学園探索(4)
~職員室~
静かな室内、どこの学校にも存在する職員室…だがここは『デスゲーム』。
普通の筈がない、そう、室内の至る所に何かを引き摺ったように赤い液体が付着していた。
さらにこの室内に置かれている机は滅茶苦茶に壊されていた。
そんな室内の中にとても小さい声が響く。
??「んいだい、ど、じて?誰?…ざびじぃ、ざじびぃ…ど……こ?」
…そしてそんな部屋に近づいていく者達がいた。
未来達はそれぞれが足音をたてないように廊下を進んでいき、今は『職員室』と室名札に書かれている教室の前に辿り着いていた。
最初に出てきていたゾンビの大群は嘘だったかのように姿が見えず、順調に歩を進めることができたのだ。
そもそも、何故最初にソルと多々羅が真正面から堂々とゾンビと対峙してしまったか。
それは、少なからずラボメン1人の犠牲者が出てしまったためだ。
しかし2人は先の戦いで学習した。
この世界で軽率な行動をできる程甘くないと、感情にまかせて行動はしては生きていけないと。
未「ふー、なんとか次の教室に着くことができた…ソル、室内にゾンビがいるかもしれないから先導頼めるか?」
ソ「まかせろ」
ソルは職員室の扉に手を掛け、静かに覗くと数秒間止まり、一先ず中にゾンビがいない事を頷いて教える。
ラボメンは周りを警戒しながらも、静かに職員室に入ると全員が険しい顔つきになる。
龍「なんだよ…これ」
紅「ひどい」
二「これラボメンの血じゃないよね?」
う「みけ!見ちゃ駄目だ!」
この世界に来て普通教室、保健室と何室もの教室を見てきたが、ここまで荒れている教室は今回が初めてだった。
そのため刺激が強すぎたのか、黒が嘔吐してしまっていた。
しかしそんな者がいても、気に掛ける余裕をもった者は誰もいなかった。
そして、数人がこの部屋のおかしいところに気が付いていた。
リュ「(これだけの惨状なのに死体が無い…)…β」
リュカがβの名を呼ぶと、この部屋では場違いの紳士的な笑顔をしてβが現れた。
β「只今参じました、次は何用でしょうか?皆様のお役に立てれば幸いなのですが」
リュ「この部屋は何故こうなっている?」
β「単純に何かが暴れたからではないでしょうか」
リュ「システムは用意されたステージを自ら壊すのか?」
β「それはありえません、駆逐するウイルスがないのならシステム自体が停止してセーフティを掛ける筈ですから」
リュ「それ―」
“キュルルルルルル”
室内に小さいがはっきりと奇妙な音が響き渡る。
全員は音のした方を向くと、職員室の奥にある扉に視線がいく。
リュ「…今の音は」
β「機械音ではないでしょうか」
リュ「…この世界の物は勝手に動くのか」
β「罠が作動するという意味であれば。もし違うのであればあそこに何かがいるのでしょう」
ラボメン全員は警戒するとともに非戦闘者は後ろに、戦闘者は前に出てそれぞれが各々の武器を構える。
この教室には至る所に血の跡が残されている。
さらには机がばらばらになっている所からここで何かが暴れたのは明白。
しかし無闇にあの扉に向けて攻撃を加えることは出来ない。
なぜならこの教室には血痕があるが死体が無いから。
ここから導き出せる可能性…
1.あの部屋にいるのがゾンビだった場合は1つのチームのラボメンが壊滅する程の存在
2.1の可能性で生き残ったラボメン
これらの理由により、ゾンビの場合は厄介、仲間の場合は危害を加えることになってしまうため、先手を取ることができないのだ。
そしてラボメンはどうやってあの部屋の中を調べるか考えていると、部屋の向こうから小さい声が聞こえてきた。
??「ごあ、い…だれ…か」
その声はどこか聞き覚えのある声だった。
紅「あの声…恩タク君じゃない?」
龍「何!?恩タク!恩タクなのか!?無事だったのか!!」
龍は自分が殺してしまったと1人で抱え込んでしまっていた感情があったのか、警戒もせず大きい声を出しながら駆け足でその扉へと近づいていく。
ラボメン全員は龍のそんな行動に驚きつつも、迂闊に近づくのは危険だ、と口々に呼び止める。
しかし今の龍の精神状態は普通ではなかったため、ラボメンの言葉が耳に入らなかった。
??「…だで?…こっぢ、来るぅ…だれ?」
龍「やっぱり!その声は恩タクか!無事だったんだな!!あの時は―」
龍が扉の前まで来たところで異変に気付く。
扉のドアノブが壊れ落ちていたのだ。
そして、恩タクの声も可笑しくなっていった。
??「だれ、だれ、だれ、だれ、だれだれだれだれだれだれだれだれぇぇ!!!“きゅるるるるるる!!!”」
ここで龍は自分がとてつもなく危ない場所にいる事を理解する。
そして、急いでその場から離れようとした瞬間、扉が大きな音を立ててばらばらに砕け散り、何かが龍に迫る。
だが、異変に気付いた瞬間に走りだしていたソルが龍に迫っていたものを、近くにあった机を盾として使い防ぐ。
そして、そのままその机を部屋の中にいる存在へと投げ飛ばす。
その存在に机が当たった手応えを感じつつも、ソルは龍とともにラボメンのいる位置まで引き返す。
ソ「龍、少し落ち着け」
龍「…すまん」
龍は再度ラボメンに謝罪すると、全員は苦笑はしたものの誰も龍のことを攻めなかった。
そして、全員は奥の部屋をすぐに警戒する。
そんな皆に申し訳ないと思いつつも、龍も謎の存在に気持ちを切り替え警戒する。
すると、扉から謎の生物がゆっくりと出てきた。
背丈は2メートルはある巨体で人型。しかし右手がごつごつとした針状になっており、体には至る所に傷ができていた。その傷は見てわかるように致命傷で、肌も青白くなっており死人であることは確定だった。
服は所々に付いている状態になっており、腹部から出ただらしない肉が垂れていた。
口からは尖った舌が出ていてかなりの気味の悪いものに見える。
そして見た目は酷くなっているが、その顔は恩タクそのもののだった。
多「おぎゃる!この世界は噛まれたらああなるのか!?」
お「そうじゃない!私達を殺した後にウイルスデータとしてシステムに同化して効率良く私達を駆除できるようなシステムを作り出すようになっている。だから恩タクはもう…」
β「流石おぎゃる様、お見事なご説明で御座います。付け加えで説明しますと、同化するのはシステムとであり、あれに排除されても同化する事はありません。」
そんなことを話してる内に恩タクは此方に向き直りこっちに迫っていた。
お「あれはもう元には戻らない、早くここから出よう!」
おぎゃるがそう言って、黒が外に出ようとした瞬間、廊下側の天井が崩れドアが開かなくなる、
黒「はあ!?」
ソ「全員伏せろ!!」
突如発せられたソルの叫び声に、ラボメン全員はすぐにその場にしゃがみ込む…みけを除いて。
みけはまだ13歳、ラボメンの中でも最少年齢であり突然の警告には対応できなかったのだ。
そんな棒立ちになっている姿を見て、うけはみけに跳躍する。
そんな一心に飛び込んでしまったうけの視界に見えた光景…それは自分達の前にソルが守るように立っている姿だった。
う「ソr──!!」
“ドガン!!”
“ばきばきばき!!!…びちゃ、ぴちゃ…”




