表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
抱え込みすぎて壊れる前に消えた私が、別の世界でやり直したら  作者: 絵宮 芳緒
第一章|壊れる前に消えた私

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

1/15

第一話|終わりから始まる

「……はい、申し訳ありません。すぐに向かいます」


通話を切る。


耳に残るのは、相手の声ではない。

自分の声だった。


乾いている。


感情が削ぎ落ちている。


まるで、誰かの代わりに話しているみたいに。


「……」


駅のホーム。


人の流れ。


アナウンス。


電車の振動。


全部、届いているのに。


どこか遠い。


「……資料、あと一件」


頭の中で、やるべきことを並べる。


まだ終わっていない。


まだ足りない。


だから。


「……あと、少し」


いつも通り、そう言う。


これまでと同じように。

誰かが困るから。

止まったら回らなくなるから。

自分がやれば済むから。


「……」


足を踏み出す。


床の感触が、曖昧になる。


軽い。

違う。

抜けている。


「……あれ」


視界が、揺れる。


人の流れが歪む。


音が遠ざかる。


それでも前に出ようとして——


崩れた。


「……っ」


誰かの声。

何かがぶつかる音。


「大丈夫ですか!」


すぐ近くで呼ばれる。

でも、届かない。


「……」


遠くで、音がする。

近づいてくるような、高くて、鋭いサイレン。


遠ざかっていくような。


判別もつかないまま——

音が、滲む。


「ああ……」


これで、いいのかもしれない。


そう思った瞬間。

意識が、落ちた。



――――


「……ん、んっ」


わざとらしい咳払いが、耳に刺さる。


「いつまで突っ立ってんだ」


軽い声音。

苛立ちよりも、面倒くささが先にある。


ゆっくりと目を開ける。


高い天井。

重厚な装飾。

磨き上げられた床。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ