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異世界転生で理想の生活を  作者: かおりん@
1章

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異世界転生しました

◆異世界転生しました


「あなたは死亡しました。異世界に転生しますか?<Yes/No>」


 目の前にタッチパネルらしきホロウィンドウが浮かんでいる。


 オレ、佐々木五十六(ささきいそろく)は、どうやら死んだらしい。


 思い当たるフシといえば、コンビニ帰りに「暴れ馬だ~っ!」という叫びを聞いたことくらいだ。この街中で暴れ馬なんてあるはずがないと思ったが、どうやら本当だったらしい。無警戒だったオレは踏まれて死んだ、と。


 自分の格好を見る。久しぶりの休日だったのでジャージ姿だ。手にはコンビニ袋。食い物と飲み物が少し。まあ、それはいい。


 問題は目の前のホロウィンドウだ。


 これ、異世界転生ものの定番だ。選択しないと普通に死ぬやつ。


 この世に未練があるか? と問われれば、さほどない。


 父母なし。祖父母なし。他の係累は知らん。


 兄弟なし。恋人? ない。


 友人はいるにはいるが、死んで詫びるほどの付き合いでもない。


 会社にはなにより未練がない。35歳独身。仕事も任され、後輩の指導にも力を入れてきたけど、報われたと思うことはない。オレが死んだら勝手にやってくれ。


 というわけで、異世界に転生しても特別な問題はない。なら、ここはYesだろう。


「スキルを選択しますか? 最大5つまで選択できます。選択しない場合、自動で5つ選択されます」


 次のホロウィンドウが現れる。これはYesだ。


 どんな意思でオレを転生させるのかは知らないが、次の世界がスキル制なら自分で選びたい。


 力強くYesをタップする。


 現れたのはスクロール可能なホロウィンドウ。膨大なスキル一覧が並んでいる。注意書きがあった。


「この一覧には後天的に得られるスキルは表示されていません。生まれつき得られるスキルのみが表示されています。また基本スキルのみで派生スキルは表示されていません」


 なるほど。生まれつき得られるスキルがあると。そしてスキルは進化して派生する場合があると。


 何度もスクロールしながら考える。


 まず「鑑定」。


 よくわからないスキルだが、ラノベではたいてい有用だ。ゲームでも鑑定できないと呪いの装備を身につけたりして大変な目に遭う。後天的に得られないなら必須だろう。


 次に「空間魔法」。


 収納や転移など、ラノベでは大活躍の魔法だ。最初から転移は無理だろうが、収納は重要。転生先によっては行商人で稼ぐ可能性もある。


 そして「成長補正」。


 寿命はわからないが、何をするにしても成長が早い方が楽だ。大器晩成? 成功したやつのたわごとだ。できることがあるなら早くできた方が選択肢が増える。先天スキルなら持っておきたい。


 さらに「限界突破」。


 何の限界かはわからないが、某RPGでは必須だった。勇者じゃないから不要かもしれないが、自衛のためにも力は必要だ。死にスキルかもしれないが、最初の3つで希望は満たせているし、残り2つは遊び枠でもいい。


 問題は最後のひとつ。


 剣術や魔法などは存在しない。これは自力で身につけるのだろう。


 気になるものはいくつかある。「魅了」。どこまでできるかわからないが、鍛えれば吸血鬼の魅了のように従者を作れるかもしれない。


「召喚」。なにこれバ◯ムート呼べんの? 最初は無理でも戦力にはなるだろう。


 そして「錬金術」。


 これが先天スキルなのか。後から取れないなら重要だ。生産職的な何か。鍛冶が一覧にないから後天的に取れるのだろう。でも錬金術がここにあるということは、いま取らなければ転生後は不可能。なら決まりだ。


 そう思って「錬金術」を選択した。


「選択完了」をタップする。


「性別を選択してください」


 性別まで変更できるのか。もちろん「男性」だ。前世でも女性になりたいと思ったことはないし、35歳で女性になっても戸惑いの方が大きい。


「年齢を選択してください」


 年齢も選べるのかよ! 先に出せよ!


 いや、落ち着こう。性差の方が大きい。年齢なら若返るだけだ。


 選択肢は10歳、15歳、20歳。


 空間魔法がある世界だ。15歳で成人だろう。違っても数年で成人だ。10歳だと保護下で動けない可能性がある。ここは15歳だ。


「容姿を選んでください」


 容姿も選べるのか。絶世の美女になれる可能性があったのか。失敗した。だんだんRPGのキャラメイクだな。


 上中下の三択。下を選ぶやついるのか? 美しすぎて生きにくかったやつとかか。迷わず中。良すぎても悪すぎても面倒だ。


「種族を選んでください」


 種族もかよ! 絶世のエルフ美女の可能性があったのか…。さらばオレの可能性。無難にヒューマンで。


「基礎体力を選んでください」


 体力? 病弱ってなんだよ。もちろん「頑健」だ。健康に勝るものなし。


「転生の準備が完了しました。15歳の基礎知識を習得しますか?<Yes/No>」


 そこは強制でもいいんじゃないの? もちろんYes。


 与えられた情報はそれほど多くない。


 オレは農家の三男で、村に仕事がないため冒険者になるべくアルスターの街を目指していること。教養はなく、多少の常識外れは見逃されるらしいこと。


 スキルは天啓と呼ばれ、持つ者と持たない者がいる。職業戦士などは剣を振り続けることで、ある日突然閃く。これを「天啓を閃く」という。天啓があると専門職に就ける。


 戦士が天啓で剣術を得ると剣士になる。専門職には能力補正がある。なお、現在オレは無職。


 大きな街には各種ギルドがあり、ギルドカードを発行してもらうと街の出入りに税がかからない。冒険者は商人の護衛として街を移動するためらしい。


 街道は比較的安全だが盗賊や魔物が出る。冒険者は傭兵のようなものだ。


 農家の三男でも狙える職業なので、天啓は不要。いわゆるなんでも屋で、家の修理からドブさらい、魔物討伐まで何でもやる。討伐は鍛えないと無理。


 魔物は体内に魔石を持つ生き物。魔石はエネルギー源で、ランプなどに使える。いわゆる電池だ。家電は発達していないが、魔法や天啓持ちが対応するためらしい。文明規模は中世くらい。コンビニも電子レンジもない。寂しい。


 農家の三男が知っている魔物はゴブリン、ツノウサギ。


 ツノウサギは群れず、農家の貴重なタンパク源。魔石も取れるので重要な収入源。


 ゴブリンは子供ほどの人型魔物。一匹なら脅威ではないが、5~10匹の群れは村の脅威。村総出で対応する。ゴブリン一匹に三人で当たれば問題ないが、村規模が50人程度なので群れは危険。


 それらが強制的に脳内にインストールされた。


「最後の質問になります。現金か装備を選んでください」


 選択肢は、金貨50枚+銀貨100枚、または金貨50枚+旅人セット。


 銀貨1枚が前世の1万円相当。金貨は100万円。かなりの額だ。旅の最初に困らない。


 旅人セットの内容は以下の通り。

 ・旅人の服×2

 ・旅人のマント

 ・ナイフ

 ・火起こし

 ・水筒

 ・ランタン

 ・毛布

 ・初級魔物図鑑(解体の手引付き)

 ・初級植物図鑑

 ・リュックサック


 本が2冊ある。現代日本では安価だが、この世界ではどうか? 農家の三男の知識では不明。もし本が金貨10枚なら2冊で金貨20枚。知識は金で買えない価値もある。


 結論として旅人セットを選んだ。着るものも入っているし、ジャージのまま転生するのもアレだ。農家の三男設定ならジャージはない。


「装備」を選択。


「転生します。よろしいですか?<Yes/No>」


 ここでNoを選ぶとどうなる? 最初からやり直しか、転生せず死ぬか。後者の可能性を考えるとYes一択だ。


 Yesを強く叩いた。


 目を焼くほどの光に包まれて――。


 森の中にいた。


 背中にはずしりとしたリュックサック。中を見ると、選択した内容と元のジャージ、コンビニ袋が入っている。


 自分の格好は旅人の服。リュックにも同じものが入っている。上下とも綿製の頑丈そうな服。靴は皮製。ズボンはベルトで絞り、そこにナイフを吊り下げている。


 本が2冊。開くと読める。熟読は落ち着いてからだ。


 毛布もあり、リュックはパンパンで重い。頑健を選んだので持てない重さではないが、空間魔法があるのだから移せないか。


『収納と念じてモノに触ることで空間魔法:収納が起動する』


 頭に浮かんだ。これが天啓(スキル)か。


 鑑定は――

『鑑定と念じて視界に入れると鑑定結果が視界に現れる』


「初級魔物図鑑解体の手引付き」を鑑定。


『魔物ランクH~Gまでの図鑑。解体用の手引付き。討伐判定部位と素材の説明付き』


 本当に図鑑だ。


 図鑑を収納。取り出したいと念じると一覧が表示され、図鑑を選ぶと手に出てきた。


 毛布や予備の服、ジャージ、コンビニ袋などを収納。水筒やランタンなどすぐ使うものはリュックに残す。


 革袋は財布。金貨49枚と銀貨100枚。中身を収納し、銀貨10枚だけ残す。


 リュックが軽くなり、不自然さもない。


 自分を鑑定してみた。


――――

名前:イソ

年齢:15

Lv:5

体力:70(70)

魔力:54(55)

筋力:70(70)

知恵:50(50)

敏捷:50(50)

器用:48(48)

幸運:52(52)

スキル:空間魔法/鑑定Lv1/成長補正Lv1/限界突破/錬金術Lv1

魔法:空間魔法>収納Lv1

――――


 ひとも鑑定できるのか? いや、自分だからか?


 名前変わってるし! まあ昔からそう呼ばれてたから違和感はないけど。


 数字が高いのか低いのかわからん。Lvもあるのか。15歳でLv5はどうなんだろう。村でゴブリン退治してたなら経験値が入るのだろうけど。


 魔力だけ隣の数字と違う。空間魔法を使ったからか? 検証が必要だ。継続的に減るなら使い勝手が悪い。


 森を鑑定すると視界が文字で溢れた。ですよねぇ。どうしろと?


 種類で絞れるか?


 植物にすると情報が減るが、森は植物だらけなので意味がない。


 動物にするとかなり減った。鳥やイノシシがいる。


 魔物にすると、遠くにツノウサギLv1が表示された。


 これ、索敵に使えるんじゃね? 使い方は考える必要がある。どこまで絞れるか検討事項だ。


 鑑定をやめる。視界がクリアになった。


 さて、じゃあアルスターの街を目指しますか。


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