【初体験】地上波のラジオにお邪魔します。
「おはようございます。 YouTuberをやらせて頂いております青星声miniのミズタクと申します。 今日はよろしくお願いします」
出演者の結城吉乃さんと名香野小春さんやラジオ関係者の方々に挨拶に回る。
「芸能界って大変だね。 挨拶をするのは当たり前だけど下っ端は先輩や関係者を探しにウロウロしなくちゃいけないんだもんね。 なんてうちの部活は緩かったものか」
心絆さんはカメラを回しながらつぶやく。
ラジオに出演するのは僕だけだったんじゃないのかと混乱している人もいると思うが、皆さんが思っているとおりラジオに出演するのは僕だけだが、石川さんに頼んで先輩方二人を付き添いとして同行させていただけることになったのだ。
しかも、ラジオ中やそれ以外のところを石川さんの許可が通れば投稿していいとまで言ってくださった。
石川さんマジ神! という訳で心絆さんが今カメラマンをして下さっているわけなのだ。
スタッフの方々には挨拶を終えたので出演者のお二人のところへ向かう。
「ミズタクって声優さんに会うの初めて?」
「うんん。 初めてではないです。 でも、アイドル声優さんでいいのかな? に会うの初めてです」
「初めてじゃないって誰々?」
子犬が尻尾を振るように心絆さんもお尻・・・・いや、小尻をふっている。 ごちそうさまです。
「三浦さんっていう声優さん。 昔子供向けの番組をやった時に司会をやってたんですよ」
「三浦さんってあの三浦さん? いーなー私もあってみたいわ」
三浦さんとはアニメに興味がない人でも知っているくらい人気の男性声優さんで、よくものまね番組にも出演している大物声優さんだ。
そんな話をしていたら収録ブースに着いた。
楽屋がないので収録ブースで打ち合わせの時間まで待っていてもよかったのだが三人もいたら邪魔になるのではないかと色々な所を歩き回っていた(本当は心絆さんが建物内を見学したいと駄々こねていたので歩いていただけ)が結城吉乃さんと名香野彩奈さんには会えなかった。
打ち合わせ開始まで五分を切ったので収録ブースの中に入ろうとすると後ろからすごい衝撃が襲ってきた。
「心絆さん、何するんすか?」
心絆さんが後ろから押してきたのかと思ったが・・・・
「っあ! 吉乃ずるい。 抜けがけ禁止でしょ」
するともう一度後ろから衝撃が来た。
「え? あ。 結城吉乃さんと名香野小春さんですか? YouTuberをやらせていただいております青星声miniのミズタクです。 今日は宜しくお願いします」
「その体勢で挨拶するんだ」
吉野先輩の言う通りだ。
僕の背中に乗っている状況だが情景反射でなのか挨拶をしてしまったが、この体勢で挨拶なんて失礼だよな。
でもこの原因を作ったのはお二人の方だし、僕は悪くない。
なんなら後でもう一度挨拶すればいいんだし。
「おう。 宜しくね」
「挨拶はしっかりしないと。 吉乃がすみません。 こちらこそ宜しくお願いします」
二人を見ているとなんだか姉妹みたいだ。
名香野さんがお姉さんで結城さんが妹。
こんな姉妹の弟になれたら毎日が幸せなんだろう。
ってか、挨拶はしっかりしないとって言っている割には僕の背中から降りないんですね。
「あのー。 そろそろミズタクから離れていただけないでしょうかー」
心絆さんから鋭い刃物のような視線を感じて冷や汗が出て来た。
「ごめんね。 もしかして彼氏くんだった?」
「い、いえ。 か、か、彼氏じゃないですよ。 今はまだ」
すごい早口で手を前に突き出して否定している。
「ふーん。 ってことは私にも。 ぐへへへ」
やっと二人は離れてくれたがなんだか吉乃さんが気持ち悪い笑みを浮かべているのが気になる。
「それでお二人は青星声さんのもう二人ですか?」
「はい。 初めまして。 青星声リーダーのココナッツと」「ソラトです」「今日は見学兼カメラマンをやらせていただきます。 宜しくお願いします」
挨拶を終えると、石川さんが収録ブースに僕たちを呼んだ。
「こちら作家の後藤さんです。 これからの打ち合わせからは後藤さんに任せますので後藤さんの話を聞いて頑張ってください」
「初めまして。 後藤です。 宜しくお願いします」
見た目は少しお腹周りが広い三十後半ぐらいのちょっと強面なおじさん。
あとで聞いた話だが、高校時代は神奈川の名門私立学校で甲子園に主に三番打者として出場し優勝したらしい。
「後藤さんじゃなくてゴメスでいいよ。 そっちの方がゴメス喜ぶし」
見た目は強面だが、いろんな人から「ゴメス」という愛称で呼ばれるくらい温厚な性格な持ち主らしい。
本当に人は見かけで判断してはいけないな。
「なんでゴメスなんですか?」
「普通の人は「ごめん」って謝ると思うなだけど僕は「ごめーんす」って子殿も頃から言っちゃうんだよね。 それを石川さんが「ゴメス」と聞き間違いをしてからいろんな人に広まったんだ。 今では名刺もこの通りゴメスになってるくらいだよ」
名刺を見せてくれたが本当にゴメスと書いてある。
本名はゴメスの脇に小さく書いてあったが名刺ってそれでいいものなのだろうか?
俳優時代もそうだったが、バラエティ番組などの打ち合わせ時間は目安として三十分くらい取っているが実際は無駄話の方が多くて打ち合わせはせいぜい十分くらい。
このラジオの打ち合わせも同じ感じだったので懐かしさがこみ上げて来た。
「ミズタクくんは昔、本名? の水橋拓真で俳優をやっていたんだよね? これについてはラジオ内で触れて大丈夫なの?」
「よくわかりましたね。 まだ動画では話していないですし。 もしかして最近変装をしていなかったからですかね? そうだったら、報告しなくてもバレバレかもですね。 でも、この際なので解禁しようかなって思うので大丈夫です」
「え? いいの。 昔は結構嫌がってたのに」
心絆さんの目がこれでもかってくらい開いている。
吉野先輩さんも口が閉じていなかったりと驚かれているが、メインチャンネルももうそろそろ十万人行くのであれば中には気づいている人もいるだろうしね。
そんな中、声優二人はいっぱいお話ししようねと目をキラキラと輝かせている。
なんだろう。
さっきの抱きつきにしろ、この二人・・・・怖い。
『吉乃と小春のレディーオ!』
近況トークなどいろいろな話から始まったのだが、話の切れ目がなく全然僕を紹介してくれない。
作家さんも次いってとスケッチブックに描いているのだがかれこれ五分はたってるよねこれ。
「はいということで、編集でトークがカットさせてると思いますがかれこれ五分くらい喋ってたよね」
「今日はゲストさんが来てくださっているのに本当に申し訳ない」
手を合わせ、舌をちょこんと出して謝ってくれた。
しかも双子か⁈ と思うくらいシンクロしていたのが男心をくすぐる。
惚れてまうやろお〜と叫びそうになったくらいだ。
あざとい。
「それではお待たせしました。 元俳優で現役人気YouTuberのこの方です」
「皆さんこんばんは。 青星声miniのミズタクです。 宜しくお願いします」
やっと第一声を上げることができた。
「いやー、お待たせしました。 宜しくお願いします」
たわいもない話や俳優時代の話を少ししたのちにあるコーナーが始まった。
「全然エロくないもん!!」
「このコーナーミズタクさんは知ってますよね?」
このラジオのこのコーナーを直接的ではないが間接的にでもパクッタとネットで噂されているのを石川さんから聞いてこのラジオがYouTubeに上がっていたので何度か聞いたくらいだがやり方は知っている。
簡単にコーナーの説明をすると、リスナーさんから普通の言葉なのだけどエッチな言葉に読み方によっては聞こえてしまいそうな言葉を送ってもらいその言葉を大人なお二人がエロそうに読むというコーナーらしい。
僕のコーナー(YouTuberの丸パクリ企画)と違う部分といえばゲームというところだと思う。
どちらも普通の言葉なのだけどエッチな言葉を使うことからパクリ疑惑が出て来たのではないかとコーナー前に弁解した。
「それでは本日もリスナーさんから頂いたメッセージを読んでいこうかな」
「“たぬきじゃないよ! ハムスターさんからいただきました。 ありがとうございます」
別にこのコーナーのために場所を移動したわけでもないのに空気が変わった気がする。
「う〜ん。 私、この意味を知らないからこの言葉がエロいのかすらわからないレベルだけど」
「またまた、そんな事言ってミズタクくんの前だから私清楚ですよ、アピールしてるんでしょ小春は」
なぜ僕の前で『私清楚ですよ』アピールをしているのかはわからないが名香野さんは全力で違う、違うと顔の前で手を動かしながら否定している。
「そんな事言って吉乃はわかるの?」
「はい。 それでは今日はミズタクくんに読んでいただきましょう」
逃げたなど言われていたが結城さんは何のこと? ととぼけていた。
もともとこのコーナーで僕が読むはずではなかったので抵抗したが、無駄な抵抗に終わってしまった。
このコーナーで僕が呼んだとして需要はあるのかな? ないよね?
「それではミズタクくんお願いします」
断れる雰囲気でもないし仕方ないのか。 ノリっていうのは大切だよね。 うん。
「僕ので、満車だよ」
あまり・・・・いや、イケボが得意ではない僕には難易度が高すぎた。
こんなんでよかったのだろうか。
スタッフルームで見学をしていた心絆さんはミズタクのセリフを聞いて一人顔を赤くしブルっと少し震えているように見える。
その様子を吉野先輩はちゃんとスマフォカメラで撮影していた。
後でその動画いただかなくては。
「お疲れ様でした。 初めての地上波ラジオはどうでしたか?」
「今までは自分一人で何も考えずに気楽にいろんなことをしてるんです。 でも今日は、うまく話せたか自信ないですけど、楽しかったです」
「ミズタクくんすごく緊張してたよね? 私が青星声miniのラジオを聞いた時よりもキレがなかったよ」
以前芸能界にいた頃にも地上波のラジオに出演したことがなかったし、何より結城さんと名香野さんに囲まれながらのラジオとか緊張しないわけないじゃん。
声優さんたちのスケジュールを考えて休憩なしで青星声miniの撮影が始まった。
今回も読んでいただきありがとうごじます。
しゃぁ〜! どうも皆さんこんばんは作者のわ→たく。です。
作品の中でも言いましたが、これらの出来事、いや全て妄想でしかないのですが、真実とは異なる点ばかりだと思いますのでご了承ください。 なんども言いますが、僕の妄想で真実とは異なります。
それではまた明日も読んでください!




