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雪夜の魔法  作者: 桃姫
雷の魔法――A beautiful ogre retains the intense thunder――
32/51

32話:魔法使いになった理由

 そういえば、だが、ウィンディアは苗字も名前も親が付けた名前らしい。俺の知っている【氷の女王】の苗字は日本人のものだし、旧【雷帝】は外人だったが、ウィンディアでもシルバーでもない。曰く、「シルバーはお父様がつけてくださいました。お母様はパープルと言われたそうで、本当、シルバーでよかったです」だそうだ。

 まあ、その辺のネーミングセンスは、俺もよく分かっているので同情した。


 歩いていると前方から佐薙がやってきた。

「ん?篠宮君じゃない。アンタ、何で学校サボったの?」

「行くのが面倒だったから」

 俺が簡潔に言うと、佐薙はきょとんとした顔をしていた。

「そんな理由で学校をサボるの?」

「まあ、今日はそうだな。前にも一回あったな」

 俺は適当に答える。

「あんたって、一件真面目に見えて、勉強できなかったり、魔法使えなかったり、学校サボったりと、案外ダメ人間なのね」

「ダメって、おい」

 まあ、否定はしないが。

「佐薙、お前って、どうして魔法使いになったんだ?」

「何よ、突然」

 確かに突然であるが、一度聞いてみたかった。

「あたしはね、そもそも魔法を認知してなかった一般人だったのよ。七年前までは、だけど。十歳頃のあたしの父は、死んだ母の代わりに炎魔火ノ音さんと婚約したのよ」

 炎魔火ノ音(えんまほのね)。確か【業火】の魔法使い。二つ名は【轟炎の魔女】だったはず。詳しいことは知らないが、【氷の女王】の世代の凄腕の魔法使いに名を列ねているらしい。

「それで、継ぎたくも無い呪印を継がされて、紫炎の魔法なんてモンを使うようになっちゃったのよ」

 へ~、佐薙にも深い事情があるらしい。意外なことに。

「なるほど」

「そう言うあんたは、どうして魔法使いになったのよ」

 俺がどうして魔法使いになったのかといわれても、俺は知らない。

「俺が魔法使いになったのは、そうだな。昔のことだ。

 あれは、俺が、五歳の頃だったか。母さんが、いなくなったんだよ。

 父さんは、その頃には居なかったし、結局、母さんがどこへ行ったかは分からなかった。それで、俺を引き取ったのが、俺の親友の家だったんだが、数年後、親友が死ぬ寸前、俺は魔法に目覚めたんだ。

 そのあと、俺は、気を失い、気づいたら師匠と一緒にいた。

 まあ、そんな感じで魔法使いになりましたとさ」

 俺の話を聞いた佐薙は、なんともいえない表情をしていた。

「ん?どうした?」

「え、い、いや、あんた、意外と壮大な過去してんのね」

 そうなのだろうか。自覚は無い。


 結局、そんな話だけして、佐薙とは別れた。


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