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異世界人の祝福

「異世界人の祝福?」

演習場へ向かいながら、ひかりはリサリアから騎士達へのご褒美について聞いていた。


「そう。こちらの世界では“異世界人の祝福”っていうのは、異世界の知識を得ることを許されたって意味で、とても名誉なことなのよ」


「知識ですか? 私は大した知識なんて持ってないですよ?」

ひかりは困って眉を下げた。


「ふふふ、良いのよ。昔、現れた異世界人の一人が博識で、この世界に新しい文明をもたらしたって伝説があるの。それの名残ね。

国からの保護も、今まで異世界人から知識を得て大きく成功した貴族や商人が何人かいたからって話なの。

“守ってあげて、あわよくば”って感じなのよ」


「うーん……。使える知識じゃないと意味ないですよね。成功するかは受け取った人次第ですし」


「そうよ。普通の人には益があるかわからない、名ばかりの名誉なの。だから“祝福を授ける”と言っても気にしなくていいわ」


「それに、勝つのは私たちだからね!」

リサリアはパチンとウインクをした。


「あはは、じゃあ目一杯、祝福しますね!」

ひかりとリサリアは笑いながら、演習場へ入って貴賓席へ歩いていった。


「ここからはシリウス室長がそばにいてくれるから。安心して見ててね。」

そう言うとリサリアは演台の方へ向かった。


シリウスは短い銀髪をきっちりと撫でつけ、眼鏡越しに覗く青い瞳は澄んでいる、整った顔立ちの落ち着いた男性だった。彼は静かに礼をとる。


「初めまして。室長をしております、シリウス・ウェグナーと申します」

「初めまして。桜ひかりです。」

今まで周りで見た騎士団員と違う雰囲気のシリウスに、ひかりは少し緊張しつつお辞儀をする。


「ひかりさん、どうぞこちらへ」

「は、はい。ありがとうございます。」


シリウスは優雅にひかりの手を引いて、席に座らせる。

エスコートなんてされたことのないひかりは、転ばないように気をつけながら大人しく座った。


「ふふ、今回は特別な演習なんですよ。面白いことが起きると思うので、楽しみにしてくださいね」

シリウスはニッコリとひかりに笑いかけてくれた。


「リサリアさんも言ってました。楽しみです。」

優しそうな人だと安心したひかりは、笑顔で返した。


2人の穏やかな雰囲気のせいか、演習場の貴賓席には、ほんわかと優しい空気が流れていた。


ーーーシリウス室長に任せて良かったわ。

演台の方から2人のほのぼのとした様子が見えて、リサリアは安堵していた。

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