21話:公式魔術協会
Scene 凛菜
公式魔術協会、通称、協会。
その、存在意義は、二つある。一般的に知られているのが魔法戦闘の公式的ルールの制定だ。そして、もう一つ、裏の(と言っても、高位の魔法使いは知っていることだが)顔として、非魔力保持者に対する故意の魔法攻撃を仕掛ける犯罪者の取り締まりだ。
いや、取締りと言う表現は違うかもしれない。
的を射た言い方をするならば、抹殺だろうか。
そのため、協会にはいくつかの機関がある。
制定機関。その名の通り、ルールの制定を担当する機関だ。七名の決定権保有者と十数名の立案専門家が居る。
諜報機関。反魔術組織に対する調査活動を行う潜入捜査機関。五名の魔法使いによって成り立つ機関。
査問機関。軽犯罪魔法使いを取り締まる機関。数十名の魔法使いによって形成された機関。
そして、「銀十字騎士団」。総勢四名の魔法使いが、極悪犯罪魔法使いを抹殺するために作られた機関。ここに居る魔法使いは、全員が、最高峰の実力者だ。特に、「黒減」の呪印を宿す龍輝や「輪廻」の三縞さんは今居る魔法使いで引退(師匠になったものは引退扱いになる。)していない中では最高だろう。他に対抗できるとしたら、「炎魔の佐薙悠」や「変装魔法使い」、「雷帝のウィンディア」くらいだろう。
さて、そんな協会には、義務として、危険魔法使い(強いと言う意味の危険ではなく、変質者的意味合いの危険)を指名手配するというものがある。基本的に《銀十字騎士団》が抹殺するのだが、相手の位置が分かりづらいため、一般魔法使いに協力を仰ぐ事が多々ある。コレも、その一つと言う事だ。
指名手配犯として、今回、最も注意が必要と言われているのが、「西洞克哉」だ。
元々、強力な魔法使いの家系に生まれ、父親から、魔法については英才教育で叩き込まれたのだが、自己強化魔法という、魔法を手に入れたことで、見放された(西洞の家では、代々『超遠距離の狙撃魔法』を受け継いできていたため)。
そのことに納得のいかなかった西洞克哉は、家を出て、自らの知識と魔力、及び魔法を駆使して、一般人を襲いだした。
よって、「銀十字騎士団」の抹殺対象になった。しかし攻撃は失敗。見事に、連携を崩され、逃げられてしまった。あの動きは、まさしくプロ。対魔法使い用の知識とスピードを持つ。指名手配しているとは言え、一般の魔法使いに勝てる相手ではない。
莫大な魔力で、魔法をはじき返されてしまっては、どんな魔法も意味が無いし、空間を利用する魔法にしても、スピードで、本人を攻撃されてしまっては、意味が無い。
「銀十字騎士団」でも対策を練っているが、勝てるかも分からない。
ただ、最高峰の魔法使い四人でも抑えられない奴を相手に、どれだけやれるか。せめて、「雷帝」か「炎魔」のどちらかがこちらに協力してくれたらいいのだが。
まあ、そんなことを言っていても仕方ない。このまま放置しておけば、数人どころか、数十人に増えかねないので、早期の対策が必要になってくる。
まあ、龍輝に、見回りを徹底するように連絡でも入れておきましょう。
「あ~龍輝?見回りを徹底しなさい。西洞克哉の被害者を出さないようにしなさい」
「了解した」
公式魔術協会、長の雷導寺凛菜として、早く、どうにかしなくては……。




