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「――シィッッ!」
速度の上がったデーモンナイトの突進並びに刺突。
急に速度が跳ね上がったのなら兎も角、そうと分かっていればどうとでもなる。
――斬法 弾抜
半歩ずれながら、柄を弾く。刀身の軌道を大きく変えて首を掻っ切る。
――いや、駄目だ。
『練魔纏斬』あるのに首さえも破壊できなかった。
拙いね……。
弾抜は人を殺すだけの威力しか出ない。それだけでも十分ではあるんだけど…………、それは対人の話だ。
人外相手では不足が過ぎる。
結構な威力を出す技じゃないと。
「チッ…………」
背後より迫る『ダークランス』6条を即時認識し、身体をねじ込み強引に躱す。
崩れた体勢、そこを狙うフェンサーとナックラーによる挟撃。
雑にナックラーの懐まで踏み込む。
――撃法 徹震
ショルダータックルを一つ。フェンサーの攻撃から逃れつつ、僅かに隙間を生む。
徹震も崩れた体勢から放ったので威力は不十分。そもそも私の素の攻撃力では撃破するのは困難。
このタイミングならナックラーを殺すだけなら可能だろう。
ただ、その隙をナイトとメイジに狙われると流石に厳しい。
特にメイジの魔法が厄介だ。
ナイトも魔法は使ってくるとは言え専門職のメイジ程ではない。
だから優先的にメイジを殺しておきたいんだけど……距離がある。
それを詰めるには前衛組が邪魔だ。
賭けをするならナイトを取れるタイミングが良いが……賭けに負ける確率が高め。
どうしたものかな。
取り敢えず、僅かにでも時間が欲しいな。
「『スパークバースト』『練魔纏斬』」
周囲を薙ぎ払う雷鳴に隠すようにスキルを起動。
フェンサー、ナックラー、ナイトまとめて3体の近接悪魔の動きを止める。
とは言え、ナイトの性能では動きが止まる時間は2秒も無いだろう。
それに魔法が収まったらメイジから魔法がかっとんでくる想定でいた方が良い。
なので、まずは数を減らしてスペースを確保。
――斬法 地嵐
複数の要素で体勢が大きく崩れたナックラーの頭に真っ向から刃を振り下ろす。
ナックラーはこれで死んだ。
若干ながら時間と空間の余裕が出来た。
メイジから放たれた射出系魔法を大雑把に躱しながら、ポーション2本を一気飲みする。
HPは余裕が出来た。MPは即時回復しないが、回復速度は跳ね上がる。
現状のMPは500ちょっとだからかなり危ない。
メイジから私の付近のMPが広がる。
これは……『ダークネスソール』。
地面に固定して継続ダメージを与える魔法。久々に見た。
これは、拙い。
――歩法・撃法混合 風蝕
『散魔対斬』ではもう間に合わない。
範囲外に突っ込んで、強引に逃れる。
そのままメイジに斬り込みたい。が…………
「ナイトじゃんま…………っ」
風蝕のエネルギーで突っ込んで多少のリスク込みで斬り刻むつもりだったけど、メイジを庇うようにナイトが1体割り込んできた。
速度上がった程度ならどうとでもなるとか考えてた私が甘かったというべきか分かっていても相手の対応が早まるのなら、こっちが完全に後手に回った瞬間に、死ぬ。
取り敢えず、『ダークネスソール』の範囲からは逃れた。
でもここでナイトに弾かれたらまだ危ないレベル。
また問題は別に一番距離が近い連中がフェンサー、メイジ、ナイトなだけで当然他にもデーモンはいること。
今だって目指して突っ込んでいる先にいるやつ以外のメイジの魔法が見えている。
『アロー』が8、『ランス』が3、『マイン』が5、『ブレイズ』が4。
とは言え、私のAGIの影響で標準は酷く適当だ。
まぁ、当たったら死ぬから全部どうにかしなきゃなんだけど。
『マイン』は隙間だらけだから余裕。
その空隙を埋める19の攻撃。
「『思考加速・断続起動』」
瞬間、ニューロンがスパークした。
19の攻撃全ての軌道を雑かつ最速に予測、身体を地面に投げ出す。
――歩法 迅雷
攻撃の1/3はこれだけで回避可能。残りは迅雷の自由の利かない方向転換でも十分に対処可能。
名持ちの悪魔が出てきたとき用に取っておきたかったが、今は死なないことが重要だ。
『思考加速』に反動はあってもクールタイムは無い。使わなきゃな時は迷わずに切るべきカードでもある。
「『練魔纏斬』」
――歩法・撃法混合 風蝕
思考速度を強引に跳ね上げた状態で2歩、地面を砕くように踏み込んだ。
『思考加速』、2度目の風蝕。
3重の加速。
それにより、デーモンナイトの認識を振り切る。
――斬法 箒星
盾となっている左腕、そこを避けて首を穿ち確実に殺す。
良し、これで一番近くにいるナイトは殺せた。
メイジを狙いやすくなる。
魔法を使われる前に殺すのが理想。
「『練魔纏斬』――」
――斬法 豪雷
無音の踏み込み、エネルギーの一切を斬撃に込める。その術理の副作用として、刃を振るった後に多少の隙が生まれてしまう。
本来、今のようなギリギリの一対多で使える技ではない。
だが、今この瞬間だけはなんとかなる。
メイジが一体減るだけでかなり違うからね。
私からすれば近接組なんていくらいようが同時攻撃が可能な数には限りがあるのもあってどうとでもなる。
でも魔法で絨毯爆撃よろしく回避する隙間さえ無くされると死ぬ。
なので、リスクを承知でメイジは狩るべきだった。
特にナイトも回避の副産物として殺せたので、やりやすかったからリスク自体も小さめだったしね。
――僅かに振り切った刃に違和感があった。
ナックラーやフェンサーを切った時よりも、ナイトを切った時のそれに近い感触。
他の奴らよりもメイジの防御力の上昇幅が大きい…………?
お読み頂きありがとうございます。
今後も読んでくださると幸いです。
私生活が終わっているので、時間の捻出が上手くなりたい今日この頃。
上手い人誰かコツ教えてくれ。




