表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
289/408

優雅な魔石狩り

 半自動狩りを確立してから数日後、俺達は今日もレムリ山に来ていた。

 やるのは勿論半自動狩りで、しっかりと準備した俺達は椅子に座りくつろぎながらアンデッド達がリザードマンを倒すのを眺めている。

 狩場で魔物と戦っているというのに、気分はまさに昼下がりのコーヒーブレイクだ。

 あまりにも余裕があり過ぎて、今はシスハ、フリージア、ルーナ、俺の4人でトランプのポーカーをしながら暇潰しをしていた。

 半自動狩りのことを知ったルーナも狩場に来るようになり、全員でこうやって遊んでいるのだ。


「おら! ストレートフラッシュだ! 今度こそ俺の勝ちだろ!」


「うふふふふ、悪いですね大倉さん。ロイヤルストレートフラッシュです!」


「どうしてだよぉぉぉぉ!」


「シスハちゃん5連勝なんだよ! 凄く強いね!」


「ふむ、さすがシスハだ」


 フリージアとルーナがパチパチと拍手して、シスハは胸を張って自慢げにカードをシャッフルしている。

 畜生! こいつ強すぎるだろ! さっきも連発してストレートフラッシュ出してきたしどうなってやがるんだ!


「うふふ、こういう勝負ごとに関しては負け知らずですからね」


「おい、ショットガンシャッフルはカードを傷めるぞ!」


「負け惜しみのいちゃもんつけないでくださいよー。私のカード捌きなら痛みませんからご安心ください」


 シスハはパラパラとカードを混ぜながら勝ち誇った顔をしてやがる。

 こいつ麻雀とかも役満連発したりしてくるし、まさかイカサマをしてるんじゃ……。

 そう俺が疑いをかける一方、ノールとエステルとマルティナはお茶菓子を食べて優雅にくつろいでいた。

 ……ノールはバクバクとお菓子を食いまくって優雅と呼べそうにないけど。


「こうやってゆったりしながら魔石集めができるなんて、半自動狩りは楽で本当に助かるわね」


「そうでありますねぇ。これなら毎日魔石狩りに来てもいいのでありますよ」


「うむ、マルティナに感謝だ」


「マルティナちゃんありがとう!」


「えへ、えへへへへ……そう感謝されると照れるじゃないか」


 片手で頭をかいて頬を赤くしながらマルティナは本当に照れ臭そうだ。

 今まで色々と魔石狩りに関して考案してきたけど上手くいかなかったのに、彼女が来てくれただけでこんなにすんなりと成功してしまった。

 しかも魔石狩りだけじゃなくて、リザードマン達を倒して出たドロップアイテムまでアンデッド達が回収して近くまで持ってきてくれるおまけ付きだ。

 おかげでリザードマンやケプールの素材が大量に積み重なっている。

 これを売るだけでもかなりの金額になるからまさに一石二鳥だな。


「マルティナ1人でこんなに戦力が増えるのはホント凄いよなぁ。URユニットバトルで選んだのは正解だったぞ」


「まあ有能なのは認めないといけませんね。これなら今後ガチャもかなり回しやすくなりそうですし」


「迷宮の報酬とかもあったけれど、今はどのぐらい魔石が貯まっているのかしら?」


「ああ、まだ半自動狩りを開始したばかりだからあまり増えてはいないけど2436個だな」


「おお! もうそんなに貯まっていたのでありますか! なら今の内にもっと魔石を貯めるのでありますよ!」


 へっへ、これだけ魔石があればボックスガチャも1回は底引きできるし、天井ガチャだって1回は天井ができる!

 迷宮報酬に加えて、イータートレント達を大量に狩れたのもかなりの収穫だった。

 できればレムリ山じゃなくてアルグド山脈で半自動狩りをしたいところだけど、さすがに今のアンデッド達じゃイータートレントの相手は厳しいだろう。

 しばらくはレムリ山でもいいと思うが、半自動狩りの方法は確立できたし他の適した狩場も探してみようかな。

 

 そんな感じで魔石やガチャの話で俺達が盛り上がっていると、マルティナが首を傾げながらガチャに関して聞いてきた。


「皆魔石で騒いでいるけど、それを使って回せるガチャってそんなに凄いのかい?」


「お前を召喚したのもそのガチャから出た物だからな。それに俺達の使っている装備だって全部ガチャから出た物なんだぞ」


「そ、そんな物が排出されるならガチャに拘るのも頷けるね……。貯め込んでいるのは回すタイミングがあるのかな?」


「ええ、ガチャにはイベントがあってその時に回すのよ。普段から回すことはできるのだけれど、イベントの時の方が良い物が出るから回す利点がないのよねぇ」


「確かに今まで何の疑問もなかったでありますけど、常設されているガチャって回す意味を感じないでありますよね」


「難しい話はわからないんだよー」


 なるほど、ノール達が疑問に思うのも無理はないな。

 この世界に来てからというもの、まともに常設ガチャを引いたことがほぼない。

 イベントの時に全力投球で魔石をぶっぱしていたし、そもそも常設ガチャを引くほどの余裕がなかった。

 そりゃこの常設ガチャって何のためにあるのって疑問に思うだろうな。

 仕方がない、このガチャ玄人である平八が教えてしんぜよう。


「おいおい、常設されているガチャにもちゃんと意味があるんだぜ。衝動的にガチャを回したくなった時にいつでも回せるんだぞ!」


「……まさかとは思いますけど大倉さん、私達に黙って普段からガチャを回したりしていませんよね?」


「なななな、何を言ってるんだね君は! 俺がそんな不誠実なことをする訳ないだろ!」


「怪しい。平八ならやりかねない」


「今度から毎日魔石の数を皆で確認しておくでありますか……」


 やべぇ!? 余計なこと言って藪蛇になっちまったぞ!

 ま、回してないと言えば嘘になるけど、おはガチャである単発をたまにやる程度だから許されるだろう……許してほしい。


「さっきのは冗談としてだ、一応ちゃんと利点はあるぞ。俺達の場合はハウス・エクステンションがどうしても使いたい時に変換用のアイテムを手に入れるとかだな。あとは魔石集め要員に渡す為の装備を集めるとかか。そう考えたら常設ガチャがないと不便だろう?」


「そう言われると緊急時にガチャを回す場合もありそうだから、常設のガチャがあるのも重要なのかしら? でもどちらにしてもちょっと損をしている感じは否めないわね」


「ああ、だからイベントの時に積極的に回してポイントとか装備を貯め込んでおくのが重要ってことだ。俺がいつも最初の目標を覆して限界ギリギリまでガチャを回そうとするのも、そういう考えがあってのことなんだぞ」


「それは大倉殿が欲望に負けて回したいだけでありましょ! 隙があればすぐ自分の行動を肯定的にしようとするでありますね……」


「お兄さんだもの、仕方がないわ」


 ちっ、ノールの奴はまだ俺を疑っているようだな。

 できるだけ無駄がないようにイベントで魔石を使い切れるようにしている、俺の温かな配慮をわかってもらえないなんて悲しいぞ。

 まあ、本来のソシャゲは常設ガチャがなくて常に何かしらピックアップされてたり、ポイントが付加されていたり色々なタイプがあるんだけどな。

 GCの常設ガチャも常に何かしらのピックアップをしてくれたら、イベントを待たずにガチャを回したりするんだけどなー。

 俺達の力説によってマルティナは顔を若干引きつらせながらも、ガチャに対しての理解を深めてくれたみたいだ。


「よ、よくわからないけど今はガチャを回す時期じゃないってことだね。君達がそんなに騒ぐガチャがどんな物か、回す時を楽しみにしておくよ」


「ああ、その時はお礼に沢山回させてやるからな。楽しみにしてくれよ」


「大倉殿がマルティナをガチャ仲間にしようとしているのでありますよ……」


「ふふ、魔石集めは大変だけれど、ガチャを回すのは楽しいもの。半自動狩りもできるようになったんだから、たっぷり貯めておいて備えておきましょう」


 そうだなー、次にどんなガチャが来るかもわからないし、魔石の貯まり具合で自分達から神魔硬貨を使ってPU・フェス発生クエストをやってもいい。

 とにかく今はこうやって魔石を稼ぎつつ、もっと数を増やせるように色々と活動していこう。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[気になる点] アンデッドさんたちって、どうやったら強くなるんだろう? ①アンデッドさん各々にレベルがあって、実は戦ってるとレベルアップしてる ②マルティナのレベルに準拠している ③マルティナの覚醒回…
[一言] 平八よ。。。 そろそろ、スケルトンさん達に高級菓子折り持って、御礼の挨拶に行った方がいいとおもう (彼らが何かを食べたりできるのかはわからないけどw) スケルトンさんたちはいくら友達のマル…
[一言] シャカパチするやつとはカードゲームをしたくない(強硬派) 恒常ガチャ筐体はなぁ……ピックアップのときとか新キャラ実装の時に随時追加されていくタイプのならいいんだけど、完全にその時と別筐体で…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ