1ありがと神様、いつか殺すね
生きづらいな。
ずっとそう感じてる。
例えば、人はみんな違っていい、個性を尊重しよう。
そんな事を誰かが言う。
でも、楽しんで人を殺す人をサイコパスと言い、尊重など一欠片もなく非難し恐れる。
これを、矛盾という。
ま、容認できる限度というものがあるんだろうけど、それならばみんな違っていいなど言うべきじゃないでしょ。
私はその、非難される側の人だ。
人を傷つけたい。
殺したい。
体が真っ赤に染まるほど血を浴びてみたい。
私はそんな奴。
でもそんなことして捕まりたくない。
死刑とかいっちばんやだ。
だから生きづらい。
今までずっと法の抜け道を、人を殺せる場を探してきたけれど、なんにもない。
だから、
「父さん、母さん、一緒に死んで」
声が出ないように寝ている両親の喉に包丁を突き立てる。
白いシーツが綺麗な赤に染まっていく。
そして、私も自分の心臓に包丁を刺した。
…やっと、解放される…。
と、思ってたのに、
「あらミク、可愛いわねー」
知らない若い女に抱かれている。
誰だ?
髪の色もおかしい。
紫色の髪?
染めているのか?
どうなっているんだ?
なぜ女に抱かれている?
私は死んだのではなかったのか、?
あの感情が昂る血の匂いはどこへ消え失せた?
目の前に手を突き出す。
驚き声が出るが、うまく呂律が回らない。
「うぇ?」
赤ん坊の、手?
この世界に来てから二ヶ月。
私はどうやら剣と魔法のファンタジー世界に転生してしまったようだ。
やっと、死んで救われると思ったのに。
また、無意味な生活を、楽しくもない生活を続けなければいけないのか?
神様も酷いことしてくれる。
…でも、この世界はよくファンタジー小説であるように日本ほど法が厳しくない。
ここでなら、盗賊とかを狙って殺せるかもしれない。
私が生まれたのは農家のド庶民。
よくある貴族へ転生とかじゃなくて良かった。
…貴族殺すと面倒でしょ。
ま、そんなわけで、この世界の人はみんなかなり強い。
つまり、人を殺したいんなら私も強くならなければいけない。
さて、何を鍛えようか。
魔法…手応えがあまり無さそうなので攻撃としては使いたくない。
でも、戦闘の手助けになるものがあるのなら、鍛えていきたいと思う。
剣…は、デカイのはダメだな。
隙が生まれやすくなるし、何より今世も女だから使いこなせるまで時間がかかってしまう。
短剣を中心に訓練するか。
うん。
大体の戦闘方法が決まった。
魔法でバフ、デバフ。
短剣で相手を殺す。
これでいこう。
そうと決まればさっさと訓練したいものだが、私はまだベイビーだ。
立って歩くのも大変。
魔法はおろか、剣なんてもってのほかだ。
魔法はやり方を誰かに聞かないと…。
日中は両親は私を放っておいて農作業をしているし、午後はこの体が寝てしまう。
どうしようか…。
強くなるためには、一秒も無駄にできない。
自分で魔法を開発してみるか。
教わるとそのやり方しかできなくなりそうだしな。
よし、決めた。
この世界で強くなって、前世できなかった大量虐殺をする。
絶対。
私をここに転生させた神様。
待っててね。
強くなって殺しに行くから。
1話、読んでくれてありがとうございました。
こんな感じの主人公はあんまりいないんじゃないでしょうか。
楽しんで頂けたら幸いです。
3日に1話くらいの頻度でいこうと思いますので、どうかよろしくお願いします。




