表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【一章完結】乙女ゲーのチュートリアルのサポートキャラに転生したら攻略キャラが集まってきた。いや、俺は男なんですが!?  作者: 松平 ちこ
一章 学園入学編。 攻略対象キャラたちに、俺、囲われ始めたんだけど!?

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

45/56

ss 29話~30話の間の時系列です。ある日の昼食。ファーストフードが無性に食べたくなる現象について

 その日はアディ、ケレル、ユニタスと食堂で昼食となった。

 ちなみにルナは、カリスに呼ばれて王族、高位貴族用のラウンジで昼食だ。


「アディってさ。抜けてるのに、テーブルマナーだけは貴族様だよな」


「確かに、ずっと領地に住んでたわりに綺麗に食べるよね。俺なんて、形だけなんだけど」


 ユニタスとケレルが、アディの所作について食事の手を止め、じっと見つめてきた。

 アディはナイフとフォークを使い、音もなく綺麗に切り分けて、日替わりのハンバーグを口に運ぶ。


「え、いや俺も最初は苦労したよ? ただ、手本が立派だったからなー」


 二人に見つめられドキッとしたアディは、即座に否定した。


『分からなくなった時は、カトラリーは外側から使うんだよ。その後は、個々のカトラリーの特徴を覚えていけば、間違いはないから』


 前世、一般家庭の日本人だったのだ。箸より使い慣れたものは無い。

 混乱するアディに、優しく教えてくれたのは父と次兄のセレーヌスだった。


「あー、生徒会長。隙がないよな。周りにキラキラって空気が輝いて見えるし。

 ……なるほど、あれがアディの最終形態か」


「いや。俺は、セレ兄さんにはなれないって」


「アディとは性格が似てないもんね。生徒会長のセレーヌス令息、女性にも紳士的だし」


 ケレルがクスクスと笑いながら、ハンバーガーをがぶりと、かぶりついて食べている。

 ケレルとユニタスの昼食は、Bランチのハンバーガーとポテト、サラダに野菜のポタージュスープの組み合わせだ。


「……ケレルはやはりというか、庶民的な食べ物に忌避がないよな」


 アディが居心地悪く話題をそらした。

 日替わりメニューは、今のところ被り無しでどれも美味しい。けれどどちらかと言うと貴族向けで、カトラリー必須のものばかり。


 逆に、Bランチは下位貴族、庶民向けの物が多く、気安いメニューが中心だ。テイクアウトが可能なくらいに。

 ケレルのその食べっぷりに、アディは羨ましげに言及する。

 人目を気にせず食べる度胸は、今のアディにはなかったからだ。


 ――俺のせいで、セレ兄さんの評判に傷がついたらなぁ……。


 手掴み食べなんかしたら、一気に前世に引きずられ、マナーがどこかへ旅立ってしまうところだろう。

 器用ではない性分、醜態はさらせそうになかった。


「ああ、ダンジョンに潜ったり、森で狩りをしたりしてたからね。

 家では、テーブルマナーが必要な食事の方が少なかったよ。それこそ学園のために、覚えたくらいだし」


「あー。デビュタント以後が厳しくなるんだっけ。貴族の教養が座学に入ってくるんだよな?」


 アディが思い出して、顔に面倒そうとあからさまに出した。

 それを見たユニタスが吹き出して笑う。


「アディ、貴族は顔に出したらアウトだろ。授業以前に、それはヤバイな。まぁ頑張れ」


「ダンスのレッスンとかねー。来年くらいから始まるんじゃないかな」


 ケレルも遠い目をしていた。部外者然としているのは平民のユニタスだけだ。


「そういうユニタスは、俺らが貴族様の授業してる間、なにするんだよ」


「俺? 俺は、薬草学と医術学、あとはまぁカリキュラム次第だな。生活に役立てそうなのを片っ端から受けるよ、Aクラスの特権だし」


 アディが恨めしそうにユニタスを見れば、ポテトを指で摘まんで、ひょいと口へと運んでいた。


「コイツ、何気に天才発言してるわー」


 アディは半目になって、食事に戻った。ハンバーグは温かい方が旨い。

 乙女ゲームの異世界転生、アディが嫌気をささないのは食事情の充実だろう。

 洋食ばかりではなく、前世に馴染みのある食事に、触れる機会に恵まれているからだ。


 ――時々、がっつり和食を箸で食べたくなるけどなぁ。


 この世界に箸はない。刺身や納豆などもない。味噌汁もそうだ。

 米はあるけど、リゾットで、雑炊やお粥もなかった。


 アディがカトラリーを使うのは、自分を貴族として位置づけることで、前世を考えないようにしてるからもあった。


「……俺も、ハンバーガー食べてぇな」


「食べればいいじゃん。アディ」


「お前、変なところ真面目だって」


 アディの心の声、小さく漏れたその本音が友人二人に拾われた。


「――っ! お前らスルーしろよ!?」


「口に出したお前が悪い」


 顔が赤くなって、バッと顔を隠したアディに、ニヤニヤとしたユニタスが絡んだ。


「あ、今度さ。皆でBランチテイクアウトして中庭で食べようよ」


 ケレルはそこに、名案と言わんばかりに意見を述べていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ