20話:記憶の断片Ⅲ
左手に、透通るような、水色と白銀の交じり合った九つの華が咲いた。
これが、証?
「それは、呪印と言ってね、私の弟子になった証なのよ」
弟子?
「そう、私が、師匠。貴方が弟子」
師匠?何の?
「私は、【帝華】。そして【――――】」
よく聞き取れない。帝華?そして、何?
「まあ、いいわ。私の名前なんてどうだって」
え?そうなの?
「ええ。そうよ」
そう、なんだ。それで、師匠って何の?
「私は、【夜】の魔法は使えないの。でもね、貴方の中にある、それの制御は教えられるわ」
それ?
「そう。奇跡を体現するそれ。幻想のようなそれ」
奇跡?
「さあ、解き放ちなさい」
九つの華が大きく広がる。何かが、始まる。
「そう、それが、」
女性は、上を見る。つられて、見上げる。
「それこそが【白銀雪夢】なのよ」
変わらず雪が降り続ける空。しかし、
「あたたかい?」
「そうね、温かいわね」
雪が、温かかった。そして、周囲は依然、極寒なのに、暖かい。
「さあ、行きましょうか」
行くって?
「言ったでしょ、全ての【始まり】にして、起源へと通ずる場所へ行くって」
そういえば、言ってたかもしれない。
「これだけの力を使えば、起源へいけるはずよ」
そう言って、なにやら魔法を使う女性。
「さあ、行きましょうか。向こうへ」
現れた扉。
女性に手を引かれ、扉の向こうへ進む。
温かい手。暖かい光。
扉の奥には何があるんだろうか……。




