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ごめんね、もう少し  作者: 仲町鹿乃子
5・香奈→告白
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「俺、朝倉(あさくら)とは、中学生の時から、塾の校舎が同じだった」

「そうなのね。でも、それだけ?」


 楡井(にれい)は、もっと何か言いたそうだけれど、それが言葉にならないといったような顔だった。


「塾の校舎が同じってだけの楡井君が、どうして物理のノートをコピーさせてくれたの?」

「……だから、それは、朝倉の友だちが、ノート集めをしているって聞いて」


 そこまで言うと、楡井は首を振った。


「ごめん。そうだけど、違う。――知りたかったから。朝倉が、どうなったのか」

 楡井が強いまなざしをわたしに向けてきた。

「ノートのやり取りの時、朝倉の友だちが、朝倉の病院での様子や退院してからのこと少し教えてくれて。気になることがあったから、話を聞けて、大丈夫なんだなぁと少し安心した」

「気になること?」

 その発言が、わたしは気になる。

「事故についての詳しいことは新聞で知った。腹が立つというか悔しいというか、それはそれである。……でも、それとは別に。なんていうか、事故の後も、何か変なことが起きてないかとか心配していた」

「つまり、楡井君は、車同士の事故についても、何かあるかもって思ったの?」

「……そう。でも、わからない。朝倉は、こっちが何を聞いても話そうとしてくれなかったし」

「もしかして、笙子はトラブルに遭っていたの?」


 わたしの言葉に、今度は楡井が大きく目を開いた。


「嘘だろ、知らないの? 朝倉は、家族に何も言ってなかった?」

「知らないから、聞いているんでしょ」


 まじかよ、と楡井は言うと、視線が泳いだ。


「朝倉、怪我多かったじゃない」

「怪我?」


 そういえば、母も言っていた。

 笙子が、勉強のための寝不足で、転びがちだと。

 寝不足で、足が滑ったって聞いていた。


「そーいうの、家では気にしないわけ?」

 責めるような口調に、うっと詰まった。

 わたしは、気が付かなかった。――というか、楡井の言うように、気にしていなかった。

 そして母も、どうなんだろう。あの口調だと笙子の言葉をそのまま受け取っていたように思える。


 ――迂闊だった。


「学校で、誰かに、いじめられていたってこと?」


 わたしが笙子として通い出してから、そんなことはないけど。


「学校じゃ、ない」

「学校じゃない?」


 だったらどこよ、と思った瞬間、わたしの頭の回路がぱっと繋がった。

 突然、塾をやめた笙子。


「塾ね。そこで何があったの?」


 わたしは、楡井に詰め寄った。

 楡井は、俺にもよくわからないんだと言いながらも話してくれた。


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