第43.5話 夢のお話
この話で1章完となります。
続けて2章が始まります。
2章は力の限界を感じた彼らがより強くなるべく修行しながら旅を続ける話になります。
真夜中、巨木の前で祈りを捧げている人が1人。
「てっきり1人では歩くのも苦しいと思っていたが存外歩けるではないか。」
そう言って何もないところから突然と姿を現したのはカルナである。
「なんて呼べばいい?長老?村長?村長?おばば様?巫女様?
呼び名くらい統一してくれないか。」
「好きに呼べばよかろう。」
そう言われた本人が呟くように返す。
「一応敬意を払っているんだ。なんて呼べばいいかなと思ってね。」
距離からして聞こえているはずがないのに聞こえているようだ。
これも魔法の力なのか。
異世界から来たと言うこの少女の姿をした魔物のような人間。
そいつが不敵な笑みを浮かべている。
「ヨークとヨハンナのこと知っているんだろう?
2人は両思いだ。
悲しいことに結ばれない。
この村の掟によってな。」
「儂には無理だ。儂なんぞただの飾りだ。何もしてやられん。」
「ここに来て祈っているのは懺悔のつもりか。」
「好きに言えばいい。」
「自分たちで作ったルールだろう、変えてみせろ。大切な娘じゃないのか。」
「儂が作ったルールではない。昔からこの村にある掟だ。
儂一人で変えることなどできん。」
「そうやって同じ苦しみを娘にも味わわせて、娘もまた次代の巫女に同じ目を遭わす。
それが生きがいか?」
長老の糸目の中の瞳がカルナを睨んだ。
「事実を言ってしまってすまない。
こういうのは外から見ていると滑稽でね。
自分たちで作ったルールで自分たちが苦しんでいるんだ。笑っちゃうでしょ?」
「村長であるが独裁者ではない。儂にはどうすることもできん。」
「しかし巫女ではある。巫女には巫女にしかできないことがある。」
「・・・」
「大事な娘が好きな男と一緒になりたいって言っているんだ。
育ての親ならば願いを叶えてやりたいと努力するもんじゃないか。
あのヨークとかいう男、私のカザンほどではないがまぁいい男ではある。
お似合いの2人になるだろうな。」
「奇跡でも起こらんと無理じゃ。」
「奇跡が起こればいいんだな。」
「何をするつもりじゃ?」
「言質は取った。巫女の実力を見してくれよ。」
カルナは再び姿を消した。
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