03 交流しよう
更新遅い上、短くてすみませんm(_ _)m
「あの……大丈夫ですか?」
「………大丈夫に見える……?」
彼女は首を振って答えた。
「ごめんなさい。……これを飲めば多少は和らぐと思います」
薄い水色の液体が入った瓶を渡してきた。
「ありがとうございます」
その瓶を受け取ったが、得体の知れないものは飲みたくない。
「ところで、これは?」
「『回復薬』ですよ。飲んだ事ありませんか?」
飲んだ事はおろか、私は見たこと無い。嘘言っても仕方ないので、素直に伝えた。
「そうですか……。回復薬には下級、中級、上級と3種類あります。その回復薬は中級なので、痛みはなくなりますよ。下級でもある程度なくなりますが、念のためです」
どうやらこれは薬らしいので、ぐいっと飲み干す。
飲んですぐに痛みは引いていき、立っても大丈夫な程になった。
「ありがとうございます。えっと……」
「クリスです。クリス・アルフィテリアです」
「……クリスさん?」
「はい」
「私は柊のぞみ、です」
「……ヒイラギさん?」
もしかして、海外の名前みたいなものかな。名前と名字が逆になるし。
「……のぞみが名前で、柊が名字よ」
「のぞみさん、ですか?」
「そうそう」
「では、のぞみさん、と呼ばせてもらいますね。のぞみさんも無理せず、いつも通りで話していいですよ」
「……じゃあ、そうするね」
「はい」
彼女、クリスはきれいな水色の瞳と髪の少女で、穏やかそうな雰囲気が漂う。
「のぞみさんはなぜあんな場所に引っ掛かっていたのですか?」
まあ、気になるよね……。
「……信じられないかもしれないけどいい?」
クリスが頷いたので話すことにした。転移してきた事については迷ったけど、そのうちボロが出るから、話してしまうことにした。
『始まりの巫女』についてもだ。
「……のぞみさんは異世界から来ていて、『始まりの巫女』ですか。私の知る限りでは、神殿や、神殿にいる『生命の巫女』様と関係がありそうですね」
一通り話終えた後、言われたのがこの一言だった。
「『生命の巫女』って?」
「各地にある生命樹を管理する者です。それ以上は知りませんが、巫女様は神殿で保護されています。のぞみさんが本当に巫女であれば、神殿が保護しに来ますから……」
もし、神殿に保護されたらどうなるか考えてみよう。
まず、自由に出歩く事ができなくなる。
……あ、もう無理。
私は別の世界から来ている。こっちの世界もたくさん見てみたいから、神殿に保護されるのはごめんだ。
同じ巫女でも『神殿の巫女』ではなく、『自由な巫女』として生きていきたい。
神様からは、何をしろとも言われていない上、いくつかの便利な道具だけ持たされて、「いってらっしゃい」だった。
取説みたいのは貰ったけど、まだ見ていないし。
その時、くぅー……と私のお腹がなった。そういえばまだ何も食べていなかったっけ。
お腹の音が聞こえたらしく、クリスがおずおずといった感じで私に提案した。
「……あの……よろしければ私の家に来ませんか?簡単なお食事でしたら、準備できますし……」
「あ、うん……お願いします……」
こうして私はクリスの家に向かうことになった。
◇
しばらく歩くと、森の中におしゃれなログハウスが見えてきた。
「のぞみさん、あれが私の家です」
あの場所からおよそ2時間ってところかな……実際にかかった時間はわからないけど。
「少しだけ待っていてくださいね。家の中が少々散らかっていますので……」
軽く返事を返すと、クリスは小走りで家の中に消えていった。
家の周囲には魔物避けの為、簡易的な柵が張り巡らされ、出入りできるのは小さな門一箇所のみ。柵の内側には木でできた机と椅子、そして井戸があった。
井戸は水汲みに使用しているのか、木のバケツの取っ手にロープが縛り付けられていた。
ほかには薪が積み上げられている。
「のぞみさん、お待たせしました」
さっきと服装が変わってる事から着替えたのだろう。森の中ではローブで身を包んでいたけど、今はシャツにスカートといった服装をしている。
家の中はワンルームマンションのような作りで、広々としている。広いんだけど、部屋の端に置いてある大きな釜が気になる。
「クリス、あの大きな釜は?」
「あれですか?私の仕事道具なんです。これでも錬金術師なんですよ?」
……え?錬金術師?