13. 新しい風
成り行きでゲオルクと結婚したレイアは退屈していた。浅はかさが足りなかったのだ。頼みの綱の家族はゲオルクの屋敷には出禁かつレイアの半径100m以内には近寄らないとゲオルクと約束したらしい。彼らはきちんと守っているようだ。
ゲオルクとレイアはまさに新婚!のようなイチャラブの雰囲気は皆無であった。初夜もお流しされていた。これは双方に責任があった。二人ともイチャイチャに不向きな性質であったこと、新婚であったとしても将軍としての職務に忙しいようで、ゲオルクは結婚初日に出張したこと、レイアはゲオルクをどーでもよいと思っていることなどが原因であった。
ゲオルクは仕事にばかりかまけて、申し訳なさそうにしていたが、レイアにとってはどーでもよかった。なぜなら、ゲオルクがいてもいなくても浅はかさは足りないのだ。亭主元気で留守がいいは核心を突いているなとレイアはサイテーなことを考えていた。
そのような頃、屋敷に期待の星が登場した。
「ご機嫌よう、あなたがレイアさん?」
「ええ」
屋敷に我が物顔で女二人が現れた。一人はレイアと同じ年頃の美女。豊かな黒髪に豊かなボディ、様々なものを揺らしながらレイアをじろじろと品定めした。もう一人は歳の頃は40代程だろうか。しなやかな黒髪を緩くまとめており、また、いろいろグラマーな方である。
「どちら様でしょうか?」
レイアはまずは名を名乗れ!と常になく強気な気持ちを心の中に隠し持った。時に、退屈さは人をむしゃくしゃにさせるのだ。
「私はこの子の母、サブリナと申します」
サブリナと名乗った女性は意味ありげな微笑を浮かべている。
「私はメラ!ゲオルクの幼馴染よ!」
メラと名乗った女性は勝ち誇ったような笑みを浮かべている。
「そうでしたか……」
これは来ちゃったのではないか?浅はか・浅ましさを味わう絶好の機会が!とレイアは失礼なことを考えていた。
「私達、ここに住むことになったの!」
「ゲオルク様の許可はございますか?」
レイアは期待を胸の底に押し隠した。
「大丈夫よ!私とゲオルクの仲だもの」
メラはふふんとレイアを見下すように言った。これは最高では?期待の浅まし新人が来たなとレイアは確信した。
「デーテさん」
「はい!」
「二人をご案内してさしあげて」
「……ですが」
追い出す気満々のデーテは気が削がれたようだった。
「デーテ、久しぶりね」
「メラ……、あなた、行儀がなっていないんじゃない?」
「何のこと?」
「レイア様にきちんとご挨拶なさい!」
「必要ないわ」
「何ですって?」
「この私がそんなことする必要がないの!」
ズカズカと二人は一番いい客室で寛ぎ始めた。ええじゃないか、ええじゃないかとレイアは心の中で踊った。
「デーテさん、二人とお知り合い?」
もっと二人のことが知りたいなぁとレイアは思った。
「え、ええ。まあ……」
どうやらメラとデーテはそれなりの仲らしいことが窺えた。機会を見て根掘り葉掘り聞いてみようレイアは決心した。
「どのような方なの?」
手始めにレイアは人となりを訊ねた。
「…………先程のような方です」
デーテは非常に言いにくそうである。レイアはさっきの感じだと、ハイレベルな浅はかさを期待できそうだとわくわくした。
「ゲオルク様とはどのようなご関係なの?幼馴染と言ってましたが……」
「いえ!大した仲ではございません!」
いきなりデーテは大声を出した。
「そう……?」
香ばしい仲な感じがしたけど、面白そうな匂いがしたけどとレイアは首を傾げた。
「そうですとも!ゲオルク様が愛していらっしゃるのはレイア様だけですからね!」
デーテはそう言うとのっしのしとどこかに行った。
何にせよ、レイアは久しぶりに浅はかさが味わえそうで胸が高鳴っていた。




