第21話 やっとミールに着いた
投稿し直しました。すいません。
「やって来ました！inミールー！」
「何やってるのよアキラ・・・」
なんとかっていう村でオーク討伐をした3日後、遂にミールに着いた。
「長かった・・・！ここまで来るのは本当に長かった・・・！」
「エンデスの王城からミールに来るのに1週間かかってないのは、逆に早過ぎるんだけど・・・」
まあ走ったしね。馬よりも速く！というかそれに余裕で着いてこれたシスティアも相当だと思うけど。
それにしても本当に色々あった。盗賊に襲われている冒険者を助けたり盗賊に襲われている女の子たちを助けたり盗賊に襲われている行商人を助けたり盗賊に襲われている村を助けたり。・・・盗賊多過ぎない？この世界どうなってんの？治安悪すぎじゃね？
「まあシスティアがナンパされなければもっと早く来れたんだけどな」
「うっ、それは仕方ないでしょ・・・」
盗賊に襲われている連中を助ける度に、システィアが男共にナンパされた。その度に何度俺が意味の分からん中傷されたことか。いくらシスティアが欲しいからといって、初対面の人間に「こいつは女を平然とヤリ捨てるゲス野郎だ」だのと言うのは余りに酷いと思う。良いんだけどさ。システィアは悪くないし。
「いやあ、それにしても感慨深いなぁ。あのクズが治める国から脱出出来たなんて。それだけでかなりテンション上がる」
「アキラって最近言いたい放題よね」
「だって言っても問題ないしー」
「いや、不敬罪辺りになると思うけど？」
「はっ。そんなの知らないな！」
力をつけた俺を誰が裁けるのか。いや、そんな奴いない(多分)
「それにしてもミールって人多いな」
見渡す限りでも何百人といる。この世界だと殆ど見られなかった光景だ。
「ミールは最大の商業国だからよ」
ミールは昔そんなに大きくなかったらしいが、各国間で貿易が始まり、大陸の中心にあるミールはその貿易の中心になり、色々な品物が運ばれ、娯楽品や嗜好品なども増えていき、それを求める人達も集まり、大きくなっていったらしい。ってシスティアが言ってた。間違ってても俺は知らない。
「それにしても、やっぱ感動するなぁ」
「何がよ」
「ふっ。そんなの決まっているだろ？」
超キメ顔で言う。システィアが軽く引いてるが気にしない。気にしないんだ・・・！
「ケモミミだよケモミミ！凄くね！？」
そう。ミールには獣人の皆さんが普通にいらっしゃるのだ。ヤバイ。なんだか泣きそう。
「獣人くらいエンデス王国にも居たでしょう？」
「分かってないシスティア。お前は全然分かってない」
「何がよ」
「あの国！獣人は奴隷しかいないだろうが！」
あのクズが治める国では亜人というだけで即奴隷にされる。許しがたい。
「奴隷になったせいで萎れているケモミミなんて見て何が楽しいんだ。俺は元気にフリフリ動いてるケモミミが見たいんだ！」
マジであの国滅ぶべき。寧ろ俺が滅ぼしてやりたい。
「まあ、確かに気分がいいものじゃないわね」
「ん？システィアって亜人奴隷反対派？」
エンデスにも一応亜人奴隷反対派が居たらしい。超少数派らしいけど。
「亜人ってだけですぐ奴隷にするのが気に入らないのよ」
吐き捨てるようにシスティアが言う。差別が嫌いなのかしらん？
「まあ、とにかくケモミミは良いなあ。・・・あのムキムキのおっさんに猫耳が付いてるの見てるとSAN値がガリガリ削られていくけど」
「ああ、確かにあれは結構キツイわよね・・・」
獣人を見慣れているシスティアでもあれはキツイらしい。なんかシスティアって俺と感性似てるな。
「だが、そんなものは見なければ良いだけだ。メインは、可愛い女の子だ！・・・というわけでシスティア。ナンパしてくるぜっ☆」
「止めなさい」
肩を掴まれた。何故に？
「離せシスティア！あそこに理想郷があるんだ！」
ほら！あのウサ耳の子超可愛い！俺は今人生で初めて『萌え』を理解した！モブ！俺やっとお前のとこに辿り着いたよ！前お前がケモミミについて語っている時に「うわ、こいつキモイな。今度から距離取ろうかな」とか考えてて悪かった！今ならお前と語り合える！
「いいから止めなさい！桐生さんが泣くわよ！」
「いや、なんで雪菜が出てくるんだよ」
雪菜のことを出すのはやめて欲しい。なんか分かんないけど踏みとどまっちゃうだろ。
「・・・前々から思ってたけど、アキラって本当に桐生さんのこと理解してないのね」
「いや、システィアよりは詳しい自信あるけど？」
これでも雪菜とは中学時代、仲良くしていた時があったのだ。一応雪菜の趣味嗜好は一通り把握している。・・・まあ、何故かある時、突然話しかけてくれないようになり、こっちから話しかけようとしても避けられるようになったので、あくまで四年位前のことだけども。
みんなも仲良くしていた可愛い女子から突然避けられるという思いを味わうといい。マジで心折れそうになるから。まあ、最近また前みたいに仲良く出来たから良かったんだけどさ。
「私が言ってるのはそういうことじゃないのよ」
「じゃあどういうことだよ」
「・・・聞くけど、アキラって私がアキラと話している時の桐生さんの目を見たことある？」
「無いな。俺人と話すときはきちんと相手の目を見る主義だから」
「・・・まあ、見ないほうが良いわよ。桐生さんの目、凄いから」
「雪菜の目が凄い、ねぇ」
・・・ふむ。確かにあれ以上可愛くなったらヤバイな。
「確かに見ない方が良さそうだな。クラスメイト相手に萌え悶えるとか俺のキャラじゃないし」
「盛大に勘違いしてるわね・・・。まあ良いけど。あとアキラなら何をやってもキャラがぶれることはないから大丈夫よ」
「なんか微妙に悪意を感じるんだけど」
「・・・・・・」
シカトしやがった。後で絶対おちょくってやる。
「まあ良い。とりあえずナンパは止めよう。それより宿を探そう。日も暮れてきたしな」
「そうね。遅くなって宿が埋まってしまったら困るし」
これ幸いとばかり便乗してきた。後でおちょくるのは決定事項だからな？
「じゃあ、行くか」
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「それにしても本当に色んな店があるな」
「そういう国だしね」
飲食店から始まり、服を売っている店やペットショップのようなとこまである。
「ん、あれは・・・」
なんか凄い大きい店がある。なんだあれ。
「多分あれは奴隷商館ね」
「なるほど。奴隷、か」
「もしかして、欲しいの？」
システィアが少し試すような目で見てくる。何その目。
「いや、少なくとも今は要らないな」
居ても邪魔だし。
「ふーん・・・。そう」
システィアが興味深そうに見てくる。何その顔。まあ、良いんだけどさ。
「さっさと宿を探そう。かれこれ20分は探してるぞ？」
なんでこんなに見つからないんだよ。
「そりゃそうよ。こっちは商業エリアで、宿はこの辺に無いし」
「何故それを早く言わなかった」
この20分は何のために使ったんだ。
「さっき歩いてる人に聞いたのよ」
えー。・・・まあ、聞いてくれただけ感謝しよう。
「じゃ、行くか」
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「お！いらっしゃーー
「アウト」
開けた瞬間即閉める。これが大事なテクニック。
「ちょっとアキラ。何してるのよ」
システィアが怒ったように聞いてくる。
「悪いがこの宿は駄目だ。あるものが足りていない」
「あるものって何よ」
「ファンタジーの宿には！可愛い看板娘が必要不可欠だろうが！」
ドアを開けた先に見たものは、愛想の良い感じのおっさん。悪いけど俺の守備範囲外です。
「あ、うんそうね」
思いっきり流された。気にしないけどな！
「というわけでこの宿は駄目。他探そう」
そんなことを言っていると、
「お父さんただいまー。お客さん何人くらい来たー？」
可愛い女の子がさっきの宿に入っていった。
「・・・よし、この宿に決めた！」
「・・・・・・」
システィアが冷めた目で見てくる。ヤバイ。新たな何かに目覚めそう。仕方ない。こうなったら！
「なあシスティア」
「何よ」
「俺思ったんだけどさ、旅してるわけだし、お金は節約したほうが良いと思うんだよね」
「盗んだ金が大量にあるじゃない」
「なにそれぼくしらない」
システィアが更に冷たい目で見てきた。ヤバイ！本当に目覚めちゃいそう！
「だからさシスティア。節約の為、部屋一緒にしようぜっ☆」
「えっ！」
動揺している。うん。なかなかいい感じだ。
「駄目よそんなの！そういうのはきちんとお付き合いしてからじゃないと！」
「いやいや、俺たち知り合って半年も経ったし、そろそろそういうのも良いんじゃないか？」
良いぞ良いぞ。慌てている。なんか楽しくなってきたな。良かった、Mに目覚めてなくて・・・。やっぱ俺はSだよ。うん。
「駄目よ！そんなことしたら、一体どんな目に遭うか・・・」
システィアは反対の様子。良かった、反対してくれて。もしオッケーされたらどうしようかと思ってた。システィアがきちんとした貞操観念持ってて俺嬉しい。ところでなんでそんなに怯えてんの？
「あはは。冗談だって」
「そういう冗談は本当に止めてよね。怖いから」
だから何に怯えてんだよ。別に俺と一夜を共にしたところで誰も何もしないと思うけど？
・・・あ、雪菜はちょっと怒るかもしれない。まだ城にいた時、「水瀬君がそういうことをするのは絶対駄目。するなら・・・//」とかって言ってた気がする。最後の方は口の中で呟く感じで言ってたから、耳がハンパなく良い俺でもよく聞こえなかったけど。
「気にすんなって。早く宿取ろう。明日はカジノでギャンブルだ！」
「するのは良いけど、節度を持ってやってよね」
「大丈夫だって。俺の予想が正しければ、勝てる！」
「破産するまでやるのは駄目よ？」
どんだけ信用されてないんだ、俺。逆に10億パル無駄にするのって凄くね？
「大丈夫だから・・・。さっさと宿取ろう！宿取るのに時間かかり過ぎだろ」
「そうね。・・・ギャンブルは節度を持ってやらなきゃ駄目よ？」
俺のシスティアからの信用が底辺。泣きたい。
「分かったって。手加減するからさ」
「・・・本当かしら」
心の底から信用されてない。まあいい。明日絶対見返してやるからな！
アキラと雪菜の中学時代編をいつやるか考え中です。どうしましょうか。
