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寝て起きたら美女がいた

 傷が治り、先輩転生者の中古物件にいることもあってか安心したアルマの体にドッと疲労感がその体にのしかかってきた。

 その様子はアルマの健康状態を確認していたドラグニルにも知れる事になる。

 

「アルマ・アルフィ二、随分走り回ってお疲れのようだな」


「アルマで良いよ。こっちはドラグニルって呼んでるんだから…………ああ確かに、もう今すぐ眠りたいぐらいには疲れてる。

 今日は散々だったからな、角兎狩りに来たらその角兎を狙ったフォレストウルフに追っかけまわされた挙句に、森の主のヒュージボアのテリトリーに入っちまってなあ。

 前世でも現世でも今日ほど必死に走った日はないね」


「ふむ、幸いここは外界と隔絶している奥にはアキトが休んでいた部屋もあるしゆっくり休むがいいさ」


「あのドアの向こうか。ありがとうドラグニル、お言葉に甘えるよ」


 馬程もある機械仕掛けの竜の横を通り抜け、奥へと進むアルマ。

 扉を開けるとそこにはベッドとデスクが置かれたこじんまりした部屋があった。

 左右に扉があるがもしかしてキッチンとかもあるのか? と、そんな事を考えながら眠気に誘われるようにアルマはフラフラとベッドの方に向かっていく。


「時間が経ってる割には綺麗な状態だな」


 アルマがベッドを触るとまるで新品のような柔らかなシーツとビジネスホテルに置かれているようなベッドの弾力が伝わってくる。

  

「それはさっき生成した物だからな当たり前だ」


「うお! びっくりした、生成した?」


「行っただろう私のナノマシンに不可能はないと。

 その気になれば死体すら復元できるぞ」


 ドアから首だけ突っ込んでドラグニルが言った言葉にアルマは疑問を持つ、その割には創造主であろう先輩転生者、アキトは生き返らせなかったのか と。

 しかし、アルマにそれ以上の思考は不可能となった、いよいよ眠気に限界が来たのだ。

 崩れ落ちるようにベッドに倒れたアルマは狭いドアから首だけっつこんで剥製みたいになっているドラグニルの姿を見ながら眠りについた。


「さて、はじめての客人をどうもてなすか。

 体に入れたナノマシンからの情報だと空腹状態であるし、喉も乾いている。

 体の修復はナノマシンに任せるとして……ふむ。起きた時の為に食事でも用意しておくか」


 そういうとドラグニルの体が発光し、光の粒子が放たれ、アルマが眠る部屋の中に集まった粒子が人の形を形成していく。


 そんな事が起こっているとはつゆ知らず、泥のように眠るアルマ。

 そのアルマが目を覚ましたのは鼻腔から入った懐かしい食事の香りに腹の音が空腹の限界を知らせた時だった。


「カレーの匂い!」


「起きたらおはようだろう?」


「……どちら様ですか?」


 懐かしき故郷の料理の香りに飛び起きたアルマに声を掛けたのは紅黒いロングストレートヘアの麗しい女性だった。

 身長は高く、出るとこは出てウエストはくびれてまるでモデルのような女性がその紅い釣り目でもって起きたアルマを睨みつける。


「この声を聞いて分からんかね? あそこに本体が座ってるだろ」


 言いながらドアの方を指差す美女、指差された先を見たアルマの目に映ったのはもちろん眠る前と同じように剝製のように見えるドラグニルの姿だった。

 

「すげえな、なんでもありかよ」


「ふふん、なんでもありなのさ」


 自慢げに腕を組みドヤ顔を披露するアルマの目の前の人型ドラグニル。

 そのドラグニルが隣の部屋へのドアを指差す。


「食事を用意している、腹が減っているのだろう? ゆっくりしていくが良いさ」


 そう言ってドラグニルは指差したドアの向こうへと向かっていった。

 それに続くようにアルマもベッドを降りると、出入り口でいまだに剥製の真似をする機竜のドラグニルに「助かるよ、ありがとう」とお礼を言って人型のドラグニルを追いかけるのだった。 

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