表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
YouTuber 青星声ver.1 ~水橋拓真は選ぶ~  作者: わ→たく。
【声優になりました】
39/50

Ino Mizuki ⭐︎ Live Tour 最終公演

 六月十七日。 僕たちは幕張に来ている。 時刻は朝の六時。 六月なのでもう明るい。

 「グッズ販売開始時刻って十時からだっけ?」

 「はい」

 心絆(ここな)さんは列の最後尾にスカートでヤンリー座りで座り込み胸元をパタパタとさせ始めた。

 「まだ朝の六時だよね? 人多すぎでしょ」

 今日僕たちがなんで幕張にきているのかというと幕張メッセでいのっちゃんのライブツアー最終公演が行われるからこんな時間からきている。 ちなみに開場時刻は十六時。 十時に買えたとしても六時間はどこかで暇を潰さなくてはならない。

 グッズ販売開始時刻が十時ならそれに合わせてくればいいと思っている人もいるかもしれないですが、この時間にきても遅いかもしれない。 いや、遅い。

 六時の時点で僕たちの前には二千人くらいの人が並んでいる。 十時に合わせて行ったら確実に欲しいものは買えないだろうな。

 「コラボさせていただいた時も思ったけど水輝(みずき)さんって本当に人気だよね」

 本当に人気だよ。

 僕はいのっちゃんのファンクラブに入っているが人気すぎてこの公演のチケットを二枚までしか買えなかったし。 だから今回は空翔(そらと)さんには内緒できている。 まあ誘っても来るかわからないけど。

  「しても、拓真(たくま)。 暑そうな格好だね」

 一応僕も声優ですし、いのっちゃんとももうすぐ終わるかもしれないけど、一緒にラジオをやらせていただいていたりして顔ばれはしているから変装しようと思ったらこうなったんだけど。 サングラスに上は適当な半袖Tシャツにファーストライブの時に買ったハイネックパーカーを着て、下は七分にも半ズボンにもなるズボンを履いて信号カラーのキーリングのついたトートバックを持った格好。 いたって普通だと思うがパーカーがとても暑い。

 「暑いなら脱げばいいじゃん」

 「脱いだら負けた気がするからまだ脱がない」


 時刻はまだ六時半。 並んでから三十分しか経っていない。

 「拓真。 ひま」

 心絆さんがひまひまうるさいので吉野先輩を起こして三人で麻雀アプリで遊ぶことにした。


 「ねぇ。 嘘でしょ? もう一回」

 今の時刻は十時近く。 何試合したのだろうか。 そしてこの言葉を何回聞いただろうか。

 「何で? まだ一回もロンしてなければツモにもなれなてないんだけど」

 ヤ・キ・ト・リ(笑)

 心絆さんは吉野先輩から送られてきたメッセージに腹が立ったのかもういいとへそを曲げてアプリを落としてしまった。

 やめたと同じくらいにグッズの販売が開始された。

 「もう四時間も経ったの? 時間経つの早いね。 って携帯の充電も減るのはや」

 そりゃあ通信対戦してたら充電の減りも早くなりますよ。 でも本当に麻雀に熱中しすぎて四時間があっという間に感じたな。 今日のライブはもっと早く感じちゃうんだろうな。


 それから二時間後の十二時過ぎようやく僕たちはいのっちゃんのグッズを買うことができた。

 心絆さんはどのくらい買ったのかな?

 「私はパンフレットとペンライトしか買ってないよ」

 それだけですか? 六時間くらい並んでそれしか買わないなんてもったいないですよ。

 「ちなみにいくらぐらい買ったの?」

 パンフレットは勿論、ペンライトに生写真・・・・計八点購入して一万四千百円。 決して安い買い物ではない・・・・よね? でも、一万円代で済んでよかったって思ってるってことは金銭感覚狂っているのかな?


 「これからどうしようか? 開演は十六時だからよ時間くらい暇だね」

 そう言えばそうだった。 グッズ買って満足していたけど今日はこれで終わりじゃないんだった。

 本当にやる事がないので近くにあるショッピングモールで心絆さんに僕好みのワンピースをプレゼントした。

 心絆さんへのプレゼントで気合いが入りすぎてあげる相手が飽きるくらい選んでしまったため買い終わると開演時間ギリギリになってしまった。



 会場の中に入れたのは十六時十五分くらい。 僕たちが座ったのは下手側(舞台の右側(客席から見て左側))の二回席でステージ近くに座った。

 「もしかしてこの席って見づらい席ですかね?」

 ステージを斜めから見ることになるのでもしかしたら見ずらいかもしれない。

 「今回は外れ席かもしれないね。 でも当たらないよりかはいいよね」

 それはそうなんですけどね。


 会場の席が埋まり辺りも暗くなった。

 「うおぉぉぉぉ」

 いのっちゃんの最新アルバムの一曲目のイントロが流れ、野太い割れんばかりの大きな歓声で包まれた。


 「幕張! 盛り上がっていきましょー!」


 大盛況の内に幕が落ちた。

 「前回よりも格段に楽しかったね」

 前回というのはいのっちゃんのイベントにサプライズで出演したあの日のことを言っているのだろう。

 前回は控え室こテレビで見ていることが多かったしね。

 今回はアルコールの時にいのっちゃんがスタンド通路へと登場してくれるとは思わなかったし。

 外れ席かと思ってたけどまじかでいのっちゃんを見ることが出来た席だしやっぱりあたり席でしたわ。


 よーし!今日は早く帰って余韻が冷めないうちにリアルタイムでラジオ聞こう!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ