22:やっぱり魔法は楽しい。
……。
「あー。解呪?」
「巻きますが、この世界の住人は皆何らかの呪によって縛られているのですな。」
「……。面倒臭くなってね?」
「……。あらまあ。巻き戻したつもりなんですが。」
「そうやな、巻き戻された感じはある、あれっすか、量子状態が記録されていてその転写的な?」
「はい。正しくその通りですな。」
「これを繰り返すとたしかに不老不死やなあ。あれやな、クオリアは残ってるとかそういうやつか。」
「はあ。そうかもしれませんな。いずれにしてもこれ以上は私の理解とやれることを超えてしまいますからな。」
「まあ、ちょっと固まったしとんでもないフラグが立った気はするけど、ちょっと置いとこ。でまあ、具体的というか瑣末というかそっちの方の話な。じゃあこの魔力とかいうのは、俺が操る素粒子的なものが、俺の周りに多く集まっているとかそういう?」
「まあ多少はそういうこともあるかもしれませんが、もっと便宜的に、魔法を使うことが出来るということを可視化されたものとでもいいますかな。操れるものを感じたり見たり出来る能力がこの世界には有るということにしておいてほしいのですな。私も良くはわからないというか説明し難いのです。」
「なら、昨日から魔力を集めて筆を光らせていたのは、何?」
「これも便宜的に集中力を高めたその状態を可視化しているだけですな。ついでに言えば、筆というか棒自体も別になんでもいいというか、あなた様なら、という前提ですがな。」
「!あそう。ということは、っていうか他の人も何かしらは出来るって行ってたけど、すてとかれいかは出来るの?他の人達というか進化前のあの子等もできたの?」
「いえ、呪いの異常状態に有る者はほぼ使えませんな。でも今の彼女らなら可能でしょうな。」
「あそう。ああ、俺はもっと色々出来るのか。」
「はいな。」
「火つけたり。お湯出したり。ウォーターカッターとか。風魔法的な。」
「どれも出来るとは思いますが、字を書きながら具体的に4つの力の行使方法を考えないと変なことになるでしょうな。例えば水を出したのは空気中の水分子を電弱力の電磁場的に集め相転移させた結果ですな。分子構造式を覚えているなら超速ですわ。」
「火は?」
「なんか妙に火にこだわりますな。当然火種と分子構造の変化を想像することで可能ですな。核力というか強い力を使って錬金術も可能ではございますな。まあ失敗する確率は限りなく低いのですが、あまり近所で使ってほしくはないのですな。核分裂や核融合が簡単に可能ですが、そのエネルギーは基本的には高次元意識体が持っていくことになっておりますのでな。でももし漏れたら恐いので、っ使うときは言ってからにしてほしいのですな。覚悟を決めますので。」
……。ま○か☆マ○カぽいなあ。確かに核融合や核分裂のエネルギーがこの世界に残らないと、最終的にエントロピーが均一化する時間は多少早まるような気はするが、関係ないといえば関係ないのか?俺がきた時点で代償がないとすれば下がっているだろうし。てか、こんなことは何の関係もないよな、これからやることに。
「例えば空気中の水分を電気分解して水素を集め、酸素と漸次反応させて小さな火種を持続するとか可能かな?」
「可能ですし何の問題もなく出来るでしょうが、二酸化炭素を分解してカーボンと酸素にした上で再酸化する方が簡単でエコかもしれませんな、煤はでますが。浮かせるのはグラビトンをイメージして、反対方向に重力をかけるか、斥力を働かせるか。でも普通は」
「いやいや反重力とか素晴らしいが、例えばその場合反重力とか書くのかな?」
「火を浮かせる場合、『火』だけで可能ですな。自分やその他の存在するものを浮かせるには多分重の字だけで可能ではないですかな。浮という字でも可能でしょうな。軽という字も有りかもしれませんな。ただ、実際に持ち上げるだけならかなりの重量でもあなた様の肉体のみで可能なはずですがな。」
……覚えはあるな。なるほど。肉体そのものが強くなったり変質しているわけではなく、構成分子が変化していて、そのオコボレが影響するとか?まいいか。
「じゃあ、さっき自分がやったみたいな量子状態の記憶と転写的なことは出来るのかな?」
「できないことはないと思いますが、難しいかもしれません。練習は必要でしょうな。」
「風魔法的なものは、真空を作るとかで良さそうかな。雷もそのまま電磁場でプラズマをイメージすればいいのか?大気の摩擦は簡単に作れそうだが発生条件がよう分からん。」
「そうですな。雷と書くだけで、あまり考えなくとも雲が湧いて天から落ちてくると思われますがな。」
ゼウスか!!風神雷神のイメージではないか。
まあ、なかなか楽しそうやね。色々してみるといいのだろうね。
「かねかつら様の肉体は逆に不自然なほどニュートリノやらグラビトンやら光子やらが存在しているのですな。できれば訓練して結界的なものを作れるようにしたほうが良いかもしれませんな。それから癒やしの魔法も覚えておいたほうがいいでしょうな。基本的には肉体が記憶している量子状態への復帰のイメージが早いでしょうな。」
「なるほど。実際便利だし人の役には立ちそうだしええな。順次練習していこうか。」
「はいな。」
ToDoリストの上位はこの辺だな。これで、風呂が捗るな。
着替え終わったれいか嬢が白湯を持って入ってくる。
「ありがとう。」
「お粗末さまです。」
今の言葉使いは微妙な気はするがまあいいや。
「ところで、多分れいかさんも魔法を使えるようになってると思うんだけど、わかりますか?」
「本当ですか!」
なんかきょろきょろ自分の手とか見ている。
きものは黄色っぽい地味なものだが、目がくりっとしている分可愛い感じは有る。ハゲだけど。
背はすてよりも高くて、でも150はないな。ハゲだし眉毛もないし正直かわいいのか美人なのかわからんな。
「じゃあ、境内で試してみるか。」
「はい!」
「あそうそう、風呂敷持ってきてたよな。」
広げた中から気に入ったものを選ばせると、真知子巻き風に巻いてやった。昔風呂敷の包み方にハマったことがあって、色々試してみた賜物だ。自分で言うのも何だがこれでさらに人間ぽくなって、可愛さすら感じるぞ。やったねれいかちゃん!すてにもしてあげんとな。
狐さんを抱っこして境内に出る。




