩をだなんて…」
週末から何度も何度もしてしまった頭の悪い妄想を思い出してしまう…あれ?俺って…
「あの…木村先輩、でも実際にあんなかわいい先輩に朝練誘われたら男なら勘違いぐらいしても…てかしちゃいますよ!」
「お前、開き直るなよ…うーん、気持ちは分からんでもないけど…あいつが誰か男と付き合うとか想像できんわ。バスケ一筋すぎるだろ。」
言われてみればその通りでしかない。
俺だって静香先輩と会話って大体はバスケの話ばかりだ…あとはせいぜい初恋の相手が俺の父さんというなんとも反応に困るカミングアウトを受けたぐらいだもんな…
「そう難しい顔するなよ。チャンスはあるかもなんだから…かなり低いけどさ。」
「木村先輩って…いい人ですよね。」
「は?ぶっちゃけ俺はお前がマリにちょっかいかけなきゃなんでもいいだけだよ!それよりそろそろ切り上げないと遅刻扱いされても馬鹿みたいだからな。ほら!」
自分から東内先輩の名前を出して照れてる木村先輩と2人で着替えるために体育館の更衣室へと向かった。
ちょうど女バスも朝練が終わったみたいで着替え終わって体育館から何人かがまとまって出て行っていた。
どうしても自然と静香先輩を探してしまう…いた!
……おにぎりモグモグしてるよ。なんとなく食いしん坊キャラが俺の中で定着しつつあるな。
東内先輩、クロエ先輩とのいつもの3人組だ。
そしていつものように楽しそうに話してる。
「わかりやすいなお前…」
少し前を歩いていたら木村先輩が振り返りながらそんなことを言ってきた。
いや、でもまだきっと好きと言えるほどではないんだと思う。
「違いますよ!まだそういうんじゃないと思うんすよ!俺、女子とそういうこと今までなかったし…きっとこれはかわいい先輩に親しくされて舞い上がってるだけですって!」
「言っててそれ、虚しくないか?…でも本気になったならライバル多いからな。俺も同じ中学のやつにシズを紹介しろってしつこい奴いるしな。」
なんだと!?そんなとこまで…ってそりゃ知名度高いから当然か…
…考えても仕方ないか!
「とにかくまずは俺、バスケを全力で頑張ります!自分でもどういう気持ちかよく分かってないですけど…それぐらいしかやれることないんで!」
「よし、ならこれからも毎朝シゴいてやるから覚悟しとけよ!」
木村さんはが左拳を俺に向けて突き出す。
「うす!」
木村先輩とも俺はグータッチした。




