PROLOGUE:誰がカナリア殺した
僕はウンザリしていた。
あまりにも自由がない毎日に。
ゆっくりと枯葉の塊を踏みつけるようにして歩く。
彼女が履いていたようなブーツを履いて。
ここでいいかな? ふと目に入った赤信号の信号機に尋ねてみる。
ギターを構える。他の誰に届かなくてもいい。君に届くのであれば――
伊達賢治Directed.
月下美來来&麻生真子STERLING.
YASHIKI&麻生真子Music.
クリスタルエデン&フジサンテレビPRESENTS.
「このあとライブがあるっていうのは本当かよ?」
「うん。先輩が来なくても僕一人でやるつもりさ」
「おいおい。相棒。そんな言い方はないだろう?」
「先輩、新郎新婦の2人がこっち来るよ?」
幼馴染の結婚式に呼ばれた。余興で僕たちの弾き語りを披露した。
僕たちはアンナタチっていうフォークデュオをやっている。
華やかな結婚式場で歌うっていうのは緊張するものだ。
ドラマのドロップアウトっていうドラマで主人公の萌香が狸になってしまうのもなんだか分からなくない。特殊なスイッチを入れなきゃ頭が真っ白になって歌詞も忘れることだってある。こんな大舞台でそれをやった暁にはフォークシンガーを辞めることになるだろうな。恥ずかしいもん。
「ナオキ! ありがとう!」
「どうも。シロウ、アキコ、幸せにな」
「素敵な歌だったわ。感謝しているわ」
筋肉質なシロウはいつも以上にイケメンにみえる。大人になってからのアキコは幼い頃よりだいぶ酷く太ったのだが……なんかすごく美人さんにみえる。
「あーおかわり貰えないかな……」
「トシゾウさん、ビールを飲むのが早すぎ。ソレ、何杯目だよ……」
「いいだろう? こういうところはビールをたくさん飲んでなんぼだろうが?」
「先輩のような酒豪な人に限るよ」
「お前は未成年だしな。でも、なぁ、こっそり飲んでみるか?」
「いい。僕はこのジンジャエールで満足。先輩……このあとのライブに出る気はないの?」
「出るよ。俺は伊達賢治みたいに酔わない男だからな」
「そういうのを自分に酔っているって言うの。テレビ局が生放送で放送するって言うのに……呑気だなぁ。羨ましいよ」
「あの2人は来るの?」
「来られない。大事な結婚初夜でしょうが」
「はははっ……お前は結構大人だなぁ……」
僕の横にいるオッサンのような青年はトシゾウ。土方登志蔵。名前そのものは違うけど、かの有名な幕末の剣士を想像する人は少なくないだろう。この大学の先輩と僕はフォークデュオを組んでいる。
そうだなぁ……
何から話そうか。
僕は中学3年の時にインコを飼っていた。
アンナというメスのコだ。
『タイギィ。タイギィ。ボクハタイギィ』
「僕はナオキ。松島尚樹だ。間違えるな」
僕にとって彼女は癒しの存在だった――
中村志郎:月下美來来
土方登志蔵:フェニックス大
中村志郎:本田涼時
八木明子:小平茉奈裳
「誰カナPROJECT」の連載をはじめました!宜しくお願いします!




