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第30話 これだけは言える。雪菜さいかわ。

ユイスって人についていったところ、何やら甘い香りのする部屋に案内された。そして、その部屋にいたのは、1人の美しい女性だった。


ふむ、普段システィアが近くに居るおかげで、美人に大分慣れた俺でも目を奪われる程の美女だ。噂に嘘偽りなし。


「初めまして、アキラ。さあ、こっちにいらっしゃい?」


つい見惚れてしまうような妖艶な笑みを浮かべ、俺を彼女が横になっているベッドに誘ってくる。


「ああ、じゃあここに座らせてもらおう」


だが、俺はその誘いをガン無視してその辺にあった椅子に座る。


「・・・そう。では改めて、私はミディルアーテ。ミディアって呼んでね?」


一瞬浮かんだ怒りをうまく隠し、笑顔を向けてくる。


「俺はアキラだ。よろしく、ミディルアーテ。」


今度は愛称で呼ぶことを拒否してやると、俺じゃなくても分かるくらいの怒り顔を一瞬見せた。

そんなに怒るなよ・・・折角の美人が台無しだぞ?


「・・・アキラ、貴方とは一度会ってお話がしたかったの」


「そうか、俺もだ」


そう言うと、ちょっとだけ嬉しそうにした。・・・チョロい。


「聞きたいんだが・・・何故俺の名前を知っているんだ?」


一応シャイニングのボスやってんだから、調べれば名前くらいすぐ分かるんじゃね?と思うかもしれないが、実はそんな事ない。何故なら、システィア人気に押されて俺の知名度は殆どないからな!多分今シャイニングの下っ端共が今俺に対して思っている事は、「なんか知らんけど偉そうな奴がいるなー。でもエイラさんやシスティア様と仲が良いみたいだし、言う事聞いてやっかー」って感じだと思う。


何故だろうな・・・俺、結構目立つような事したと思うんだけどな・・・。俺が直接ぶっ飛ばした奴等でさえ俺の事知らないってどういう事だってばよ・・・


「あら、気になるかしら?」


ちょっと意地悪そうな笑みを浮かべる。素直に教えてくれるとありがたいんですけど。


「貴方が私のモノになるなら、教えてあげるわよ?」


「あ、なら教えてもらわなくて良いぞ」


残念だったな!貴様の誘いになど絶対に乗らん!

焦るミディルアーテ。


「ど、どうして?気にならないの?」


「気にはなるが・・・、別に貴様のモノになってまで教えてもらおうとは思わん」


俺他人のモノになるとか絶対嫌なんで。あ、ごめん前言撤回。雪菜なら別に良いかもしれない。


「私のモノになれば、イイコトしてあげるわよ?」


そう言って、少し服をはだけてくる。何だこいつ。


「要らん。それよりも、俺がここに来た目的を果たしたい」


こいつの相手面倒になった。口説くならその辺のチャラいイケメンでも相手にしてください。多分喜んで食いついてくれるぞ?


「この・・・!仕方ないわね・・・」


さっさと用事を済ませたいのに、何故か独り言を言いだした。なんなのこいつ。人と話してる時に独り言なんて言うんじゃない。


「アキラ?私の目をよく見て・・・」


言われた通り目を見てやると、ミディルアーテの眼が妖しく光っていた。そして、不意に襲いかかってくる変な感覚。

これは・・・精神干渉系のスキルだ。俺も使えるから、よく分かる。中々強力なスキルだ。


だが、俺には関係ないな。


「・・・で、見てやったがそれでどうした?」


「な!?どうして私のスキルが効かないのよ!?」


「スキル使ったって自分で言うなよ・・・」


精神干渉系のスキルは使ったとばれないようにするのが普通だ。というか使えるという事ですら方が黙っておく良いのに、自分で使ったと言うなんて完全にただの馬鹿である。


「私の『魅了』が通用しないなんて・・・」


ふむ、『魅了』か。多分、対象者を文字通り魅了し、操るスキルだろう。


「言っておくが、俺に精神干渉系のスキルは効かないな」


「な、どうして!?」


「どうしてって・・・。純粋にレベルが違いすぎるからだが?」


精神干渉系のスキルが効くかどうかは、基本的にレベル差によって決まる。レベルが低い者がレベルが高い者に使っても効果は薄いし、逆にレベルが高い者がレベルが低い者に対して使えば、効果はかなり高い。


そして今回は・・・、ミディルアーテのレベルは、さっき『鑑定』を使って確認したところ81レベ。で、俺は上位職。はっきり言って、やってないも同然の効果である。

俺に精神干渉系のスキルを使いたいなら、まずは上級職になってからにしてください。


「スキルが効かないのは分かったわ・・・。でも、なんで私の魅力に惑わされないのよ!こんなにも誘っているのに!」


今度は自分自身の魅力と来ましたか。思うんだけど、この人誘ってるって言っても言葉でちょっと言っただけなのと、少し服をはだけさせただけだよね。他になんか無いの?


「確かに、ミディルアーテはとても魅力的だ。そのルックス、醸し出す雰囲気、素晴らしく男としては唆られるものがある」


「なら」


「だがな・・・。雪菜の笑顔を思い浮かべていれば、お前が誘ってきたところで何も感じないんだよ!!」


雪菜の笑顔に比べれば、ミディルアーテの妖艶な雰囲気なんざただのゴミである。


雪菜の笑顔が見たいです。くそ、写真の一つでも撮ってれば良かった・・・


「私の魅力が効かないなんて・・・。これで2人目だわ・・・」


もう一人は雑用係ですね。流石シスコン。あいつはミディルアーテよりもレベルが低いから、『魅了』の影響をモロに受けた筈だが、心を乱されなかったらしい。マジシスコンキモい。


「仕方ないわね・・・。ユイス!あの女を連れて来なさい!」


あの女?・・・あ、そういえばシスティア居ないじゃん。忘れてた。


「アキラ?貴方と一緒にいた女はユイスが抑えているわ。あの女が大事なら、大人しく私のモノになりなさい?」


んー、これどっかで見たシチュエーションだな。


「断る」


「何ですって!?。・・・そう、まあ良いわ。でも、ズタボロになったあの女を見て同じ事を言えるかしら!?」


そして、誰かが来た。それはーーー


「貴方が言う通りになりましたね。システィアさん」


「でしょう?アキラを誘惑したところで無意味よ」


仲良さげに話しているシスティアと最初に俺をここに案内した女性だった。


「・・・ええ?」


困惑している。安心しろミディルアーテ。流石に俺も予想外だ。

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