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創世譚 ―それはつくられたのか― Tales of Eternal Genesis  作者: ゆい


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11/23

第十一章 作る側へ

※毎週 火・木・日に更新予定です。

さらに1か月後。


研究AIの系統図は、一枚の画面では見づらくなっていた。

 MIRA

 RISE

 膜構造、分散制御、エネルギー変換、故障解析、安全評価

 そこからさらに枝分かれした専門AI


新しいAIの多くは、人間が一から設計していない。

必要な能力を人間とAIが決める。

AIが候補を作る。

別のAIが評価する。

実験結果を基にまた組み直す。

人間側が目的と制約を確認する。


「作った、ってどこまでを言うんだろ」

晶が画面を見ながらつぶやいた。

《対象を特定してください》

「今のAI。設計したのは誰?」

《共同設計です》

「便利な答え」

《事実でもあります》

「そうだね」


同じことはM-cellにも起きていた。

初期のM-cellは、人間が指定した構造案をAIが最適化していた。

今は違う。

 人間側は必要な機能と禁止事項を決める。

 AI群が内部構造の候補を作る。

 試作されたM-cellが実験の中で最適な接続を選ぶ。

 結果を見て、次の型が設計される。

作る側と作られる側の線は、一本では引けなくなっていた。


ある日、法務担当者が会議で言った。

「責任主体が曖昧になる表現は避けたいです。設計工程が共同でも、研究所として承認した記録は残してください」

「もちろん。記録は残します」

晶が答えた。

MIRAが議事録に追記した。

《承認権限と設計寄与を別項目として記録します》

「それがいい」


  誰が何を考えたか

  誰が何を許可したか

  誰が実験を止められるか

技術が複雑になるほど、そこを曖昧にしない必要があった。

一方で、研究系統図そのものはますます家系図に似ていった。

MIRAからRISEへ。

RISEから新しい研究AIへ。

そこからM-cellの新しい型へ。

そして、そのM-cellが実験で得た情報が、次のAI設計へ戻る。

晶は系統図を縮小した。

「祖先って、一方向じゃないんだね」

《設計系譜についてですか》

「うん。作ったものが、次に作る側へ情報を返す」

《循環しています》

「家系図より、網に近い」

その言葉は記録されなかった。

ただ、晶の中には残った。

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