愛し子【沙織里】
ぁ~~~どうしよう、怒られちゃうかな?失敗しちゃったあ。
まさか帰り道に変な人に連れてかれちゃうと思わなかった……んんー悔しい……どこなんだろうここ。
真っ暗で……狭い?
落ち着こう、私だって、やればできるはずだもん!慌てず騒がず……まずは……なにしたらいいのかな?うぅ、怖い、怖いよう。
「あーちゃん……っ」
『またしても、か……今一度、天啓の見直しが必要かもしれんな』
「ミカ、ちゃん?」
いつも一緒にいてくれる天使のミカちゃん。
どうしたんだろ、いつもは姿を見せてくれるのに、頭の中に声だけ響いてる。でも、よかった、ちょっと怖いの、おさまったかも。
『少しの間離れたのがまずかったな、ぬかったわ。私ともあろう者がこの空間に干渉できるのが声のみとは……愛し子よ、怪我はないか?』
「う、うん、大丈夫……ねぇミカちゃん、ここはどこなんだろう?とっても狭い」
体育座りで座ったまま、手を伸ばせば壁に当たって立ち上がることもできないくらい、狭い。
『強固な封印の中に納められているのだ。特定の場所に固定されているわけではなく……封じた本人が所有して持ち歩いている……?』
じゃあ、皆が言ってたあの絢峰瑠鬼っていう変な人が私を持ち歩いてるってこと……かな?すごい!人ひとり運びながら移動してるなんて。
『……愛し子よ。封印されているということはだな、そなたもよく知っている【筒師】の筒と同じような状態になっているということでな……』
「あ!そっか!そうだよね!……んん〜じゃあ、そう簡単に内側からは壊せなさそうだねぇ」
真っ黒の壁になっているところをトントン叩いてみる。霊力を回して手に集中させて叩いてもなんの反応もない。
『我の力でなら内側から破壊することは簡単なことなのだが、外側からは愛し子が視認できん……万が一、我自身が愛し子にケガの一つでも負わせようものなら我は……すまない』
「謝らないでミカちゃん、それはちゃんとわかってるから、大丈夫だよ。今、外で姿を現すことはできる?この人、どこに行こうとしてるかわかる?」
ミカちゃんは定時連絡意外は私の近くにいる……だから、今、戻ってきているなら、絢峰瑠鬼を直接確認できるはず、だよね。
『承知した……砂城の市内を徘徊、ふむ……なにやらニヤニヤと笑って移動を始めたか?』
笑ってる……?なんで?もしかしてあーちゃんになにかあったの?
私の、せい……?
「早くここからでなきゃ……迷惑かけられない……っ!」
『……ふっ、愛し子よ、安心するといい。真砂秋緋のキツネが彼奴を見つけたようだぞ?……我も協力するとしよう、しばし耐えるのだ』
やっぱり、皆気付いてくれてた。迷惑かけちゃった。あーちゃんも東雲さんを使って探してくれてた。
簡単じゃないのはわかってる、けど、内側から壊せないわけじゃないはず!
少しでも、わずかでもいいから!




