表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

17/17

番外編1 風邪をひいた

新連載の影響か、結構読んでいただけているようなので、調子に乗って番外編投稿します!

連載時、3話構成で考えてた話をギュッとしてるのでちょっと長めですが、ご了承ください。

 ロットのお父さん(女性)突撃事件からしばらく経ったある日の休日の朝。


 ふと目を覚ますと、すぐ目の前にロットの顔があった。


「…………おはよう」

「はい、おはようございます」


 特に慌てるでも誤魔化すでもなく、変わらずじっと見つめてくるロット。それもかなりの至近距離。

 ……これどういう状況だ?


「あの、そんなに見られると緊張するんだけど」


(わたくし)に見つめられてドキドキするなんてそんな……! ついに相思相愛になりましたわね!」

「いやそのドキドキは性質がちょっと違うんじゃないかな!?」


 見つめられるプレッシャーと恋心を一緒にされても困るぞ……。


「ん……どうかしたんですかユリーナちゃん……」


 今の一悶着(ひともんちゃく)のせいで、リリーが起きた。


「あ、ごめん、起こしちゃった?」

「いえ、別にそれは構わないんで───って、何してるんですか!」


 目を覚ましてこちらを見るや、リリーはロットを私から引き剥がした。

 さすが冒険者志望、素晴らしい反射神経だ。


「ちょっ、離してくださいまし! (わたくし)のユリーナ様の寝顔を見つめるという、大切な日課を邪魔しないでくれませんか!?」

「日課って、ロットさん毎日そんなことしてたんですか! ……なんて羨ましい!!」


 え、ロットずっとそんなことしてた───って、リリーの反応おかしくない!?


「そもそも、もうユリーナちゃんも起きてるじゃないですか! 寝顔じゃないですよ!」

「寝顔じゃなくてもユリーナ様の顔は見つめたいのですわ!」

「それには同意しますけど、だからしていいって物でもないです!」


 ちゃんと正論なんだけど、同意はしないでほしいかな。


「うるさいですわ! ユリーナ様に許可は取ってます! もう相思相愛ですわ!」

「そんな嘘つかないでください! ユリーナちゃんも嫌がってたじゃないですか! …………嘘ですよね、ユリーナちゃん?」


 少し不安そうな顔でこちらを見てくるリリー。


 いやそりゃ許可なんて出してませんとも。

 ただ、嫌と言い切るのもアレなので、それとない笑みを浮かべておいた。


「ほら! あれは肯定の笑みですわ!」

「い、いや! あれは許可は出してないけど嫌とは言い切れない、そんなユリーナちゃんの優しさからくる笑みですよ! 私はロットさんより付き合い長いからわかります!」

「そんなのたかが数日とかでしょう! 重要なのはいかに濃厚な日々を過ごしたかですわ!」

「濃厚な日々なら私も過ごしました! そもそも基本3人行動なんですから、濃度は同じくらいです!」

「そんな事ありませんわ〜! (わたくし)は───」


「ちょっとストップ!」


 このままだとまた1時間言い争いコースになりそうだったので、叫んだ。

 ただ、それでも二人は止まらなかった。


「いや、あの、ちょっ……私のために争うのやめて!」


 私の心からの叫びに、さすがの2人も一時休戦してくれた。


 まさか女の子相手にこの言葉を使う日が来ようとは……。

 まぁ争い自体、ぼやかした私のせいな気もするんだけど、そこは見逃してください。


「私にとっては2人とも大事な友達だから差なんてないの。いい?」


「友達……ですか」


 リリーが少し残念そうに言った。

 え、それは私と友達辞めたいって意味ではないよね?


「ユリーナ様! これから友達以上になる……というか、恋人になれる可能性はありますか?」


「あ、その質問は抜け駆けです! ルール違反です!」


 抜け駆けってなんだ、抜け駆けって。


「2人とも……というか、ロットは今日どうしたの? やたらテンション高いように感じるけど」


「そうですか? いつもこんな感じじゃありません?」


「そうですわ。(わたくし)はいつでもユリーナ様を狙ってますもの!」


 あぁ、よく考えたらいつもこんなな気がしてきた……。


 いや、でも普段はもっとこそこそと欲求を満たしてた気がするんだよね。

 少なくとも、寝顔を見てるのがバレたら誤魔化そうとしたはずだ。


「もしかしてロット、熱でもあるんじゃないの」


 半ば冗談でロットのおでこに手を当てた。


 すると、火傷しそうなほどの高温が手に伝わってくる。


「熱っ! ロット、凄い熱じゃん!」


「え? 言われてみればなんか体が熱い気が……」


 意識すると一気にダメージがくるのか、ロットは少し揺れた後、その場で倒れ込んでしまった。


「あぁ、ロットさんが倒れた!」


「い、急いで保健室───はロットのこと分からないか……」


 あそこは人間の体調不良を想定してるだろうし、精霊のロットの対処ができるか不明だ。


「よし、ローリィー先生だ! ローリィー先生のところ行こう!」


 というわけで、リリーと私はロットをおぶってローリィー先生の元まで急行した。

 その間ロットが「ユリーナ様の背中……幸せですわ……」とか呟いてたけど、気にしないでおこう。



 そして、ローリィー先生にロットの様子を見てもらったところ、


「これは、魔力の過剰蓄積が原因じゃな」


 とのことだった。


「えっと……過剰蓄積ですか?」


 聞く感じだとまあ私がやった欠乏症の逆みたいな感じか?


「かなり例が少ないからよう分かっとらんのじゃがな、その名の通り、体内にある魔力がそいつのキャパ以上にある状態じゃ。普通過剰な魔力は自然と外に出るんじゃが、外に出せなかったり、再生スピードの方が速かったりすると起きる病気じゃ」


 確かに私生まれてから10年くらいまともに魔法使ってないのにこんなことならなかったもんな。

 自然と外に出てたからなのか。


「ちなみに、こうなるとオーバーした分の魔力が暴走して、簡易的な魔法を引き起こす。今回の場合だとロットが火の精霊じゃから、体温が上がっとるのじゃろうな」


 なるほど、これが水の精霊とかだと、全身から水が溢れ出すとかになるのか……。


 火の精霊でよかったのか、悪かったのか。


「ちなみに、それってどうすれば治るんですか?」


「症例が少なすぎて解決法はワシも知らん。じゃが、原因から考えれば、魔法を使うか、魔力を奪うかじゃろ」


 なるほど、言われてみればそうか。


「じゃあロット、魔法って使えそう?」


「使えなくはないですが、コントロールは難しそうですわ。最悪、この学校ごと吹き飛ばしかねないかと……」


 それは困る!

 というか、全力出したらそんなレベルで魔法使えるのか……。恐るべし火の精霊。


「となると、魔力を奪うか……。ちなみにローリィー先生、魔力ってどうやったら奪えるんですか?」


「魔力奪取か、魔力譲渡のスキルがあれば可能じゃな」


「あれ? 譲渡でもいけるんですか?」


「あぁ、どちらも魔力を移動させるのに長けたスキルじゃからな。そりゃ双方同意じゃなきゃ動かせんじゃろうが、過剰分ならいけるはずじゃ」


 なるほど。

 それにしても魔力譲渡、どこかで聞いたことあるスキルのような……。


「あ、そういえばリリー、魔力譲渡持ってたよね!」


「は、はい、それは持ってますけど……」


 そうだ、私が魔力欠乏症になった時に使ってくれたスキルだ!


「それなら安心じゃな。ほれ、さっさと使ってやるのじゃ」

「うん、お願いリリー!」


「いや、あの……私の魔力譲渡、キスしなきゃ出来ないんですけど……」


 あ、そういえばそうか……。

 でも、今回ばかりは背に腹は変えられない。


「お願いリリー、後でなんでも一個お願い聞いてあげるから!」


「え、本当ですか!?」


 一気に顔が明るくなるリリー。

 あ、なんでもは言いすぎたか……?


 いや、でも今回は仕方ない。受け入れるしかない。


「うん、聞いてあげるからお願い!」


「分かりました! 喜んでさせてもらいます!」


「え……あの、(わたくし)の意見は───」

「いきますよ」


 少し文句の言いたげなロットのくちを塞ぐように、リリーはキスをした。

 そしてそのまま15秒ほど続けると、ゆっくりと離れる。


「ふぅ、これでもう大丈夫なはずです」


「本当!? ロット、体調はどう?」


「ま、まぁ悪くはありませんわね。……その、キスもうまかったですし」


 ロットはぽっと顔を赤らめて言った。


「ちょっ、変な反応しないでくださいよ!」

「変な反応なんてしてませんわ! ちょっとキスが上手いからって調子に乗らないでくれません?」

「乗ってません! ユリーナちゃんがお願いするからやってあげたのになんですかその態度!」

「別に(わたくし)もやられたくてやられたわけじゃありませんもの!」


 ギャーギャーと騒ぐ横で、私はローリィー先生に質問していた。


「あの、なんで今回、過剰蓄積なんて起きたんですかね?」


「精霊の事は未だによく分かっておらんからの。正確な事は分からんが、魔力が外的要因からも作られておるのかもしれん」


 外的要因……つまり、自然回復以外でも魔力が生まれてるってことか。


「……あ、そういえば前、食事をしたら魔力に変換されるとか言ってた気がします」


「おぉ、じゃあそれじゃな。精霊は普通食べ物なんて摂取できんし、するにしても人間に憑依するから、普通に消化できるんじゃろ。でも杖のロットにはそれができなかったと言ったあたりじゃな」


 なるほど、杖の擬人化であるロットだからこそ起きた現象ってことか。


「今後は定期的にロット自身に魔法を使わせるか、リリアーナに吸わせるようにするのじゃぞ」


「はい、気をつけます」


 リリーは嫌がりそうだし、魔法を使ってもらうのが基本になるかな。


「それにしても良い情報を聞いた。これは学会で発表できるレベルの情報じゃ……」


 ローリィー先生は心底嬉しそうにニヤニヤしていた。

 というか学会とかあるんですね。やっぱり教授みたいなシステムだ。



 ちなみにリリーのお願いは「今後はずっと一緒のベッドで寝てください!」とのことだったので、最近はずっと一緒に寝ることになっています。


 ───めでたしめでたし───

これからも、需要がありそうなら思いつき次第、書いていきたいなと思います。


そしてしれっと宣伝を……。

前書きでもちょっと触れましたが、現在『魔王の呪いを受けた勇者が、私に対して積極的すぎます』という作品を投稿させていただいています!

コンセプトの都合上、こちらほど常時ハイテンションって訳では無いのですが、一応百合作品になります。多分こっちの作品を楽しんでいただけた方なら、お楽しみいただけるかと思いますので、覗いていただければ嬉しいです!


https://ncode.syosetu.com/n7301gx/

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ