第74話 フラグメイカー白河
モブ側の話です。白河の凄さがわかる話。
「ああ勇者様!どうかこの村をお救いください!」
「任せてください。全力を尽くします」
っていう会話が行われている。目の前で。
これまでのあらすじ
俺、佐藤拓郎は桐生さんと白河と白河の取り巻き三人と共にダンジョン国家ソルカサスに向け旅を続けている。それまでに数々の苦難があり、白河が美少女を助けてフラグを作ったり白河が美少女と友情を育んだり白河が美少女に何故か殺されそうになってから白河が優しい言葉を掛けて美少女を改心させたり白河が美少女を.....etc
って感じ。白河の美少女エンカウント数が狂ってると思います。俺が把握しているだけでも十七回。俺が知らないところでも結構あったらしいから、このたった一週間程度で二十回を超えているんじゃないかなと思う。
一回目のエンカウントでは、リアルでこんな事ってあるんだなーって思い、二回目にはまたかよ・・・と思い、三回目でなんかおかしくない?と思い、五回目ともなるとこいつはきっとそういう星の下に生まれたんだなと思い、十回目からはもう何も感じなくなった。
しかも驚く事に、全員白河に対し好意を持っているみたいなんですよ。勿論、当人達がそうだと言っているわけじゃないけれど、態度で丸分かり。揃いも揃って軽く俯いてから顔を赤く染めて恥じらいの表情を白河に対し向けているわけです。まあ、その対象の白河はそれを分かってるんだか分かっていないんだか、いつもの爽やかスマイルを浮かべていましたけど。
しかし、その状況を黙って見ているだけの白河の取り巻き達ではない。新しく美少女が出て来る度に謎のアピールを白河にしていた。正直、常に周りで女の子がキャッキャと騒ぎ続けている白河は大変だなあと軽く同情するくらい、白河の周りは騒がしかった。
あと、みんな笑顔で騒ぎ続ける白河とその他達と、怖いぐらい冷めた眼でそれを見ている桐生さんが対象的でした。
少し疑問に思ったのは、何で桐生さんは白河達を置いて一人でソルカサスに向かわないのか。って事なんだけど、桐生さんに聞いたら「この人達と行動していた方が、水瀬君と早く会える気がするから」とのこと。やっぱり桐生さんの行動理念はそこなんだなあと改めて思い直しました。
「レイヤさん、あの盗賊達はとても強いし、数も多いです。いくらレイヤさん達が強くても、たった六人じゃ・・・」
「大丈夫だよリア。俺は、負けないから」
ところで今は、盗賊に襲われている女の子を助けたらとある村の村長の娘で、その村は盗賊の一味から頻繁に襲撃を受けている為、その村を盗賊達から救うというイベントが行われている。
ちなみに、村長の娘はやっぱり美少女だ。やったね!これで俺が知る限り十八人目の美少女とのエンカウントだ!
「じゃあ村長さん。僕らは行きます」
「勇者様、お気をつけください!」
「レイヤさん。必ず、無事に帰って来てください・・・!」
あ、漸く村長との会話と村長の娘とのフラグ作りが終わったみたいだ。
正直面倒だけど、このまま盗賊の脅威にされている村を放ってはおけないので、俺も盗賊退治に参加するつもりだ。というか、何故か俺と桐生さんも参加するということで話が行われていたし。俺は兎も角、桐生さんが断るとは思わなかったんだろうか。
「ああ佐藤、ちょっと待ってくれないか?」
盗賊のアジトが有るという話の洞穴に向かおうとするも、白河から声がかかった。
「なんだよ」
「君と桐生さんは、この村で待機してもらえないか?」
「・・・何でだよ」
「何十人もいる盗賊達が、揃ってアジトに居るとは限らない。もしかしたら、僕らが盗賊達のアジトに向かっている間に、この村が襲われてしまうかもしれないだろう?だから念の為、この村で待機しておいて欲しいんだ。アジトには、僕と七海、愛梨、柚月が向かう」
なるほど、理屈は分かった。だけど、
「大丈夫か?幾らお前が強いっていっても、相手の数が数だし、厳しいんじゃないか?少しでも戦力の多い方が良いと思うけど」
「大丈夫さ、佐藤。僕は負けない」
謎に自信があるみたいだ。
「じゃあ、そうするか。あの子も言ってたけど、無事に帰って来いよ?」
「・・・意外だな」
軽く励ましたら、何故か白河から驚かれた。
「何がだよ」
「いや・・・まさか、佐藤が心配してくれるとは思ってなかったからね」
「そりゃ一応クラスメイトだし、死なれたら気分が悪いだろ」
同じクラスメイトであるアキラは、喜ぶ気がしないでもないが。あいつ、いっつも「白河そろそろ死なないかな。いい加減寿命を迎えてもいい頃じゃね?」とか言ってたし。
「・・・そうか。じゃあ、行ってくるよ」
「おう、頑張れ」
白河とその取り巻き達は、盗賊達のアジトへ向かって行った。
だが、俺はこの時、思いもしていなかったんだ。盗賊達の中に女の子がいて、おまけに美少女で、白河がまたフラグを建ててくるという事を・・・
改めてこの作品のあらすじ読んでいたら、「何このハイテンションきもっ!」と思ったので、またあらすじ変えました。シンプルにしました。




