11話:ユキネの苦悩
Sceneユキネ
ワタシは、ショウキが好きだ。そして、ショウキは、誰から見ても格好良い部類に入ると思う。
だからワタシは分かった。佐薙ハルカは、ショウキのことが好きになっている。たぶんそう。乙女の勘と言うやつ。
ただ、相手はショウキだ。たとえ佐薙ハルカがショウキを好きだったとしても、両思いになることは無い。なんたって、あのショウキなのだから。
「つまり、佐薙悠は魔術師なの?」
「ああ、そう言う事。それを昼休み中に確認しただけ」
どこまでも鈍いというか、なんと言うか。流石ショウキ。
彼が、佐薙に近づいたのは、あくまで情報収集にためであり、断じて下心があったわけではないのは、本人が言わずとも分かる。
それでも問題は他にあった。ワタシが見る限り、佐薙ハルカもショウキのことを意識している。それは間違いなかった。誰がどう見ても、惚れている相手をこそこそ見る女の子だったのだ。ワタシに似ている、不覚にも、そう感じてしまったのだ。
「ねえ、佐薙。ちょっといい?」
だからワタシは、声をかける。
「何?えっと、冬海さん?」
「少し、こっち」
ワタシは、佐薙ハルカを引っ張って屋上まで来た。本日使用厳禁と書かれていたが、気にしない。
さすがに、ワタシが魔法使いである事は知っているだろう。ショウキが話しているはずだ。
「紫炎の魔女、話があるわ」
ワタシは、少しハッキリ聞こえるように、声を発した。すると、話の内容に驚いたのか、佐薙は目を丸くしている。そして、次の一言で、ワタシが目を丸くした。
「なっ、ななっ、何で、知って、るの?」
……?ショウキから聞いていなかったの?だとしても、少し考えれば分かりそうな気がするけど。
「何で、変装魔法使いがあたしのことを知ってるのよ!」
……?!コイツ、ワタシの魔法を知っている?
「まさか、こんなところに居るとは思っていなかったんだけどね。それで『スピナリアの天災』が、あたしに何の用?」
「スピナリアのこと、知ってるの?」
「十年前、イギリスに突如現れた竜巻。それに、モンゴルの砂漠化。他にも、アフリカの局地的極寒化などの、世界規模に影響を及ぼす魔法。それは全て、一人の変装魔法使いの仕業だと聞いているけど?」
なるほど、それなりの知識はあるみたい。だけど、残念ながら、間違いがある。
「よく知っているわね。でも、残念ながら、あの災害はワタシが起こしたわけじゃないわ」
そう、全ては、ワタシが闘っていた黒い魔法使いが起こしたもの。それはまるで、起源に到達した魔女、ジャンヌ=ダルクの魔法のように自然を操っていた。
「そう、なの?まあ、良いわ。それで話しって何よ」
ワタシは本題に入ることにした。
「ショウキについてよ」
「篠宮君?」
ワタシは単刀直入に告げる。
「貴方、彼のこと、好きなんでしょ」
頬を赤く染める佐薙ハルカ。
「疑問でもなく、断言しているわね……。まあ、そうね。確かに、私は彼のことが好きよ。たぶん一目惚れってやつ」
分かる気がする。こんなところまで、自分と同じなのか・・・。ワタシは溜め息をつきながら、佐薙に言った。
「ショウキから、手を引きなさい。彼は、ワタシのものよ」




