学園探索(1)
AI?「皆様、第1ステージにようこそいらっしゃいました。私は当コミュニティの説明役を担った『β』という者です。以後お見知りおきを」
突然現れた謎の人物?…ゾンビのいる世界では場違いの執事姿…若く気品のある雰囲気…そして、ラボメンでは見たことのない人物に紅、龍、葵、みけ、黒は固まる。
他のメンバーは、おぎゃる自身が警戒したままだった事もあり、すぐにおぎゃるの作った存在ではないと理解し警戒を解かなかった。
しかしそんな様子を察したのかβ(べーた)は両手を軽く上げ、攻撃されないように手短に説明を始めた。
β「皆様が警戒されてしまわれるのも無理はありません。しかし私の役職上、警戒されてはどうにもならないので、おぎゃる様…これを」
βはおぎゃるの方に向き、手を上げたままお辞儀する。
すると、おぎゃるの前に青色の模様のようなものが浮かび上がり、数秒後消失する。
模様が消失する頃にはおぎゃるは呆れたような顔をしながらも、自身に対しては慢心している様子になっていた。
そしておぎゃるは全員にひとまず危害は無い事を伝えてきた。
お「そういう事か~…でも主に何も言わず活動するとは勝手なAIだな~」
β「承知しました、今後何かをする時はご主人様に一言報告してからする様に伝えておきます…しかし、皆様の安全を思っての行動ですのであまり気を悪くしないで下さい」
二「ねぇ、おぎゃるさん、話が全く理解できないんだけど…」
お「ん?ああ、説明してなかったな…えーと、この執事は私のAIが作ったAIだから心配ないという事だよ」
多「信用できんの?」
お「もちろん!さっき見せて貰ったのは本人認証みたいなもので、間違いなく私のAIのサインだった。だから安心!流石私の作ったもの!」
ラボメンの皆はそれを聞いてかなりほっとした様子に変わる。
疑いが晴れた様子を感じ取ったβは上げていた手を下ろし、校舎の方に歩き出した。
β「もう、他の皆様は第1ステージの攻略に専念されています。時間が押していますので失礼とは存じますが、歩きながらの説明とさせていただきます。皆様、案内しますので付いて来て下さい」
ラボメン全員は準備は終わっていたためβの後を付いて行く。
β「まず、この校舎内に管理者がいるかと疑問を抱いていたようですが、答えはイエスです。詳しい事はシステム上答えられませんが、皆様に校内の情報をお渡ししておきます。」
βがそう言うと、ラボメン全員のメニューが開きメッセージのようなアイコンが現れる。
全員はβに付いて行きながらそれを開くと校舎内の主な部屋が表示されていた。
__________________________
【1階】
・職員室 ・放送室 ・保健室 ・事務室 ・家庭科室
・木工室 ・更衣室 ・トイレ ・シャワールーム
……………………………………………………………………
【2階】
・美術室 ・ホール ・トレーニングルーム・生物室
・科学室 ・コンピューター室 ・トイレ ・更衣室
……………………………………………………………………
【3階】
・図書室 ・校長室 ・音楽室 ・博物室 ・飼育室
・カフェ ・トイレ ※休憩室
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
β「そこには、普通教室とは異なる部屋が記されています。そして、校舎外は見ての通り各部活のエリアとなっていますので、充分考えて行動して下さい」
リュ「…待て、何故3階の休憩室だけ※マークになってる」
β「その部屋は……“ガガガッ”…申し訳ありません。システム上詳しくお伝えする事ができないようになっておりますので簡単に説明させていただきます。その部屋だけは皆様だけに影響する特殊な部屋になっているためです」
二「僕達だけというと…休憩室だから疲れが取れる部屋だったりして」
黒「『この世の柵から開放される』って意味の休憩所かもよ」
み「(?)」
う「どんだけダークな思考に至ってるんだよ!?怖すぎ!!」
未「いや、今の状況も状況だから最悪な状況を想定しておくのも良い考え方だと思うよ」
白「僕も未来君に賛成かな、っと、着いたようだね」
ラボメン全員が白無の言葉に反応し前を見ると、昇降口に到着していた。
昇降口の向こうにはゾンビの影は1つも無く静かで不気味な空間を作り出していた。
前を先導していたβは昇降口の前で止まり、どこからか1つのリュックを取り出し床に丁寧に置いた。
β「リュックをお役立て下さい、使い方は…言わなくても分かりますね。私の案内はここまでとさせていただきます。後は皆様の足で情報を獲得していって下さい。もし分からない事が御座いましたら、メニューを開いた所に『β』と表示されている所がありますので、そこで呼び出し下さい。それでは、お気をつけて」
βは挨拶を終えると、右手を左胸に置きながらお辞儀をし消えていった。
βが消えた後、ゾンビが近くにいないか再確認しこれからの行動を話し合う。
龍「…荷物持ちは俺がやろう」
リュ「分かった、じゃあ最初にするべき事は…」
多「最初は武器になる物を全員分確保した方がいい、できれば消耗品でない物が最高」
う「え!?僕運動とか全然出来ないから戦えないよ…」
未「それでも、もしもの時のために武器になる物を1つは確保した方がいいよ」
リュカはメニューを開き、校内の教室の場所を確認する。
リュ「…最初は1階にある『木工室』に行った方が良いと思ったのだがどう思う?」
リュカの質問に全員は賛成の意を示す。
そして、先頭をソルと多々羅、最後尾をリュカと葵という隊列を組み昇降口から校内に侵入する。
全員は校内に入り周りを警戒しながら前進する。
左右を確認すると、右側はプールに繋がっており、左側は通路で少し先で分かれ道になっていた。
最初の行き先は『木工室』と決まっていたため、ソルと多々羅は迷わず左へ進み、後のメンバーも2人に付いて行く。
そして、分かれ道に差し掛かった所で全員は緊張する。
左右には何も表示されてない教室が並び、通路には数10体のゾンビが徘徊していた。
そして、微かではあるが教室の中からもゾンビの呻き声が聞こえてくる。
多「いきなりか…弾は温存しておきたいだがどうする?」
リュ「あの数に囲まれたら危ないな」
ソ「おぎゃる、この校舎少し削っても壊れない?」
お「?…校舎というものはそこらの民家より頑丈にできてるものだから、多少損壊しても倒壊などという事は起きないけど…」
それを聞くとソルは少し考えるような素振りになり、数秒後、壁の中心に手を置き多々羅の方を見る。
多々羅はそれを見て、ソルに銃口を向ける。
多「ほんとお前はアホだな」
ソ「1度だけやってみたかったんだよ、現実だとできないからな。じゃあ…頼むわ」
多「はいはい………(現実の化け物さん)」
そして多々羅は引き金を引く。