恩タクとの出会い
僕の名前は…………、いや、僕のチャット名は『恩タク』。
何故本名を明かせないか?
それは、僕がある組織?団体?クラブ?協会?…まあ、よく分からない所に入団しているから。
そこは、仮想世界というものを作っている怪しい集団。
でもその集団の事はよく分からないけど、信頼は出来る。
何故かって?……それは─
僕の親は資産家で、昔から何か欲しい物があると何でも買ってくれた。
とても優しい両親がいて、暮らしも裕福なものだった。
しかし、裕福だったからこそ、その家系に窮屈なものを感じることが増えていった。
特に酷かったのが僕が学生の時だ。
友達と一緒の塾には行けず、学力が低い訳でもないのに家庭教師を1週間に5回も雇っていた。
お陰で学生時代は誰とも遊ぶ事が出来ず、友達と呼べる存在を作る事が出来なかった。
中学校に入り僕は陸上部に入部した。
理由は…走るのが速くなれば人気が出ると聞いたから。
運動は全然出来なかったけど、先生や先輩達も優しかったから頑張っていこうと思えた。
しかし、入部して2週間後、僕は足を部活で擦りむいてしまった。
出血の量が多いが、見た目よりも傷は浅く、大したことないものだった。
だが、親が足の傷を見るなり、少し用事があるからという事で出かけてしまった。
次の日、部活に僕の居場所が消えていた。
苛められた訳ではない。参加出来なくなっていた。
教師は“足の怪我が心配”“大会が近いから他の人を優先させたい”などという理由で、僕に部活を参加させてはくれなかった。
先生の必死の態度に、僕の親が関与してるのは明白だった。
それ以来、部活は退部し、高校では部活はしなかった。
さらに、クラスで誰とも関係を持とうとしなかった。
関係を持つことで、裏切られると予想できていたから。
そして、それは案の定早く発覚する。
クラスの誰かが苛められてる所を見た事がある。
しかし、僕は苛められなかった。
それどころか、周りの人達は僕と何かしらの関係を持とうというように親しくしつこく迫ってきた。
クラスのほとんどが、僕の親が資産家の事を知っていた。
だから、考えられる理由は1つ…『金』だろう。
僕は資産家の家系に産まれてしまった事に罪悪感を覚えるようになっていき、日に日にストレスが堪っていった。
だから、2010年(デスゲームの始まる6年前)の夏、『独り立ち』というのを名目に、1人暮らしを始めた。
そして、2011年に僕は事件と共にラボメンと知り合えたのだ。
__________________________
その頃は『オタク狩り』というものが多発していた。
僕は運悪く、夕方の人気のない場所で柄の悪い8人組の男に捕まってしまった。
誰かと争った事はなかったから怯える事しか出来なかった。
助けを求めようと声を出そうとしたが、声が出ない。
そして、諦めそうになった時、奥から歩いてくる2人の男性と1人の女性が見えた。
ソ「糞~っ…現実は“最悪期”と呼んでも過言じゃねぇんじゃね?」
正「資金に問題が発生してるだけだろ…それにしても、おぎゃると言ったか、彼女いくつ?」
ソ「今は11らしいよ~」
正「は!?それ大丈夫なのかよ!?……ハッ、“見た目は◯◯、頭脳は◯◯”とかのあれか!?」
ソ「…お前頭大丈夫か?」
リュ「正義さん、おぎゃるちゃんは自分の出来る事をしてるんです。出来る事なら年齢なんて関係ありませんよ
そしてソルさん、『夢みる為に労惜しまず』ですよ」
ソ「と言ってもよ~、まだ中2だから大した金集められねーよ」
正「あれ?この前金持って来てなかった?」
ソ「あれは新聞配達で…あそこ、何やってんだ?」
恩タクは男性の1人がこちらを指差したのを見て、3人がこちらの様子に気付いた事を理解した。
しかし、希望は持たなかった。
チンピラが8人いて、あそこにいるのは3人。しかも、1人は女。
どう考えても、助けを呼びに行って貰うので精一杯。
助けが来ても、その頃には無一文。
恩タクは涙を流しながら抗う事を諦めた。
しかし─
正「ん?あれは…!正義の名の元に私の前で悪事は許さん!お前らーー!覚悟しろーー!」
不「何だあいつ。ついでに伸しとくか」
正義はソル・ガレンとリュカを置いて不良の方へ走り出す。
ソ「相手が多いのに覚悟させてどうすんだよ、あいつ正義感だけは強いよな~…まあ視界に写っちまった以上、何もしないのもな…」
リュ「私も行った方がいいかしら?」
ソ「いや……(それは不良が…)…暴力で問題起こしたら退学になるかもしれないからカバン持っといて」
リュ「分かった」
ソルはカバンをリュカに渡し、不良の方を向くと正義が不良達に袋叩きされていた。
それでも正義は防御に徹し、手を出してなかった。
ソルは歩いて近寄り、正義、リュカ、そして苛められてる男性に聞こえる様に言った。
ソ「皆~、耳閉じてね~!」
不「ッチ、次から次へと…面倒くせぇ、あいつは俺がやっとく、そこのガキ2人やっとけよ」
正「ば!お前!?そこの君!耳塞げ!」
恩「……え?」
恩タクは男性に言われた事が理解出来なかった。
だから、何も行動しなかった。
そんな恩タクを見て、正義は急いで恩タクの耳を塞ぐ。
ソルが何をするか予想は出来なかったが、危ない事は予想出来たから。
“ッバーーーーーーンーーーーーーー!!!!”
突如、とんでもなく大きい音が響いた。
そして数秒、静寂がその場を支配する。
恩タクは何が起きたか分からず、周りを見渡す。
自分の上に載って耳を塞いだ男性は気を失っていた。
周りの不良は気絶している者、耳を押さえて泣き叫んでいる者がいた。
そして、恩タクの前に立つ男性。
ソ「あちゃー、正義気絶してらー、110dB~120dBあたりかな?
あ、君大丈夫?」
恩「へ?あ、あの…一体何を?」
ソ「ん?…あぁ、手を叩いただけだよ」
恩「は?」
ソ「いや、だかっ痛!」
男性は頭を叩かれ後ろを向く。
リュ「この状況、暴力より質が悪く見えるんですけど」
ソ「いやっはっはっは~…どうしよ?」
リュ「は~…お兄さん、大丈夫ですか?」
恩「あ、うん、大丈夫です…その、ありがとうございました」
リュ「もう社会人ですよね?学生に敬語を使う必要はありませんよ」
リュカという女性から笑顔を向けられ、恩タクは顔を赤くする。
何故か、リュカという女学生の顔を真っ直ぐ見ることができなかった。
本人の初めての感情に戸惑い、そして、理解した。
自分はリュカさんに恋をしたのだと。
その後、警察と救急車を呼び、長い事情聴取をして、事が片付いた。
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
2016年 3月15日(デスゲーム開始の日)
リュ「………。これで私からは以上です」
一同「「いえーーーーーーーい!!!」」
恩「ついにここまで…(リュカさんと一緒に…)」
数分後カウントが始まる。
一同「3!!」
一同「2!!」
一同「1!!」
恩「(楽しく過ごす!)」
『ッブツン』
「……………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………βシステム…始動」




