表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
51/219

51.正しい魔法

授業が始まって数日が経過していた。


教室では、先生が魔法の基礎について熱心に説明している。


「正しい魔法とは、魔素を捉え、集中し、詠唱を行い、そして魔法が発動するのです。これは初等魔法から高等魔法まで共通の動作なのね」


俺はノートに書きながら、先生の言葉を反芻していた。


「詠唱は必要なのですか?」


俺が手を挙げて質問する。


先生は穏やかに微笑みながら答えた。


「必要ないと言えば必要ないのね。ただ詠唱なしだと威力が半減するのね。考え方を変えれば、詠唱なしで通常魔法の威力、詠唱ありで威力が増すということなのね。あと、詠唱はカッコいいから唱える魔導士もいるのね」


俺は思わず笑いそうになった。


「そして魔法によっては、魔法発動の際に精霊などに感謝の気持ちを示す必要があるのね。その感謝の気持ちが詠唱の意味合いになるのね。お願いをしてから魔法を発動させるのね」


隣に座るミーアも真剣に聞き入っている。


「先生、命令するのじゃないのですか?」


俺はさらに訊いた。


「命令できるのは、最上級の大魔導士や魔女と呼ばれるハイランクの人たちなのね。精霊に認められれば命令も可能だけど、あなたたちはまだお願いするしかないのね」


ミーアが小さく頷いた。


「なるほど……お願いするんだね……」


先生は続ける。


「一年目は精霊を使わない魔法を覚えるのね。大地、木、空気、火、水、光、影、土の力を借りて発動させる魔法なのね。二年目になると、精霊にお願いして使う魔法を覚えるのね」


「いよいよ学校での授業らしくなってきたな!ミーア、頑張ろうぜ!」


俺が言うと、ミーアは元気よく返す。


「うん!お兄ちゃん!」


兄妹だけのこの魔法教師生活は、なんとも贅沢な感じがした。







昼休憩になり、俺たちは食堂へ向かった。


普段はミーアが手作りのお弁当を持ってきてくれるのだが、今日は寝坊したらしく、たまには食堂もいいかと思った。


食堂に入ると、豪華なメニューに思わず目を見張る。


「まじか!昼からステーキとか出るんだな……こっちはコース料理かよ、どうなってるんだよ!」


ミーアも感嘆の声を上げている。


「うん、すごいねお兄ちゃん」


俺たちは少し戸惑いながらも、日替わりランチのオムライスを注文した。


「おお!オムライスだ、この世界にもあるんだな。こっちの料理、マズイのが多いから、どんな味か楽しみだ!」


俺たちが並んで食べ始めたその時、後ろから声が聞こえた。


「あぁ!いた!カイ!!」


振り返ると、やっぱりマリとルカだったね。


二人とも元気そうだ。


「一緒に食べましょう!」


マリがにっこり笑いながら声をかける。


「一緒に食べる……?」


俺が答える前に、ルカがミーアの方を見て小声で囁いた。


「ねえ、マリ……あれ、カイの恋人?」


マリも小声で答える。


「だって、並んで座ってるし、すごく仲良さそう……」


俺は二人の会話が気になって、慌てて言った。


「ち、違う!ミーアは俺の妹だ!」


マリとルカは同時に驚いた表情を見せる。


「妹!?そうだったの!?」


「なんだ、恋人じゃなかったのか……」


二人は顔を見合わせてくすくす笑った。


「ごめんね、勝手に勘違いしちゃったね」


「まあ、そう思ってしまうのも仕方ない」


俺は少し顔を赤らめながらも苦笑いだ。


「まあ、確かにミーアといると、よく勘違いされるんだよな……」


ミーアは照れくさそうに微笑んでいる。





そこへ、突然騒がしい声が聞こえた。久々だけど聞きたくない声。


「おい!平民!新設されたCクラスはどうだ?」


振り返ると、グレーン殿下とその取り巻き数名がこちらを睨みつけていた。


俺は覚悟を決めて答えた。(めんどくせー)


「お陰様で勉学に集中できています」


しかし、グレーンは不満そうな顔で言い返す。


「なに!?家畜は家畜小屋が馴染むんだな!!」


ミーアが俺の袖を引っ張って囁く。


「お兄ちゃん……この人、誰?」


俺は苦々しく言った。


「ああ、あいつは王子様……グレーン殿下だな」


その美しい姿に惹かれてか、グレーンの目が一瞬ハートマークのようになった。


「お前のような者がAクラスにいないのが不思議だ。どこのクラスにいるのだ?」


「僕はお兄ちゃんと同じCクラスだけど」


「なんと!Cクラス!?この平民と同じCクラスとは!……お兄ちゃん?」


「そう、お兄ちゃん」


「なに!!許さんぞ!この平民風情がこの様な美しい方と兄妹とは!ゆるさん!!」


俺たちのやり取りを聞いていた取り巻きの一人が耳打ちする。


「殿下、それでは……」


グレーンは振り払うように言った。


「ほうほう、それはいい考えだ……おい、平民!今度の魔術テストで勝負だ!そして私に負けたら、その美しい方をAクラスに編入してもらう!」


俺は驚いて聞き返す。


「魔術テスト?」


「この平民は魔術テストも知らないのか!」


マリとルカも隣でざわつく。


「できれば無視したいけど……無視できないよね?」


「おい!平民!無視しようとするな!」


俺は仕方なく答えたのね。


「俺が勝ったらどうなるんだ、殿下?」


「お前に発言権はない!黙れ!!」


「なんて理不尽な……」


「まあ、お前が勝つことはないのだから、何だって言うことを聞いてやる!」


こうして、魔術テストでミーアを賭けて、殿下と戦うことになってしまった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ