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親睦キャンプin裏山②

新任の教員が主体となり毎回キャンプが行われる。レクリエーション係になった親父は本格的な肝試し…と言う名の俺への嫌がらせをしようと考えた結果、結緋さん力を借りることにしたらしい。それってかなりやばくないか?本格的も何も…本物だろう。


「むむ?さまぁきゃんぷというのは嘘なのか?」


「いえいえいえ!キャンプはしますよ!こいつも一緒にね!ほら、こいつの友達にも楽しんでもらいたいから!肝試し!ね!」


…すまん、親父。俺にまともな友達なぞいない。が、それは伏せておいてやろう。そんなに頭が上がらないならちゃんとした説明しとけっての。


「紅司郎様。姫子様はお忙しい中貴重な時間を裂いてここにいらしたのです。あまり面倒なことは…。」


忙しいか。

確かに今まで俺は姉?の存在を知らされる事なく、姿を見ること無く過ごしてきたくらいだし相当多忙なのだろう。茨木はしょっちゅううろついてたけど。親父もなんだかんだ隠したがるしな。さっきの夢の話も、何か俺には知られてはいけない秘密があるようだし。


「よいよい!秋緋が楽しめるのなら私にも嬉しい事じゃ!たまには表にでて働くのも良いことじゃしの!」


うーん。結緋さんのこの笑顔を見たら言える雰囲気じゃないな…茨木は怪訝な顔をしてるし、下手したら燃やされそう。それに、親父がペコペコ頭下げてるの見てるの面白いからとりあえずいいか。


「あー、秋緋。放課後校門で待っててくれ。」


「ん…何で?バイト無いからいいけど。」


放課後―。

親父の家…今は学校の最寄り駅から三つ向こうの住宅街にある高級マンションの一室。いや、話を聞くにワンフロアー全部らしい。なんという無駄遣い!っとそれはそれとして、そんだけ広いならわざわざホテルをとらなくてもいいなってことで、結緋さんが泊まりに来るそうな。とりあえず夕食奢るから俺にも来てほしいって。俺が来たところで何が変わるのかわからないのだが。


それにしても、校門で俺含めて3人で立ってるとかなり目立つ。帰宅する生徒の視線が…女子は茨木に、ごく一部の男子生徒の視線は結緋さんに向けられてる。この男子生徒どもは結緋さんには毒なので俺はそいつらを睨み返してやった。大概気の小さい奴ばかりだからそそくさと立ち去っていく。


「助かります秋緋様、私は少し忙しいので…。」


はいはい、お前は女子の相手ね。見て帰る子もいれば行動派の女子生徒たちは茨木に話しかけてきゃいきゃいしている。羨ましくはないが腹立たしい気分。


「秋緋はモテる云々の前にやることあるでしょ。」


「おわっ!またかよ!」


「またってよくわからないけど。顔みれば誰でもわかるよ?それより、師匠に今日は行けないって伝えてもらっていいかな?スマホ充電切れちゃってるから連絡できなくて。それじゃ、また明日ね。」


「あ、おぅ…また明日な…。」


何だ?あいつ。素っ気ないな。何かあったのかな?

最近朝も鵺だけおいて本人には会わないし、忙しくしてるけど…疲れてるのかな?さっさと行ってしまった壱弥の背中を見送っていたら、制服の裾を引っ張られてる感じがした。視線を移すと…。


「のう、秋緋。」


「ん、何ですか?結緋さん?」


うつむいてモジモジしてる、トイレかな?


「て、てててて、手をつないでもよいかのう?」


えー!なにそれ!可愛い!見た目は妹だもん!あーあー!妹なら!妹ならぁ!


「いいですよ、はい。」


「えへへ…。」


茨木の気持ちがわかるわ。これを可愛いと思わない奴はいない。そして、茨木からの殺意の視線を感じるが今に限っては何とも思わない。小さく前後に腕を振る様も可愛らしい。


「ごめんなさいね、遅くなっちゃって!」


ほんわかタイムをぶち壊す顔面と体と声と。とりあえず全部台無しにするような奴がきた。そのおかげなのかはわからんが茨木の周りにいた女子生徒たちは散っていき解放されたようだ。

お手て繋ぎは継続したまま、親父の後を付いていく。こんな目立つところで付いていったらどういう関係なのかとか疑われそうなんだが。学校から少し外れたほとんど来たことの無い場所。駅とは逆だけど…どこに行くんだ?


不思議に思いながらそのまま進み、わき道から車道へでた。そこには見覚えのある車があった。外車だから運転席は左側、その窓が開くと。やっぱりな、見覚えのある顔だ。


「秋緋坊っちゃん、お久しぶりにございます。」


「戌井?!なんでここに?!」


真砂家のボディーガード筆頭であり、運転手でもあり、執事でもありな何でもできるロマンスグレーな爺様、戌井(いぬい)


「結緋ちゃんはあんまり遠出したこと無いから皆心配みたいでな。結緋ちゃんがいる間はこっちに来てるんだわ。」


なるほど。立場上のものがあるのはわかる。でも俺、何の為に実家から離れてはるばるここまで来たと。


「これじゃ…変わらねぇじゃねぇか…。」


「ほっほ。またご一緒できて嬉しゅうございますよ。」


くっ。お年寄りと子供の笑顔は卑怯だと思うわ。

俺は渋々車に乗り込み、親父のマンションのある街までドライブすることになった。

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