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24:暦とか。火魔法とか。

「やっぱり筆はいらないんかな?」

「有ったほうがわかりやすいですが、無くても問題ないですな。そもそも書く必要もないかもしれませぬな。」

「マジですか。」

 狐さんを地面に下ろすと後に着いてくるれいかによっていく。

「れいかさんは、とりあえずそれが無いと出来ないでしょうな。」

 せやな、講習中の仕方とかさっぱりわからんやろしな。

 漢字が要るんやな。漢字を知らんとできんよな。でもそんなに知らんでもええんか。

「れいかさんの場合、思い入れのある漢字でないといかんような気がしますね。」

「私は、私が知っている漢字は、あまり多くありません。思い入れということであれば、真名に使われている漢字でしょうか。冷か、火か。」

「じゃあとりあえず集中の練習から初めましょうか。元になるものがわからないと時間がかかるかもしれないから、ちょっとイメージって、想像してみようか。」

「はい。」

 素直やねえ、社内の新人でもなかなかこうは。いや。

 せやけど、二酸化炭素って実はすごく難しい概念では?

「れいかさんは空気、呼吸ってわかる?」

「はい。窒素と酸素ですね。呼吸で酸素が二酸化炭素になりますね。去年習いました。」

「おお!それは良かった。魔法に関係ないけどちょっといい?教科書とか有るの?先生とかいるの?」

「教科書は毎年1冊だけ寺子屋に配られていると思います。寺子屋に通うのは冬と夏に一月づつくらいです。それに合わせて先生がこられます。」

「なるほど。あっ!すまないが年齢を聞いていなかった、教えてもらってもいいかな。」

「はい、15になります。」

「あ、そうなんか。……そういえば、今日の日付わかる?」

「今日は文月七月の二十六日だったと思います。」

 ということは、やっぱり陰暦やな、旧暦がそのまま続いとるな、そらそうやまだ江戸幕府が存続しとんのやし、大規模に開国して富国強兵とかグローバルでインターナショナルなハイソサエティーでも目指さん限り改暦する必要もないからな。台湾なんかもそうやしな。

「あー、今何時頃かな。」

 自分の感覚では午後3時過ぎ。

「そうですね、15時は回っていると思いますが、正確な時間は母屋の父さんの部屋にある時計を見ないとわかりませんが。この村には時計がそれしか無いので、すみません。」

「えと、時計てゼンマイ式?振り子式?」

「ゼンマイです。昔、おもりの時計があったとおじいちゃんが言っていましたが見たことはありません。あ、この間来た商人さんが、水晶の時計が出来たとか言ってました。きっときれいなんでしょうね。」

 いや!いやいや水晶発信のクォーツのことじゃないよね?……なんか、今と全く違う技術発展とかありそうな気はしてきたけど、日本人のことやから、わけのわからんもん作っていても全くおかしくはないけど……。

「……。そうですか。わたしもいちどみてみたいですなね。」

 気を取り直して、24時間制か。不定時法はあまりといえばあまりな時制やからなあ。いつから取り入れたんやろ。暦は残したんやな。なんか旧暦はグレゴリウス暦より正確やとか聞いたこと有るしな。でも無茶苦茶ややこしかったはず。

「暦は、あ、それも配布されているのか。」

「はい、毎年神無月十月かそれくらいに。教科書や他のたくさんの書類と一緒に届いてます。」

「なるほど。よくわかりました。」

「いえ、どういたしまして。」

 ああ、キリがないな、とりあえず魔法の練習やね。

「じゃあこれを持ってください。」

「ええ!こんな高価そうなもの、私は……」

「いや大丈夫です。とりあえず手に取ってください。」

 無理やり渡す。そうやな、元素記号とか分子モデルまでは知らんやろから、

「そうですね。そうそう。そんな感じで持ってください。やり方としては、その筆というか棒というか、のすぐ先に二酸化炭素が集まってこい集まってこいと念じます。で、自分の中のそれを変化させる力を筆のきれいな石に集める想像をして、これも集まれ集まれと念じてください。そうすると、石が光ると思います。その頃には、多分その棒の先に光かモヤのようなものが感じられます。そしたら、その場で、漢字をよく意識して『火』と書いてみてください。そうですね、ロウソクか行灯の火くらいのがチラチラ燃え続けるイメージだと思います。」

「……。はい……。」

「ああ、いっぺんに言い過ぎました、難しいっすね、一度私がやってみましょう。」

 魔法の筆を受け取り、構えてみる。ちょびっとの火やな、ちょっぴりやな。

 イメージするとすぐに石が光りだすので困る。『火』と書く。

 ……火だね。ちょっと大きけど。プカプカ浮いてる。人魂やん!明るいから怖くないけど!

 ……。れいか嬢が目を見開いている。ていうか、暑いわ!熱いわ!

「ちょっと下がりましょうか。」

 これ、魔法やけど物理やもんな、焚き火が浮いてるようなもんやし。ああ、そうや二酸化炭素集めただけではあかん、これを分解して炭素=炭と酸素に分けて火をつけるイメージやな。ああ、ハードル高いか。じゃあ燃料があればいいか。木切れか薪か。んで酸素があればいいから、そのほうが楽やろな。

 ……狐さんと目が合う。すっとこちらから逸らしてしまう。だって!いつ消えるねんこれ!火事なれへんのかほんま。

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