第17話 テンプレの予感
「ねえ、今更だけど桐生さんは連れてこなくてよかったの?」
翌日、システィアにそう聞かれた。
「ああ。あいつにはやってもらうことがあるからな」
「ふーん・・・。佐藤君も?」
え、佐藤って誰?
「まあな」
多分知り合いなんだろう。
「そう・・・。でも私、桐生さんに怒られちゃうかもね」
「お前なんか悪いことしたのか?」
システィアが驚いたように俺を見てきた。
「分かってないの?」
「ごめん、何が?」
主語はどうした主語は。
「いや、分かんないなら良いけど」
「あ、そう」
なら良いか。
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「なんか飽きたな」
走り始めて数時間後、俺はそう言った。
「は?何言ってんの?」
システィアがそう言ってくる。
「いや、なんと言うか・・・。走ってばっかでつまらん。なんか刺激が欲しい」
流石にただ走るだけっていうのはもう飽きた。もう2日目だし。
「刺激って言っても、仕方ないでしょ?」
分かってないなシスティア。
「異世界来たら!なんかイベントあってもいいじゃないか!」
テンプレは何のためにあるんだ!
「そんなこと言っても・・・」
「昨日盗賊を見逃したのは失敗だった・・・」
マジつまらん。面倒でもフラグ立てに行くべきだった。
「見逃したって言うけど、殺さなかった?」
「いや、殺してはいない。仕留めたが・・・あの時は斬り込んで行って俺TUEEEEEEE!するべきだった」
失敗した・・・。ミール結構遠い。ちょっと隣の県行ってきますって感覚で行くべきじゃなかった。
「あとどれくらいで着くんだろう」
いい加減着いてもいいんじゃないか?時速80キロくらいで走り続けてるんだけど?
「これで半分くらいじゃない?」
「ウワァァァァァァァァ!?」
ヤバイ!超遠い!はっきり言って舐めてたこの世界!
「というかミール行くのは良いけどお金とかあるの?」
システィアにそう聞かれた。
「システィアはいくら持ってんの?」
「300万パル」
「はっ」
「は!?問題あるの!?」
「いや、あまりにも少なくて・・・」
俺より全然持ってきてないわ。
「そう言うアキラはいくら持ってるのよ」
「10億パル」
「・・・え?もう一回言ってもらえる?」
「10億パル」
「・・・・・・」
お?システィアが静かになった。
「・・・なんでそんなに持ってるの?」
ふっ、そんなの聞くまでもないだろう?
「王城から盗んできた」
「何やってんのよ!」
なんか怒られた。
「ダメなの?」
「駄目に決まってるでしょう!?それ犯罪よ!?」
「大丈夫、バレないって。俺が持ってきたの全体の0.01%未満だから。バレてもどっかの役人が横領したとしか思われないから。しかもあれ多分国王のポケットマネーだから」
「え、あの国王そんなに金あるの?」
馬鹿みたいに高い税金がどこに消えてるのかよく分かりました。
「それにしてもつまらないな本当。そろそろドラゴンとか魔王とか襲撃してこないかなあ・・・」
「来たら私死ぬから!」
「大丈夫。君は僕が守る」
超キメ顔で言う。もしかして惚れたんじゃね?
「・・・・・・キモ」
「なんだと!?」
そんな馬鹿な!?俺結構顔に自信あったのに!
「いや、走りながら言っても変な人にしか見えないから・・・。周り全部荒野だし昼で明るいから全然雰囲気無いし・・・」
駄目なのはシチュエーションの方だったか・・・。あ、ちなみに今までの会話全部走りながらやってます。
「ん、あれは・・・」
小さな村から煙が上がっている。もしかしてあれは!
「テンプレイベントキターーー!*\(^o^)/*」
「え、何!?どうかしたの!?」
システィアがなんか言ってるが放置!求めていたものがあそこにある!
「無双タイムだぁぁぁぁぁぁぁ!」
俺たちの冒険が、今始まる!
最終話ではありません




