63:りく4
大変間が空きました。しれっと投稿。
れいえもんが田圃に向かった後、とりあえず庫裏に戻る。鹿杖背負ったり刀を差したりなんというか移動がめんどくさい。歩きながら気になったことを呟く。
「犬神人て言うてたな」
「はいな。有名なのは祇園社の下級神官といいますか、僧兵警邏隊的な小間使ですな。でもこの辺りは少し遠いですから、諸国犬神人とかいう別集落のモノか、あるいは流浪漂流しているモノかもしれませんな」
犬神人、そういえば夙とか楽市とかって言ってたけど、それってそもそも大昔やんな。今もあるんか?まあ芸道者というか見世物とか演劇とか大道芸とかそういうのを江戸時代くらいまで仕切っていたのはそういう名前で呼ばれていたような。それに祭りとか。って、俺達騙す気満々やん!
あれは黒石のせいか、れいえもんの地か知らんけど、ちょっとひどいなあ。りくとか、無頼相手に怪我してたらしゃれにならんで。いやでも、コイツラ普通に神通力あったけど。あ、でも犬神人とか、神通力とかありそやなあ。犬神人と犬神は成立も扱いも全く違うもんのはずやし、呪術的な感じではなさそうやけど。
「犬神人は、今では警邏の任もなく、お社から放り出されたものがほとんどやと聞いとりますなあ。寺社改革とか言わはったと思います」
りくが目を細めていう。ほう、よく知ってるなあ。
「わえは知ってることしか「わかったから!天丼ちゃうから!同じネタ被せんといて!ってなんでりくが知ってんねん!」はぁはぁ。おまけにエスパーになっとる!
ツッコミ疲れたまま庫裏に上がる。
当然のように付いてきているれいかとすてが、お茶でも淹れに行ったのかすっと消えている。
りくは今日は朱の矢絣柄の着物を着ている。小さな草履を履いて、あおいさんに手を引かれていた。あれ、あおいさん、おばあちゃんになってる。
「かねかつら様の近くにいると、生気に溢れてきてしまい、かえってこのほうが楽なのです。」
あれ?あおいさんもエスパー?
「いえ、別にかねかつら様の心を読んでるわけではありませんよ、表情を読んでいるだけですよ。うふ」
うわ、割と破壊力のある「うふ」やな、いやそうじゃなくて、俺ってそんなにわかりやすいんか?
「そうですな」
「そうどすな」
「そうですね」
ほぼハモってる……
れいかがお茶を持ってきたので気を取り直す。
「れいえもんが、近々祭りがあると言ってたよな」
っていうか、やっぱえらい差別的やったなあ。言外のニュアンスが、かなりやばかったような。
「そんで、俺達が行けばびびって逃げるとか?そういう感じ?」
つーことは、やっぱとつかさんとか元のくろめとかはくや、やとり、やにあ、みんな異形として畏れられるべき存在なんか?俺もか?この世界ではたしかにここしか知らんけど、もとのれいかやすてかって、俺にしたら変わってるし、伏見課長かって人外の顔ではあるしな。というか、いまのれいかやすて以外、普通の人間の顔を見とらんよ。
「それはまあ、人によるというしかありませんね。犬神人なら、やはり狗頭が本来でしょうし、特に気にはしないでしょうね。ただ、普通の村人は、特に高齢の方は畏れて近寄らないと思われますね。」
あおいさんが屈託なく話す。
なるほど。そんならこの村は本来的に餓鬼の村、いやそれは割と新しい事象か、それでもおそらく現在は怖がられる集落なんやろな。そうでないと辻褄は合わんというか。そういう村やから暗黒宝物殿があるんやろうし。せやけど犬神人は逆に近しい存在やから特に怖がることもなくやってきたと。で、娯楽に誘いに来たと。堕落を押し付けに来たと、そういうことかな。
「じゃあ、そうなると、元々依頼されていた野伏云々はレイえもんの誑かしで、ていうか白状しとったな。だとすると、もうそういう役には立たんから、キャンセルにはなっとんのやろな。いや、そもそもれいかとすては堕落してもうてるし、他の連中には関係なさそうやし、れいえもん自身も黒石の呪縛が解けたからなんか気が抜けてる感じやしなあ。どうしよ」
「わっちは一度帰らせてもらうわ。ちょっと時間がかかるんじゃけど、まあ、よっかいつかで戻れると思うわ」
「そうですね、よく考えてみて下さい」
「すまぬのう」
とつかさんは特に荷物もないのか、そのまますたすたと出ていった。
昼までまだ時間があるので、れいかとすての魔法の練習の様子を見る。いわゆる「魔力の制御」みたいなやつと検証だが、一日でどうこうではないだろうからねえ、庫裏の階段にだらしなく座って眺めている。
そういえば、りく、アンジェリーク?、ますます正体がわからない。大麻出してたけど、どこに行ったのか、いやどこから出したのか。蛇が首から肩にかけてチョロチョロしていて、頭の上から庭を見ているのか、魔法を見ているのか、時々舌が覗く。
うーん、子供の年齢と大きさとかさっぱりわからんのだけど、大体何歳くらいなのか?なんとなく低学年の幼稚園児くらいに見えるが、おくるみがあったということは、元々乳児だったんでは?で、この知識量というか知性みたいなのが存在していることがそもそもおかしい。やっぱり、超自然的なもんか。
「りくは、誰?」
「りくは神さんどすな。今生は久我の一族の末席に生まれましたが」
輪廻転生すか!地球を守ってくれますか!いやいや。リアルムー世代やからついね、って、ちゃうわ!神さんですか!大安売り感はあるけど、伏見課長も、そういや俺でも神さんなん?いや俺はせいぜい神使やろうけど。
「えーっと、じゃあその巳ーさんは、眷属的ななにかかな」
「眷属というよりは神使どすな、いや、一体で神格を持っているとも言えるかもしれませんな」
「巳といえば、この辺りなら大神神社、じゃなかったら諏訪神社系統かな」
「宇賀神という神さんをご存知どすか?」
「風◯大地に出てくるステーキ焼いてるおっさん」
「全く意味が分かりまへんな」
「すまない、忘れて下さい。えー、蛇みたいな神さんで、弁天様とくっついてるというか……」
「今の姿はそれそのものだと思いまへんやろか」
「えーっ、じゃありくは弁天様の化身!?」
「わえの外見からそう思わはるかも知れまへんが、間違ってはおりまへんが、まだ大分遠いどすな」
いやいや!天女は幼児ちゃうし!
「そうどすな、生存戦略どすな」
ペンギンが思い浮かぶが頭を振って映像を追い払う。
「お諏訪さんに縁が深くて、三輪さんに誘われましてな。それが、あまりに神力が乏しい地域を通ってきたためにややこしいことになったんどす。」
三輪山と諏訪大社といえば、確かに共通点みたいなのは多いけど、直接の関連はなかったような……
酒、蛇、日本神話の体系外の古来の神さん、御神体がない。宇賀神もそうやけど、蛇か。蛇やな。しろめはヤモリやったけど、でもあれ?、蛇は横にいる。そんならりくは何?
じっと見ていると、ふと気づく、大きくなってね?特に蛇。あれ、1m近くあるけど、前は半分くらいだったような……
「うふふ。かねかつら様はわえの旦那様どすから、何でも聞いておくれやす」
……いやいや何ゆっとんねんこの幼女。
「主様は!私をかわいがってくれるのです!いづれ相方を見つけ出し!二人でお勤めするのです!」
「あらあらおもてになりますのね。私も混ぜていただきたいですね。うふふ」
モテ期か!
おれは中空から取り出したハリセンで三人の頭をしばく。
幼女と牡鹿と老婆にもててもどうにもならんわ!
しばらくこっち書きます。頭中がかねかつらさんです。これ、テンション上げないと書けません。テンション上がると他のが書けません。




