41話:朱色の女
Scene【紅の奏者】
私は、【紅の奏者】と呼ばれた魔法使いだ。
「久しぶりね【氷の女王】」
「あら【紅の奏者】じゃない。お久しぶりね。貴女が私に会いに来るなんて。雪でも降るのかしら?」
雪、ね。
「降るんじゃないの?貴女なら、魔法で簡単に降らせられるでしょ」
「クスッ、そうね」
ひとしきり二人で笑いあい、本題に入る。
「もうじき、【終焉】が始まるわよ」
「ええ、知ってるわ」
やはり、気づいていたのね。
「じゃあ、止めないのかしら?」
「ええ、止めないわ」
止める気はないようだ。
「多くの人が傷つくのよ」
「貴女は【緋髪の治癒者】と云われたんだから貴女が治せばいいじゃない」
私の治癒には限界がある。それに、
「貴女の娘もいるんでしょ?」
「ええ、弟子も居るわ」
だったら、
「何故、止めないの?」
彼女は笑う。幻想的な笑い方で、
「あの二人が居るなら大丈夫よ。特にショウキの方はね。なんたって、篠宮の子だもの」
篠宮?それが何だというのか。
「貴女は、朱野宮の子なのだから、強い。それと同様に、あの子は篠宮の子だから強いのよ」
家系の話なのかしら。
「大丈夫。あの世界は、無事に二度目の【終焉】まで行くことができるわ」




