喜びと歓喜
浩二と颯斗この二人のコンビは最強とも言えるだろう。
陸上の高校インターハイで表彰台に登りさらに大学は医学部をうけた。
一方も大学は国立の難関大を受けた。
まさに頭も体も日本最強クラスだろう。
普通そこまでの完璧超人はいない。
浩二が遊ぼうと言ってきた日は合格発表の日でもあった。
「ったく浩二のやつなんでこんな日に遊ぼうなんて言ってきたんだ?
でもあいつのことだから、何か考えがあるんだろうな」
独り言だ。
颯斗は勉強の時によく言うようになっていた。
そんな独り言を言っている時にさえも心中では考え事をしていた。
ふー一体何がしたいのか俺にはわからない。
浩二は頭良いし何考えているかわからない。
そもそも大学でも陸上を続けるかさえも…
…でもそれについては心配ないかもしれないな。
だって、だってあいつは言った。
大学に入っても陸上を続けると。
独り言を呟きながら考え事をしてしばらくするといつものように浩二は現れた。
「悪いな待ったか?」
「いや、別に対して待っていないよ。
そんなことよりなぜこんな日に?」
浩二は少し微笑んだ。
「決まってるだろ。
お前と一緒に合格の喜びを分かち合いたいからだよ」
「でももし合格していなかったらどうするんだ?」
「…お前は自分が落ちているとでも思っているのか?
そうなんだろう?
だから自分に自信が持てないんだろう?
いいか、確かに受験に絶対という言葉は当てはまらない。
だがな、自分自身を信じていなかったら絶対に合格することはできない。
俺らはそのことをインターハイで散々学んできただろう」
「いや、それはわかる。
でもな、もし片方が落ちていたとしたらどんな顔したらいいかわからないんだよ」
「でも、でもってお前はガキか?」
「…なんだと!?」
「気に障ったら謝るよ。
でもな、そんなこと気にしなければいい。
第一、お前なら絶対に大丈夫だよ」
「納得したことにしておくよ。
それでどこに行くんだ?」
「決まってるだろう?
こういう時は幼馴染三人で仲良く祝った方がいいじゃないか」
「それってまさか」
「そうそのまさかだよ。
美香だよ。
あいつにはもう話をしてある。
さぁ行こう」
「ったってどこに?」
「少しくらい考えろよ。
この流れでいったら由美の家に決まってるだろう」
「マジか」
「マジだ。
早くいかねぇと美香に怒られるぞ!」
「仕方ないな。
行こうか!」
そんな二人はまるで小学生のようにはしゃいでいた。
そして由美の家につくとまたもめた。
「お前がインターホン押せよ、浩二」
いやいやお先にどうぞ颯斗くん」
「都合のいい時だけ君付けかい?」
「いや俺が押してもいいんだけどもそれだとなんか違うだろう?」
「ええいどうなっても知らないぞ!」
「それでこそ男だな」
ピンポーン
「押したぞ」
「うん押したな」
「はい」
「「あ、あの町村と田中です」」
「颯斗と浩二?
待ってて今行くから」
「いらっしゃい。
うちに来るの久しぶりね。
いつ以来かしら?」
「もう6年以上はたつな」
「そうかもうそんなにたつのか。
それにしても由美の苗字久しぶりに思い出した気がするよ」
「まさか浩二私の苗字忘れてた話じゃないでしょうね?
会わな特徴的な苗字を」
「いやいや忘れるわけがないだろ?
獅子王なんて苗字」
「全国的にも珍しいんでしょうね」
「俺たちにはその気持ちはわからないな。
なんていったって田中と町村だからな」
「本当よね。
日本中にいるはずよね。
そんなことより早く中に入って。
ケーキとクッキー作ったけど食べる?」
「「食べる」」
「即答なのね
素直に言うと嬉しいけどね。
それはそうとそろそろ発表の時間じゃない?」
「そうか、もうそんな時間か」
「颯斗何時からなの?」
「えっと確か発表が十一時からだったはず」
「それじゃああと五分しかないじゃないの」
「そうなるな。
浩二同時に開くか?」
「その方がいい」
たわいもない会話をしていると五分はすぐに過ぎていった。
「5、4、3、2、1、さぁ十一時になったぞ。
準備はいいか?」
「大丈夫だ」
「それじゃぁいくぞ」
「「せぇの」」




