霞む世界で何を見た
ぼーっとする。
かんがえがまとまらない。
今日は1月19日の……木曜日かな。たぶんそう。
今は授業中…………なんだけど、なんも頭にはいってこない。
先生の話もきこえてはいるけど、それだけ。
「――――」
先生が、だれか呼んでる?
なにか、多分椅子の音がした。
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「――太刀上? めっちゃ綺麗な姿勢で寝てたりする? あ、違う?」
数学の担当教員が首を傾げているのを尻目に、加世 日向はがりがりと頭をかいた。
朝の時点でやっておくべきだった、と。
「……前はもっと短かったから、油断したかね」
誰にも聞こえぬような声の後に、手を挙げる。
「先生。ちょっと良いです?」
「加世、今の太刀上の状況どうなってるか分かるか?」
さてどう説明したものか?
常人にはおよそ起こらない状態であるために、簡単に説明するのは難しい。というよりも面倒だ。
「なんというか、瑠璃って無茶出来る身体なんすよ。いや、無理やりやれちゃうって言うか」
「ん?…………いや、取り敢えず全部聴かせてくれ」
「私らって頭使い過ぎて疲れるとかはあっても、その後長時間ぼーっとするとかないじゃないすか」
正直な話、日向自身も正確な状況は分かってはいない。
ただ付き合いの長さからくる、太刀上 瑠璃という生物への理解は本物だ。
だからざっくりとした推測は出来るし、対処法も分かる。
今回の場合は、7割偶然見つけたのだが。
「つまり、オーバーヒートとかそういう感じか? 人間ってそんなことなるのか…………?」
「そいつ、常人じゃないんで。で、今は冷却時間みたいな感じなんすけど…………ちょっと瑠璃の前空けて」
徐ろに立ち上がり、車椅子の上で無駄に背筋を伸ばして静止している友の下へ。
「で、強制的に戻す方法も一応あるんすよ。前回は1限になる頃には普通にしてたんで、やってなかったんすけど」
前回は中学の頃だったか。
懐かしさすら覚えつつ、瑠璃の目の前へ。
当初は穂村への対抗意識による猿真似だった筈だ。彼の戦い方を無理やり真似て、それで上手くいかなくて、暫くむくれた後に改善の仕方を探していたような……………………。
それにしても、己は何をしているのだろうか?
冷静になりそうになる思考を無視して、足を緩く広げ右腕を引き絞る。
この時体重を前にかけすぎると、己が困る。
だが、余りにもやる気がないと反応しない。
こいつ面倒くせぇと日頃感じられていることを思いつつ、踏み込み拳を振るう。
太刀上のおじいちゃんず仕込の右ストレート。
「――あっぶねぇ……!」
備えてはいたものの反射神経が絶叫する。
元々間合いのギリギリで、更に全力で退いた。
それでも日向の鳩尾のスレスレに、縦拳はあった。
「…………ん? 日向、何してるの?」
「えぇ………………?」
それまで虚ろだった瞳をぱちくりと動かし、次いで光の戻ったその目を細める瑠璃。
同時教師は思考を放棄した。
「あ、もしかしてトンでた?」
「そ。前より長引いてたから強引に起こしたんよ」
「ごめん、ありがとう。縦拳あたってない?」
穏やかな会話。
更に瑠璃の声音がいつもより柔らかい。和んでいると言うより、体調が悪いもののそれ。
ただし、今は授業中だ。
幼馴染みの談笑もそこそこに、数学の授業は再開された。
太刀上 瑠璃という存在がより不思議なものになったが。
UMA、よくて珍獣扱いは免れることは無いだろう。
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久々に思考回路が焼き切れた。
割と治るの早いから焼き切れるって表現が正しいかは分からないけども、取り敢えず気絶するだけじゃあ足りない負荷のレベルであったのは確かだ。
中学の頃の方が無茶してた、というか今回みたいに認識する範囲を絞らずにやったのに、今回の方がダメージが大きかった。
認識出来ていなかった劣化だね。
今後改善しないとね。
だが、まずやることは決まっている。
時刻は20:23。
本日やらなきゃなことは既に終えた。
今日は日向が起こしてくれたとは言え、完全に回復したわけでは無い。
しばしば頭痛がするし。
てなわけで、寝る。
お読み頂きありがとうございます。
今後も読んでくださると幸いです。
強化フラグが立ちました。
こいつ今が全盛期じゃないんですって。
素直に怖いわ。




