次への挑戦
いつもお読みくださりありがとうございます。
コミック版14巻が6月29日に発売となります。
それと2027年1月にアニメの放送が決定いたしました。
詳しくは後書きでお知らせいたします。
「ふぅ……完膚なきまでに叩きのめされたな」
紫色の光が収まったと思ったら、俺はいつの間にか自宅の居間にいた。
ノール達もいて全員肩を落として落ち込んでいる。
「最後何をされたのかわからなかったのでありますよ……」
「そうね。ピカッて光ったと思ったら観戦所にいたわ」
「あの一瞬でHP全損したのは恐ろしいですね。攻撃されたと認識すらできませんでしたよ。スキルを使う暇もありませんでした」
「悔しい」
『ヤァ……』
ルーナが珍しく眉をしかめて本気で悔しそうにしている。
順調に戦えてると思いきやあの1撃で壊滅だからなぁ。
素粒子レベルで分解ってずる過ぎるだろ。
ノール達ですら認識できない速度でやられてたのかよ。
まあ、俺も最後にやられはしたけどビームで一瞬だったから、痛みを感じなかったのだけは幸いか。
そう思い返しているとフリージアが大声を上げた。
「マルティナちゃんが2人いる! 透けてるんだよ!」
声がした方を向くと、体が透明になったマルティナが立っていた。
すぐ傍に顔面蒼白になったマルティナがもう1人倒れている。
なんで2人いるんだよ! しかも1人は透明でもう1人は倒れているって……。
あっ、まさか!? これがスキルの反動か!
唖然としていると、透明なマルティナが決めポーズをしながら笑い出す。
『クックック、安心したまえ。僕は無事さ。ただ魂が抜けただけだよ。いわゆる幽体離脱ってやつだね』
「お、おう……。体から魂が抜けているのによく冷静でいられるな」
『死霊術師なら稀によくあることさ』
「ほほぉ、生霊みたいなものですか。一応肉体と魂が繋がっているので、戻れなくなる心配はなさそうですね」
『あっ、あっ……アルヴィさんに近寄られるとちょっと。霊体だと直に浄化されちゃいます……』
シスハが近づいた途端マルティナは後退りして逃げていく。
反動で幽体離脱はリスクがデカすぎるだろ……。
アンデッドを行使できるなら、最悪倒れた後に運んでもらうのだろうか。
マルティナも一応無事だとわかり、サレナ戦の反省をすることにした。
「全く通用しない訳じゃなかったけど、攻略には程遠かったな」
「正直最初のミニサレナさん戦の時点できつかったですよね」
「あれを簡単に倒せるぐらいにならないと、サレナ本体は無理でありますよ」
「そもそもミニサレナって複数体で運用する前提でしょ? それなのに1体であれだもの」
緊急召喚でサレナを呼んだ時も、複数のミニサレナを使って戦闘をしていた。
そのミニサレナ1体に俺達は多少苦戦しつつ何とか倒せたぐらいだ。
もしあのままサレナと戦えていたとしても、途中でミニサレナが複数出てくるのは想像に難くない。
あの強さのミニサレナがサレナ本体と同時に襲ってくるとか……無理ゲーだろ。
「少なくとも神気とやらに対抗できないとあの武装は防げなさそうだぞ。ただの武装でスキルじゃなかったようだしな」
『通常攻撃で一瞬で壊滅って……かっこよかったなぁ』
「ぶわっ! って光が広がって綺麗だったんだよぉ。また見てみたいね!」
「私の一撃を食らっても平然としていたのが気に食わん。まだ力が足りない」
ルーナのカズィクルでダメージはあったものの、殆ど意に介していなかったもんなぁ。
常時同じぐらいダメージを与えられなきゃサレナを倒せる気がしない。
更に神気粒子による分解攻撃も耐えられなきゃ勝負の土俵にも立てない。
「神話級に挑むのはまだ早かったな。あれは完全にエンドコンテンツの類だ」
「エンドコンテンツ、でありますか?」
「ああ、ゲーム風に言えばやり込んだ人に向けて用意されている最高難易度のクエストだよ」
「最高難易度のクエスト! クリアできたら凄いんだよ!」
「私達も随分と強化されたけれど、まだまだ足りていないのね」
俺達も結構強くなったし多少は通用するかと思ったが、あまりにも想定が甘過ぎた。
ゲームのエンドコンテンツだと思えば、あのぐらいの難易度でも納得はできるけどさ。
それに強化をしていけばいずれあの強さに達すると考えると、むしろこれからの強化もやる気になるってもんだ。
「地道に強化していくか、ランダムなイベントガチャでサレナやカロンちゃん並みのユニットに来てもらうしかない。カロンちゃんが来たとしても、強化が十分じゃなきゃあのサレナには勝てそうにないけどな」
「今の強化段階の私ですら軽くあしらわれた。緊急召喚時よりも強かった。星5どころではない」
『星5じゃないなら一体どのぐらいなんだろう。6、7に強化した程度であんなに差が出ると思えないね』
緊急召喚は星5の強化状態で呼び出されるが、果たしてあのサレナは強化数はいくつだったのか。
サレナ自身緊急召喚の時にカタログスペックの5割未満って言ってたよな。
最後に今はカタログスペックの何割なのか聞いておくべきだった。
「お試しで神話級をやりましたが、もう1回URユニットバトルをやりますか?」
「そりゃやるしかないだろ! 神話級であんな一方的にやられたんだ! 俺達にはまだまだガチャが足りてない!」
「そこでガチャが足りてないって言い出すのが流石お兄さんだわ。私もあんな一方的にやられたのは悔しかったもの」
「努力でどうにかなるレベルじゃない」
「私もまだまだ強くなりたいんだよ! ガチャやるんだよ!」
「ガチャが強くなる1番の近道なのは、何とも言えない気分になるでありますなぁ」
おっ、渋い雰囲気をしているがあのノールですらガチャに肯定的だぞ!
あのサレナの強さを体験したら、普通の努力でなんとかなると思えないよな。
やっぱりガチャだ、ガチャは全てを解決するのだ。
「まあ、挑戦するのは確定としてスキルの再使用時間は待たないとな。その間にURユニットバトルを出しておくか」
マルティナも幽体離脱したままだし、数時間はスキルのクールタイムがある。
すぐに挑戦はできないけど次のURユニットバトルを出さなければ。
また神魔硬貨でPU・フェス発生クエストを交換して使っていく。
【PU・フェス発生クエストを使用しますか? 使用後、このアイテムは消滅します。Yes、No】
【緊急クエスト:指定魔物討伐:ダイヤモンド・ラピス 期限:7日間】
【緊急クエスト:指定魔物討伐:ヒュドラ 期限:7日間】
【緊急クエスト:指定アイテム納品:亡国の魔導書 期限:7日間】
【緊急クエスト:指定アイテム納品:輝く羊毛 期限:7日間】
【緊急クエスト:指定アイテム納品:龍の宝玉 期限:7日間】
「おぉ……これまたえぐそうなクエストが発生しているな」
「前の時に出したクエストと合わせたら、全部クリアするのは無理そうでありますね」
「それにしても興味をそそられる名前ばかりですね。この世界のどこかにいる魔物なのでしょうか」
「亡国の魔導書って物が気になるわね。滅んだ国にでも落ちているのかしら」
クエストとして出るってことは、確実にこの世界のどこかにいる魔物や、手に入るアイテムなんだろうなぁ。
このガチャのクエストだから一筋縄ではいかなそうだが、クエスト関係なしに倒したり集めたりしたくなるぞ。
もう1回PU・フェス発生クエストを使用すると、やっとURユニットバトルが発生した。
【緊急クエスト:URユニットバトル発生。難易度を選択してください】
――――
【緊急クエスト:URユニットバトル 期限:残り7日】
・初級:【熟練探検家】エリザ・ルーンフォード
・中級:【道楽な詩人】フィリア・ロードソング
・上級:【魔導工学士】エルシア・エテルライト
・超級:【竜騎士】アロニカ
・修羅級:【暴君】ヴェスティア
・神話級:【神界の守護者】アリステル
――――
「うーん、これまた絶妙なラインナップだなぁ……」
「アリステルって前に聞いたことある名前ですね」
「ああ、シスハには前に教えていたな」
「あら、いつの間にそんな話をしていたのかしら。一体どんな話をしていたの?」
「あっ……いや、別にやましいことはないぞ! ちょっと雑談した時に話しただけだ! なっ、シスハ!」
「そ、そうですよ! ちょっと話した時に聞いただけです!」
「ふーん、そう」
エステルはジト目で俺とシスハを見ているが、それ以上追求してこなかった。
あっぶねぇ……前にシスハと2人で食事に行った時に話したからな。
ただ食事しただけだからやましいことはないのだが……あの時も同じような会話した気がするぞ。
それよりも、候補になったユニットをどうするかだな。
エリザは探検家ユニット。
クエストで手に入る素材やアイテムが増える能力がメインの効果だ。
戦闘面だと多少戦えて、罠の設置解除や状態異常の回復など万能型寄り。
入手数増加効果がこの世界だとどうなるのか気になるところ。
フィリアは吟遊詩人ユニット。
歌で味方にバフと回復ができる能力がある。
戦闘力はほぼなく、支援特化のユニットだな。
エルシアは工学士のユニット。
味方へのバフに機械のユニットを出せる能力持ちだ。
特に魔法系ユニットとシナジーを発揮し、魔法の威力を大幅に上げてくれる。
能力的にはエステルやシスハとも相性が良さそうだな。
アロニカは竜使いのユニット。
単純に強力な竜に乗り戦うユニットだ。
竜を倒されると降りてきて、地上でも戦い出すから油断ができなかったなぁ。
ヴェスティアは司令官ユニットだ。
指揮下の味方の能力を大幅に引き上げてくれるが、味方が狂乱状態になって制御できなくなるデメリットがある。
戦闘力も高くて、指揮した味方ユニットが倒れると能力が強化されるというおまけ付き。
沢山のユニットを指揮させて戦闘不能にしつつ敵を削り、最後に超強化されたヴェスティアで蹂躙する戦法が一時期流行ったなぁ。
そして最後にアリステル。
天使ユニットで高耐久力と高火力だが、初期配置から一切動かない。
戦闘開始直後に配下の戦闘用天使15体、防衛用天使15体が召喚される。
一定時間ごとにラッパを吹く天使が1体ずつ出現し、天使が1体追加されるごとに強力な範囲攻撃が巻き起こる。
そして7体目が出現すると同時に、広範囲に高ダメージと即死効果を伴う攻撃をばら撒く。
この世界で再現されたらどうなるのか……。
神話級だから挑戦したところで確実に勝てないんだけどさ。
うーむ、前よりは良いラインナップな気がするけど、ガチャでピックアップするなら誰がいいのだろうか。
ここまでお読みくださりありがとうございます。
前書きにも書きましたが、コミック版14巻が6月29日に発売となります。
表紙もとても素晴らしいのでお読みいただけると嬉しいです!
そして2027年1月アニメの放送が決定いたしました。
アニメのサイトやXに情報が掲載されておりますのでぜひご覧ください。
ここまでやってこられたのは、読者の皆様に支えていただいたおかげです。
これからも楽しんでいただけるように努めてまいります。




