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YouTuber 青星声ver.1 ~水橋拓真は選ぶ~  作者: わ→たく。
【声優になりました】
33/50

いのたく

 時は遡って三月中旬。

 だからまだYouTuberだが、ほとんど声優になった時のためのことをしているのでメインチャンネルはサボリ気味。

 そんな中今日の仕事はラジオの仕事。


 「「せーの。 いのたく」」

 YouTuberとして最後に出した動画から五日が過ぎた四月一日日曜日に放送される番組の収録。

 「みなさん初めましてこんばんは。水輝伊乃(みずきいの)です」

 「みなさん初めましてこんばんは。水橋拓真(まずはしたくま)です。 この番組は、水輝さんと僕がお互いのラジオの間にまったりお話しする、ゆる〜い新番組です」

 最後のラジオで最後に情報解禁したのは水輝伊乃さんとラジオをやらさせていただくことになったと言うことだった。 このラジオは水輝さんが僕とラジオをしたいと言って始まった番組らしいが、こんな感じで始まった他番組あるよね? これはもうパクリと言われてもしょうがないよね。 でも、この情報は表には出さないから誰にも気づかれることはいないけどね。

 表向きにこのラジオが始まった理由を言うと、お互いのラジオの宣伝のために始まったらしい。 あとで適当につけたからってこれでいいのかな? なので、放送期間は三ヶ月だけらしい。 リスナーさんからの応援があればもっと伸びる可能性はあるそうだが、そんなこと滅多にないらしい。 この番組も無くなって欲しくないのでこのことはリスナーさんに伝えて放送終了防止対策はするからまず一ヶ月くらい延長はあるかなって思ってるけどそんなに甘くないよね。

 「水橋くん。 今日からまず三ヶ月間よろしくお願いします。 水橋くんって今日から声優になったんだよね?」

 「そうなんです。 昨日まではYouTuberだったんですが今日から声優になりました」

 四月一日ということで事務所との契約やこのラジオ自体がエイプリールフールの嘘じゃなければいいんだけど。 って、撮影はまだ三月の中旬だから関係なければいいんだけど。

 「まさか声優になった初日からこうやってお仕事ができてるなんて幸せですね」

 「そっか。 このラジオが初めての仕事なんだ。 ならなおさらこのラジオ続けなきゃね」

 水輝さんは本気だよと東京にある球団の元監督のようなグータッチを求めてくるが、僕が好きなのはその球団じゃないんだよな。

 「そんな番組『いのたく』をよろしくお願いします。 ということで早速初めていきましょう」

 「今日も最後までお付き合いください」

 「「せーの。 いのたく」」

 自分で言っていてもわかるがなんかダサいね。 いや、なんとかの部屋とかだったら「くつろいで行ってくださいね」とかあるかもしれないけど『いのたく』だと難しいよね。 水輝さんの『いの』と、僕の名前の拓真から『たく』だけをとった簡単なタイトルだからね。しょうがないね。


 「改めまして。 水輝伊乃です」

 「水橋拓真です」

 「はい。 それでは今回初回放送というわけでお互いまだ知らないところがあると思うので自己紹介をしていき仲を深めていきたいと思います」

 初めましてというわけでもないのでリスナーさんよりかは知っているとは思うけど、水輝さんファンとしては知らない情報が聞けて、()()()そこが使われなかったとかなったとしたらもうこれ僕得のコーナーですよね。

 「仲を深めるって言ったら相手の過去を聞くもそうかもしれないけどまずはお互いあだ名で呼び合わない? そっちの方が仲良さそうに見えるし」

 「まあまだそうにですからね。 まずは形からってやつですね」

 少し意地悪く返すと「違う。 違う」と慌てた。 その時に手を前に出して降ったり、顔を赤くしながら僕の肩を叩いたりする。 誰得? リスナー得? いやもう僕得でしょ。

 「それで、今まで呼ばれてたあだ名じゃなくてここだけのあだ名で呼んでもいい?」

 恥ずかしさを消すためか僕のことをこれでもかと叩きながらは辞めてもらいたい。

 「ここだけのあだ名ですか? 水輝伊乃だから、いのさん、ちゃんいの、いのすけ、いのりん、いのぺ、いのたま、いーのー、いの様、いのっち、いーちゃん、いのっちゃんとかですかね。どれがいいですか?」

 我ながらこんなにも人のあだ名の候補を出せたのには驚くな。 まあセンスとかは別にして。

 「いーのーとかテキトウでしょ? テキトウじゃないとかウソだよ~。 えー。 こっから選ぶの? こっから選ぶとしたら最後のいのっちゃんかな? なんか元気そうだし。 あ、でもいのたまとかもいいかも」

 最後の一言はマイクでも取れてるか取れてないかギリギリ何じゃないか? まぁ隣で聞かさせていただいている僕には聞こえてたけどね。

 「いのたま次は僕の決めてくだい!」

 「もうからかわないでよ」

 言われる方は恥ずかしいのかわからないけど、このあだ名だと言ってるこっちの方が恥ずかしくなっちゃうな。 いのたま。でも、たまって言うのが可愛いよね。

 「水橋拓真でしょ? たくちゃん、ちゃんたく? 茶タクとか? あとは、ばっしー、あとは私と一緒のたくっちゃん?」

 茶タクって僕が小中学校の時に呼ばれてたあだ名じゃん。 小学校低学年の時はタクちゃんって呼ばれてたんだけど『〜ちゃん』っていうのが女の子っぽくで嫌になったことがあって、友達にあだ名変えてって言ったんだっけ? そしたら、たくちゃん→ちゃんたく→ちゃたくってなったんだよね。 それでそん時あだ名の漢字ブームっていうのがあって、ちゃたく→茶タクになったんだ。 茶タクも懐かしくていいけどやっぱり

 「せっかく一緒にラジオやるんですからおんなじ感じのあだ名にしませんか? だから、水輝さんは『いのっちゃん』で僕は『たくっちゃん』に」

 いのっちゃんとたくっちゃんというあだ名を決めて早速自己紹介を始めようと思い進めているといのっちゃんがまたある提案をした。

 「自己紹介は来週にして今日はフリートークにしない? いいでしょ? ゴメスさんもいいですよね?」

 あー。 そうそう。 このラジオの作家さんは『吉乃と小春のレディーオ!』の時のゴメスさん。 ちなみに『ミズタクが一人で三〇分ラジオをやってみた。』の作家さんもゴメスさんらしい。

 そのゴメスさんもいのっちゃんの勢いに負けたのか残りの時間はフリートークと少しの宣伝コーナーになった。

 「よーいスタート」

 よーいスタートってフリートークくらいでそんなになります? 自己紹介の方がいいでしょ。 まあ僕の場合は下心アリアリですけどね。

「早速フリートークってことで、よーいスタートって言ったら敬語一切禁止ね。 私にプライベートでも敬語使ったらうーん。 どうしよっかな」

 「いや、どうしようかなって、敬語禁止っていいんですか?」

 「あ、敬語使った!」

 「え? いや、まだよーいスタートって言ってないじゃない・・・・言ってないじゃん」

 「いや冒頭で言ったもんね」

 子供かよ。 こんな感じやってたら僕の体力は三十分持つのかな?


 いのたく初回放送の収録が終わった。 今まで一年間ラジオをやってきてラジオに慣れてきたとか思ってたけど、プロとアマじゃ全然違うね。 まず一人の時は作家さんとかスタッフの皆さんがいないから気楽にできたけど、誰かがいるって緊張しちゃう。 うまくできてたかな?

 「お疲れ様でした。 たくっちゃんは今日まだ予定あるの?」

 「いや、今日はもうないはず」


 「意外」

 この後予定がないことを伝えるとそれじゃあと言われて飲食店に連れてきてもらった。

 「へいらっしゃい。 食券買ったら奥のテーブル席へどうぞ」

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