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モブのままでは終われない!  作者: とんけ
第2章:脱モブ宣言!
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和田 けんじ

 僕は飯室君にお礼を言って駆け出していた。

 頑張ろうとというこの気持のままに行動を起こしてみることにしたのだ。


 しかし、そもそもなぜ僕達はあんなにも無力感を感じてしまっていたのだろうか。

 神宮寺君達の圧倒的な力を目撃して、自分たちの頑張りが無駄に思えてしまったからだろうか。すこしづつ強くなって調子に乗っていた時に、一生たどりつけないだろう領域を見せつけられて自信を粉々に粉砕されたからだろうか。それとも単純に死にかけてたからだろうか。

 東堂さんと三上さんでさえ、涼宮さんのヒール技術を見せつけられて、僕達男連中と同じように目から光を失っていた。

 

 理由はよくわからない。

 でもそんな鬱々とした気持ちを飯室君が晴らしてくれた。

 

 神宮寺君達からみたら僕達は確かに変わっていないように見えるかもしれない。

 でも、やっぱりそんなことはなくてみんな少しずつ変わっているんだ。お互い影響を与えあって、僕達はいい方に変わっていってるんだ。


 とか、そんな感じできっとやる気が戻ってきてくれたんだ。


 このまま彼らに任せて普通に生活していくだけでいいわけがない。

 ともこちゃんは僕達の仲間だし、僕の子供(謎)でもあるんだ。僕達が行動しないでどうするんだ。

 ペロンギさんを救う決意をした時を思い出せ。あの時と同じように、たとえ周りから僕達の行動を無意味だと言われようとも自分の信じる道を進むんだ。


 僕は無我夢中で走り続けた。

 とにかくみんなと話そう。みんも話せばきっとやる気を取り戻してくれるはずだ。


 

 

 そうして、僕は、まず冒険者ギルドにやってきた。

 今日の朝、和田君から朝っぱらから酒を飲みに行こうと誘われていたのだ。

 僕はそんな気分じゃなくて町をぶらぶらしていたけど、和田君はきっと1人でも飲みに行ったはずだ。冒険者ギルドは冒険者に安く酒や食事を提供してるのだ。和田君のいきつけだからきっとここに来たはず。


 もう夕方だからまだいるかわかないけど、どうだろうか。


 僕はそっと冒険者ギルドの扉を開けた。


 「うわぁ・・・・」


 僕のやる気がどこかへと飛んでいきそうになる。

 僕はギュッとそのやる気の尻尾をつかんで引き戻し、冒険者ギルドの食堂の片隅でぐでんぐでんになりながら酒を飲んでいる男のもとへと歩いていった。


 「おれ・・はつよいんだ。つおいはずなんだよ・・・・」


 男はなにやらたわごとのように強いんだ強いんだ~と愚痴愚痴といっていた。


 「和田君、ちょっといいかな?」

 「あ?なんら、ともたけか。なんのようだ。いまからのむか?いいぜ、つきあってやるよ。てんい―――――」

 「いいから。いいから」

 

 和田君が大声で店員さんを呼ぼうとするのをあわてて止める。


 「あ?なんだよ。さけをのみにきたんじゃないのかよー」

 「まじめな話があるんだ。だからちょっと酔った振りはやめてもらえる?」

 「・・・・、なんで酔った振りだと思うんだよ」


 ふふふ、だてに家族ののんべぇっぷりを見てきたわけじゃない。本当に酔っているのか、酔った振りをしているのか、そういうのはなんとなくわかってしまうのだ。


 「そんなことはどうでもいいんだよ」

 「そうだな。で?まじめな話ってのはなんなんだよ?」


 僕は話すのは得意な方ではない。だから感情の赴くままに、相手の顔面に向かって剛速球をぶちかますだけだ。


 「ともこちゃんを助けに行こう。どこに連れて行かれたかもまだわかない。けど、とにかく行動しよう。このまま神宮寺君達に任せて酒におぼれてるだけじゃだめだ!」

 「何を言うかと思えば・・・・・。俺だってともこちゃんを助けたいさ。でも、あいつらの領域に俺みたいな凡人じゃ到底立ちいることはできないんだよ」


 やっぱり僕と同じようなことを考えていたんだな


 「そんなことない。僕達だってきっと頑張ればなんとかなるよ」

 「なるわけない!!!今日俺は自分のレベルを測ってきたんだ。何レベルだったと思う?」


 えっと確かハイオークと戦った時に15レベルって言ってたっけ?

 それから、魔物の大群やらケルベロスと戦ってきたから・・・・・

 

 「25レベ位?」

 「30レベルだよ」

 「30レベル!すごいじゃん。いつの間にかそんなにレベル上がってたんだね。」


 「ああ、すごいんだよ。それなのに赤鬼になすすべもなくやられたんだ。ペロンギさんが最初に言ってただろ?10レベルごとにどんどんレベルは上がりにくくなるって。つまり俺はこれから強くなるには今まで以上に戦わないといけないんだ。その間に神宮寺達は強いやつと戦ってどんどん先を行く。俺達が頑張ったって無駄なんだよ」


 和田君は語尾を荒立たせる。

 和田君の言いたいことはとてもよくわかる。僕だってさっきまで同じようなことを考えていたんだから。

 でも、


 「うん、それはそうなのかもしれない。僕達が強くなったとしても、彼らはきっとその2歩も3歩も先を行く」

 「だったら俺達が頑張る意味なんて・・・・」


 「でも、そんなの関係ないんだよ。僕達ができることをするのに、そんなことは何の関係もない。前に僕に言ってくれたでしょ?周りからどう思われるかは関係ない、大切なのは自分が何をしたいかだって」


 「は・・・・・」


 僕の言葉で和田君が固まる。

 

 「だからさ、神宮寺君がどうだとかは気にしないで、自分がしたいことしよう!僕はともこちゃんを助けたい。一刻も早く助けてあげたいんだ」


 「・・・・・そ、そうだな。まさか自分が言った言葉で勇気づけてもらうなんて。俺ってやっぱり才能あるわ!ともたけ!他のみんなにも声をかけよう」


 和田君はばんと机を叩いて立ち上がる。

 うん、そうしたいし、そうするつもりだったけど、なんか急に立場逆転してる気がする。

 む~、ちょっと気に食わない。

 

 「・・・・・・」


 「よし、さっそく行動あるのみ!ひろしがいそうな図書館に行くか?」


 和田君はすたすたと歩き出す。

 急に変わりすぎである。でも、めそめそしてるよりもよっぽど和田君らしい。


 「そうだね。次は図書館に行ってみよう」


 僕達は冒険者ギルドを後にして図書館へと向かった。


 

10万文字位を目標に書いてみるぞ~と始めたのですが、現在8万文字を超えて約8割のラインに到達しました。大体立てた目標を叶えずに終わるパターンが多いのですが今回はなんとか達成できそうでわくわくしております。

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