第714話~ドワーフの国の巨大地下墳墓 地下四階 その1 再びの遺跡エリア その先に待つのは?~
ドワーフの国の巨大地下墳墓地下四階に到達した。
地下四階は地下二階の洞窟エリア、地下三階の水路エリアと異なり、地下一階同様の遺跡エリアだった。
そこまでは良かったのだが、問題なのはここが地下一階よりもはるかに多くの敵が出現する事だった。
「ホルスト君。また敵だよ。今度はゾンビとレイスの群れだね」
と、リネットが零すように次から次へとアンデッドを中心とする魔物の群れが押し寄せてくるのだ。
それに対して、俺たちは。
「『聖光』」
「『光の矢』」
「『天罰』」
と聖属性の魔法で撃退したり。
「『聖属性付与』」
「行くよ!はあああ」
「たああああ」
武器に『聖属性付与』の魔法をかけてもらったリネットとネイアが打撃で倒したりして何とか対処している。
と、こんな感じでアンデッド軍団を撃破して先へ進む俺たちなのだが、ここにはアンデッド以外の魔物も出て来た。
その魔物はというと……。
「ひいい、スライムです!」
何度目かの魔物の軍団との遭遇時、アンデッドの群れの中にぬるぬるとしたそいつがいるのを発見したヴィクトリアが情けない声を上げる。
そう。その魔物とはヴィクトリアの天敵スライムだった。
ヴィクトリアには、強力なスライムを倒させたりと、これまでもスライムを克服してもらうべく色々と手を尽くしてきてはいるのだが、その後もスライムと出会う度に酷い目に遭い続けているため、結局苦手なままなのだ。
だから今回もスライムを見るなり俺の背中に隠れておろおろしている。
とはいえ、今回敵の主力はあくまでアンデッド軍団だ。
聖属魔法が得意なヴィクトリアがいなければ戦力半減だ。
それでは困るので、俺はエリカに指示を出す。
「エリカ。先にスライムを始末しろ!」
「はい。旦那様。『火矢』」
俺の指示で素早くエリカが動き魔法を放つ。
ボッとスライムが焼ける音が複数して、スライムが姿を消した。
それを見て、俺はヴィクトリアに声を掛ける。
「ほら、ヴィクトリア。エリカがスライムを始末してくれたぞ。今度はお前の番だ」
「は、はひっ!『聖光』」
スライムはいなくなったもののそれでもまだ怖さが残っているのか、ヴィクトリアは声を詰まらせつつも頑張って『聖光の』魔法で残ったアンデッドを滅ぼすのであった。
こんな感じでヴィクトリアがスライムに苦戦しつつも何とか俺たちは地下四階を進むのであった。
★★★
ただ地下四階で俺たちの行く手を阻むのは魔物だけではない。
先程のアンデッド軍団を倒して少し進むと。
「旦那様。行き止まりのようです」
エリカが通路の先が行き止まりであるのを発見した。
まあ、よくある話だ。
ここは複雑な地下迷宮。行き止まり何ていくらでもある。
行き止まりに遭遇したら他の道を探せばよいだけの話だ。
ということで。
「そうか。それじゃあ、他をあたるか」
俺がそうやって皆に指示を出し、他へ行こうとしたところ。
「ちょっと、待ってください」
そう言って、ヴィクトリアが待ったをかけてきた。
何事かと思った俺はヴィクトリアに問いかける。
「ヴィクトリア、どうしたんだ?」
「はい。土の精霊の報告によりますと、そこの壁、とても怪しいそうです」
「なに?本当か?」
「はい、間違いないです」
「それじゃあ、調べてみるか。『神強化』。『神眼』発動」
俺は『神眼』を発動し、問題の壁をじっくりと調べてみた。すると。
「お。壁のこことここの間にほんの一ミリくらいの小さな隙間があるな」
壁にわずかな隙間があることを発見した。
このような隙間がある理由は一つしかない。
そう考えた俺はヴィクトリアとエリカに指示を出す。
「ヴィクトリアは精霊、エリカは魔法でこの壁や周囲を調査しろ!」
「「了解です!」」
「土の精霊よ。この壁の周辺を探索するのです」
「『探知』」
ヴィクトリアとエリカがそうやって壁の周囲を探索すると。
「旦那様。壁の下の部分に何やらスイッチがあるようです」
「本当か?罠とかではないか?」
「はい。問題はなさそうです」
壁に何かのスイッチがあるのを発見した。
罠もなさそうだったので、早速そのスイッチを操作してみたところ。
「旦那様、通路が現れました。どうやらここから先へ進めそうです」
と、隠し通路が現れたのだった。
この階層へ来て以来行き止まりの通路ばかりだったので、これで先へ進めそうなのはありがたかった。
「さて、行くぞ」
そして、俺たちはその通路を通って階層の奥へと進んで行くのだった。
★★★
こうして魔物の襲来や迷宮の仕掛けに悪戦苦闘しつつ地下四階を歩き回ること半日。
「ホルストさん。何だか豪華な扉がありますよ」
地下四階を一通り歩き回った末に辿り着いた通路でネイアが豪華な扉を発見した。
扉は金銀宝石で彩られていて、とても華やかな感じだった。
これは絶対に何かある!
そう思った俺たちが、さらに扉を詳しく観察すると。
「旦那様。これはルック王の紋章です。といことは、もしかしたらこの先にルック王の墓所があるのかもしれません」
「ルック王の墓所?ということはこの先が?」
「はい。この遺跡の中心部に繋がっているものと思われます」
エリカのその発言を聞いた俺はようやく到着したと思った。
俺の想像では神聖同盟の連中は、遺跡の制御がしやすい遺跡の中心部にいると踏んでいたからだ。
ということで、早速先へ進もうとしたのだが、その前にヴィクトリアが気になるものを発見した。
「ホルストさん。扉の下の方を見てください。神代文字が刻まれています」
と、ヴィクトリアが扉に神代文字が刻まれているのを見つけたのだった。
神代文字は神の文字で神が造った遺跡や古代の遺跡でたまに見る文字だ。
現状、うちでこの文字を詠めるのはヴィクトリアだけだ。
だから、俺はヴィクトリアに読んでくれるように頼んだ。
「ヴィクトリア。なんて書いてあるのか、読んでくれ」
「ラジャーです。え~と……『The trial to the King’s Chamber.』とありますね。これは『王の部屋への試練』という意味ですね」
「なるほど。一応エリカの言うように王の部屋への道ではあるのか。ただし、その前に試練がある、と。そういうことか?」
「そういうことのようですね」
ヴィクトリアの話を聞く限りでは、この先には何か試練があるそうだ。
面倒だなとは思うが、中心部へ行くにはここを通るしかない。
「それでは先に進むぞ」
俺は扉に手をかけると、ゆっくりと扉を開けるのだった。




