第20話 とある人達の会話
ーーエンデス王国王城、とある場所ーー
「アレインよ」
「何でしょう。陛下」
「話は聞いたか?」
「水瀬明の殺害に失敗。そして脱走したことですか?」
「ああ。下手に手の内の者にやらせると、異世界人の誰かに感づかれた際反感を買うと思い、外部の暗殺者にやらせたが・・・失敗だったな」
「所詮は唯の暗殺者ですからな。陛下の『影』達と比べれば能力は落ちるでしょう」
「その暗殺者だが・・・殺した」
「当然でしょう。彼は知ってはならぬことを知った」
「まあそれはいい。問題は水瀬明があのシスティアを連れて行ったことだ」
「システィアですか・・・。アレを水瀬明につけたのは失敗でしたな」
「ああ、あの強さの者が敵に回るのは不味い」
「とはいえ、騎士団のトップ数人でかかれば十分に対応できます。問題は・・・」
「水瀬明、か」
「はい。ドラゴンをああも簡単に倒してしまうような奴が敵に回るのは、不味い」
「そうだな。さて、どうするか・・・」
そこで、新たな人物が入ってきた。
「失礼します」
「む、貴様か・・・。何の用だ?」
「水瀬を殺そうとした、というのは本当ですか?」
「それがどうした?」
「俺は水瀬が自分から出て行くようにと頼んだはずです。殺してくれと言った覚えはありません」
「ふん。貴様も奴の排除を望んでいただろう?その為に、クラスメイトに奴の悪い噂を流したりしていたのだろう?」
「確かにそうですが、俺はあいつがここに居るのが嫌になり、仕方なくではなく自らの意思で出て行って欲しかったんです。殺そうとまでは思っていませんでした」
「ふん、やり方の違いだろう。生きたままいなくなるか、死んでいなくなるかの違いだけだ」
「しかし・・・!それでは雪菜が悲しむ」
「どちらにせよ、貴様が儂に協力していたことに違いはない。くれぐれも他の者に水瀬明を暗殺しようとした、などとは言うなよ?不信感を持つ者が現れたら困る。特に桐生雪菜と佐藤拓郎。こいつらには決してな」
「・・・分かりました。ですが、水瀬を殺そうとするのはやめて下さい。水瀬が死んだら雪菜がどんな行動に出るか・・・」
「分かった分かった。奴が何もしないうちは決して手は出さん。分かったらさっさと出て行け」
「・・・失礼しました」
そう言って、出て行った。
「・・・やれやれ、やっと出て行ったか」
「あやつ、さっきまで聞き耳を立てていましたね?」
「ああ。面倒な奴だ。余程儂を信用してないと見える」
「まあ、あやつも中々の闇があるようですからな」
「女の為にわざわざこんな面倒なことをするような奴だからな。好かれた女も大変だろう」
「桐生雪菜でしょう?彼女は水瀬明を好いていたと記憶しておりますが」
「その為に元の世界にいたという時から水瀬明を排除しようとしていたのだろう?まあ、精々利用させてもらおうとしよう」
「水瀬明を殺すのは止めると仰っていましたが・・・。嘘でしょう?」
「当たり前だ。あんな危険人物を野放しにしておけるか。もうとっくに『影』を差し向けておるわ。城の外なら彼等を使っても問題ないからな」
「陛下の『影』ですか・・・。水瀬明が死ぬのも時間の問題ですな」
「ああ、そうだな・・・。む、丁度来たようだ」
「・・・失礼します」
「やっと来たか。水瀬明は殺したか?」
「・・・その件についての報告です。ターゲットとその仲間は、西に向かい、その跡をつけましたが・・・。あまりの速さについて行けず、ターゲットを見失ってしまいました・・・」
「・・・・・・」
「・・・申し訳ありません。罰は甘んじて受け入れます」
「いや、お前たちがついて行けないというのは相当だろう。甘く見ていたな・・・」
「どうするのですか?」
「・・・後に『影』に指示を出す。それまで待機しているように」
「・・・承知しました」
「・・・さてどうするか」
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とある場所では、
「・・・あ、今気づいたけど、最初城から出てきた時につけてきた連中、居なくなってんじゃん」
「え、跡をつけてきた連中が居たって、本当?」
「ああ。まあ、最初ダンジョンに着いたときあたりには殆ど居なくなってたし、その後ミールに向かって走ってるときにすぐ完全に振り切っちゃったから忘れてたわ」
「いや、そういうのは先に行ってよね?襲撃とかされたら困るでしょう」
「大丈夫だってー。いざとなったら地雷で足吹っ飛ばすしー」
「そういう問題じゃないから・・・」
「いいじゃないか。せっかくやっとミールに着いたんだぞ?思いっきり遊ぼうぜ(キラッ)」
「ああうん。なんだかもう面倒になってきたわ・・・」
「あはは。まあ、嫌なことは忘れなって!」
・・・・・・エンデス王国からミールにやって来た男女2人組の会話だった。




