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依頼 第一の皿(アミューズグール)

道具をインベントリに戻しながら準備をしていると後ろから声がかかった。


「あの・・・さっきの話聞いてたんですけど。翔太さんって冒険者なんですか?」


「そうだよ?まだなりたてだけどね。今から依頼にいくとこ。」



振り向くと彼女は真摯な表情でこちらを見ていた。


「その依頼、手伝わせて頂けませんか。」


翔太は少し考えたが彼女の戦闘技術は申し分無いし、彼女の言う恩を返すと言うことにもなるだろう。


すぐ納得できなかったのは感情面のせいだ。


迷いは断ちきり、承諾する。


「わかったよ。お願いする。」


それからふと想い至ってインベントリを漁って目的のものを見つけた。


「はい、これ。」


渡したのは冒険に必要最低限だと思われる荷物が入った魔法鞄(マジックバッグ)と予備を含めた刀二本だ。



彼女がどのくらいのレベルなのかがわからなかったがあの小太刀を使えたことからしても高レベルなのは推測ができる。


なのでインベントリに入っていたなかでは比較的必要レベルが高いものをだした。


神刀 天河(テンガ)と 凍刄零機(トウジン レイキ)だ。


どちらも高性能だが月詠にはまだおよばない。


なので翔太としてはあげてしまっても全然構わないのだ。


「この武器・・すごいですね。」


「君のは壊しちゃったからね。これを使ってよ。」


準備を終えて翔太は立ち上がると尋ねる。


「君は窓から出てもらっていいかな?この宿には一人っていうことで登録しているからね。」


彼女は何らかの表情を浮かべていたのだがそれをうまく読み取る小ことはできなかった。


「やっぱり・・か・・」


「え?何か言った」


「あ、何でもないです。わかりました。」


「なるべく話をあわせてくれると助かる。」


そうで初歩的なことを確かめていないことに気がつく。


「そういえば名前聞いてなかったね。教えてもらっていいかな?」


桐花(キリカ)です。私は少しゆっくりいくので。」


その返事に頷くと翔太はドアを閉め、廊下に出る。

あんまりエルザを待たせると忍びないので階段を急いで下っていく。


エルザは宿の入り口に立っていた。

先程は気にならなかったが町中でヘルムは外しているが全身鎧(フルプレート)に帯剣、盾まで背中に着けているととても目立つ。


なんとなく気後れしていると


「遅かったな、翔太殿は準備に時間がかかるタイプか?」


なんて問い掛けをされたので


「すいません、時間かけちゃって」


とぼやかしておく。


「今日、遅れてた仲間が一緒なのでよろしくお願いします。」


「そ、そうなのか?」


遠くにキリカの姿を見かけ、手をふって声をかける。


「ここ、ここ。」


キリカはすぐに気付き、人混みのなかでもぶつかることなくすいすいと間をすり抜けてくる。


「遅くなりました。」


「いいよ。いいよ。じゃあ冒険者組合にいこうか。」


ゆっくりと大通りを歩き始めると彼女がすぐに横についてきたのを見て安心する。



彼女はバッグの中に入れてあった新しい装備を身に付けており(インベントリには性別や大きさを問わず大量に装備品があった。)髪は高く結んでポニーテールのようにしていた。


「こちらの方は?」


「はじめまして、エルザ・マーカス・ロー・ドータ・ヴォルデシアだ。呼ぶときにはエルザで構わない。」


え?今の長いのが全部名前?


ほとんど呪文なんですが。王族だからながいだろうとは思っていたがここまで長いとは思わなかった。


「は、はじめまして。キリカです。」


キリカが気まずそうに目を軽くそらした。


まあそれもそうだろう、気づいてないとは言え昨日命を狙おうとしていた相手なのだ。


「キリカ殿か。よろしくな。」


エルザはいきなり目をそらしたキリカを不思議そうな目で見ていたがそのまま友好的に話を続ける。


彼女のポジティブさには感心させられてばかりだ。


器が広いというか。流石王族と言ったところだろう。


近かったので冒険者組合にはすぐ着き、昨日はいかなかった依頼看板(クエストボード)の方へ向かう。


「たくさんあるな~」


ところ狭しし張られた紙には依頼が書いてあってそれぞれ推奨のランクや報酬、依頼内容などがかかれている。


バリエーションも豊かでモンスターのでる森にいってしまった犬を探しにいくことや薬草詰みの手伝いから狂暴な合成獣(マンティコア)討伐までいろいろあった。


「翔太殿、これなんかはどうだろう?」


差し出された紙には{青電獣サンダウル討伐}とあった。


ランクはA1で今よりは格上の仕事で最初の仕事としては充分と思えた。


「ランク足りてないですけど受けられますかね?」


「受けることはできるぞ。あまりにランクが離れると無理だがな。」


なるほどと頷いて紙を受けとる。


「この依頼いいですか?」


受付嬢に紙とライセンスをてわたす。


受付嬢はライセンスにかかれている内容に目をとうしている途中で少し目を丸くしたがすぐにもとに戻る。


「大丈夫ですよ。」


受付嬢はそのままライセンスを少し大きめの機械に通すと書類の製作にかかる。


流麗なペン捌きで仕上げた受付嬢は顔をあげる。


「依頼発注完了しました。ライセンスをお返しします。他に御用はありますでしょうか?」


「大丈夫です。ありがとうございました。」


そのまま冒険者組合から出るとキリカがよってくる。


「今回の依頼の青電獣ですがどんなモンスターなんですか?」


そう聞かれても答えられない。


「んー僕は聞いたことはないな。」


そこで後ろにいたエルザの声が上がる。


「私は聞いたことがあるぞ、何でも四足歩行で電撃や突進攻撃を主にしてくるらしい。動きの早さは相当だそうだ。」



「そうなんですか。電撃は厄介ですね。」


「ああ、今回は複数討伐だからな麻痺をくらうとあとがきつい。」


そんなことを話ながら進んでいるとエルザが歩みを止める。


「ついたぞ。」


「ここは?」


「ここは馬借だ。冒険者など身分を証明されているものはここで賃金を払って馬を借りることができる。」


「え・・あの私冒険者じゃないんですが。」


「何か別の身分を証明できるものならいいぞ?」


キリカが明後日の方向を見始める。気のせいか少し冷や汗をかいているようだ。


「僕が馬を借りて相乗りすればいいよ。」


何気なくいった言葉だったがエルザから不思議そうな目で見られる。


「それならそれでもいいんだが。」


「それで問題ないです。」


二人乗りなら大きいほうがいいと思い、中でも一番大きい茶色い毛の馬を選ぶ。


エルザは小さめだがとても早そうな白い馬を選んでいた。


「毎度!」


お金を払って鞍をつけてもらうとゆっくりと乗る。


エルザたちとここに来るまでに馬に乗ったためだいぶ慣れていた。


一方キリカは初めてのようで鞍によじ登るようにして上がってくる。


「じゃあいこうか。」


馬を門へ向けるとそこからは壮大な草原が顔を覗かせていた。


これが冒険か・・・なんとなくわくわくしていまうな。


翔太は期待とともに手綱を握った。

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