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第717話~ドワーフの国の巨大地下墳墓 地下五階 前編 ルック王との面会~

 『王の部屋』という文字が刻まれた扉を開けて奥へと進んだ。

 すると。


「あ、また棺がありますよ。けど今度のは石ではなく黄金でできているみたいですね」


 ヴィクトリアが再び見つけた。

 しかも今度の棺は黄金でできているみたいだった。


 先程のネクロマンサー・キールの棺が石製で今度のは黄金。

 ということは……。


「旦那様、あの棺に入っている人物こそルック王で間違いないと思います」

「ああ、俺もその意見に賛成だ。他のみんなはどうだ?」

「その通りだと思います」


 と、全員一致で目の前の棺の主がルック王だと確信を持てたのだった。


★★★


 さて、目の前の棺の主がルック王だと確信できたことだし、近づいてみることにする。


 別にルック王の棺に興味はないが、この部屋は行き止まりになっていた。

 そして、この部屋に神聖同盟の連中の姿は確認できない。

 だから神聖同盟の連中は他にいて、そこへ行くための手段が棺に隠されているのではないか?

 そう考え調べてみようと思って近づいたのだ。

 すると。


「何だ?突然地面に魔法陣が出現して、光り輝き始めたぞ!」


 突然棺の側の地面に魔法陣が現れ、光り輝き始めた。

 魔法陣は一分間ほど光り輝くと光るのを止めた。

 光り輝くのを止めた魔法陣を見ると。


「うん。何だ?ゴーストか?」


 一人のゴーストらしき存在が確認できた。

 ただ普通のゴーストと異なり邪悪な気配は感じられなかった。


 俺は思い切ってそのゴーストに問いかけた。


「お前は何者だ?」


 その俺の問いかけに対してゴーストはこう答えたのだった。


「我が名はルック。この地下墳墓の主なり!」


★★★


 ルック王の棺の横の地面に出現した魔法陣の上に現れたゴーストは自分のことをルック王と名乗った。


 ようやくルック王本人が現れたか。


 そう思った俺は話を続けた。


「失礼しました。あなたがルック王でしたか」

「そうだ。お前は何者だ?」

「私はホルストと申します」

「ホルストと申すか?お前は何をしにここへ来たのだ?まさか、最近我が墳墓で騒いでいる連中の仲間では無いだろうな?」


 最近我が墳墓で騒いでいる連中?

 多分神聖同盟の奴らのことだろうな。

 というか、こんな場所で騒ぎを起こすやつ何て他に考えられないし。


 ルック王の発言を聞いてそんなことを考えつつ、俺はこう返答した。


「違います。私たちはその騒いでる奴ら、神聖同盟という連中なのですが、そいつらを抑え込むために来たのです」

「連中を抑えに来た?証拠はあるのか?」

「証拠ですか?」


 証拠と言われてもな。

 証拠を出せと言われた俺はそうやって少し困ってしまったが、すぐにあることに思い至り、それを実行することにする。


「なあ、ネズ吉。俺たちが神聖同盟を倒すために来たということを証明してくれよ」

「心得ました」


 俺はネズ吉に俺たちのことを証明してくれるように頼みこみ、それを受けてネズ吉がルック王に話しかけた。


「ルック王とやら。拙者は女神アリスタ様の神獣である白ネズミのネズ吉である。確かにここにいるホルスト様はアリスタ様の命を受け、ここにいる連中の対処に来たので間違いないぞ」

「なに?あなたがアリスタ様の神獣?……確かにあなたからは過去に出会ったことがある神々と同じような神気を感じることができる。ということは、あなたの言うことは本当なのでしょう」

「そうか。拙者たちの言うことを信じる気になったか?」

「はい」


 と、ネズ吉が話してくれたことでルック王も話を聞いてくれる気になったようだ。

 そんな訳で色々と聞いて行こうと思う。


★★★


 ルック王が俺たちのことを信じてくれたみたいなので、俺の質問タイムが始まった。


「それでルック王よ。お聞きしたいことがあるのですが、聞いてもよろしいですか?」

「うむ。構わぬぞ」

「ありがとうございます」

「して、聞きたいこととは何だ?」

「もちろん、ここで騒いでいるという連中に関してのことです」


 俺の聞きたいこと。それはもちろん神聖同盟の連中のことであった。

 ルック王が連中に対してどの程度のことを知っているかはわからないが、なるべく多くの情報を仕入れたいと思う。


「まず神聖同盟の奴らはどこにいますか?」

「ここで騒ぎを起こしている連中は地下墳墓の一番底。四角錐の頂点の部屋の横に巨大な部屋を作ってそこで活動している」

「ここの底の部屋の横に巨大な部屋を作っているのですか。そんな物を連中はどうやって作ったのですか?この部屋を通ってそこへ行き、部屋を作ったのですか?」

「いいや。連中はこの部屋を通っていない。本来ならこの部屋を通らないと地下墳墓の底には行けぬのだが、連中は地上から穴を掘り進め、地下墳墓の底の頂点の横にまで進み部屋を作ったのだ。そして、その部屋と地下墳墓の底を通路でつなぎ何やらしておるようだ」

「つまり地上からピラミッドの底まで穴を掘って移動したという訳ですか」


 俺が地上を偵察した時には穴を掘ったような痕跡は見当たらなかったが、連中のことだ。

 掘った後、うまい具合に埋めて痕跡を隠したのだと思う。


「そういえば俺たちが地下墳墓を進んだ時、俺たちよりも前に誰かが来たような痕跡はなかったな。あれは神聖同盟の連中が穴を掘ってここの遺跡を素通りしたからという訳なのですね」

「そういうことだ。私がこの地下墳墓を残したのは私が得た英知を後世に伝えるためだった。我が英知が込められた品やその他財宝を残して、ここへ来た者に渡し、後世の役に立てたいと思ったのだ。ただそれ相応な者に渡すために、キールやアンデッドなどを配置してそれらの品々を得る資格があるか試すようにはしたがね。連中はその仕掛けを全部スルーしてしまった。そして、あろうことか、何やら変なことをして騒いでおる。このままでは私も安らかに眠れぬ。お前たち、何とか連中を追い出してくれぬか?」

「もちろんです」


 俺の返事は当然オッケーだった。

 俺達の目的は神聖同盟の連中だからな。

 神聖同盟を倒せばルック王の願いも叶うのだから、この返事は当然なのだ。


「そうか。それはありがたい。礼として、連中を追い出したらここに隠してある英知の品々を全部持って行くがよい」

「ありがとうございます」


 これは嬉しいご褒美だった。

 何が置いてあるかは知らないが、英知の品々というくらいだから良いものが置いてありそうだ。

 俺は望外に貴重な品が手に入りそうなので思わず顔がにやけてしまった。


 ただここで喜ぶのは時期尚早だったらしく、ルック王がこう忠告して来た。


「喜ぶのはまだ早いぞ。ここで騒いでいる連中の仲間に最近強力な魔物が加わったのを私は確認している。ここまでの試練を突破して来たお前たちでも勝てるかどうかわからんくらい強力な魔物が、な」

「強力な魔物?それはどんな魔物ですか?」

「全身が黒色の毛におおわれていて、背中に鷹の翼、サソリの尾を持つ獅子の魔物だ」


 黒色の毛に、鷹の翼、サソリの尾を持つ獅子の魔物。

 聞いたことが無い魔物だな。

 俺がそう思っていると、横で話していたネズ吉がこう言い始めた。


「黒色の毛に、鷹の翼、サソリの尾を持つ獅子の魔物。そいつはもしかして闇の獅子『レグルス』ではないですか?」


 闇の獅子『レグルス』。

 どうやらそいつが今回の敵のようだった。

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